サウジアラビアリヤルの通貨切り下げの可能性はあるのか?原油価格下落でペッグ制に限界
2016/11/02
サウジアラビアに注目集まる理由とは
最近の世界の関心は、アメリカ大統領選挙の一極集中で、その他の話題はまるで報道規制がひかれて入る様に、取り上げられません。
実際私も日夜の仕事や筋トレ、さらにFXやその研究に明け暮れるとまったく時間がなく、頭がそれ以外まで関心が向かないのも事実です。
そんな時に、ある方から面白いコラムがあると教えていただきました。それが、楽天証券のマーケット情報にあるコラムで、その内容は「サウジアラビアの通貨切り下げ」についてです。
⇒この先想定されるリスク:サウジアラビアの通貨切り下げが与える影響
原油先物は重要な指標で関心ありますが、正直に言って中東の特定の国に対して、注意深く考えた事がありません。しかし、最近海外ドラマ「タイランド」に嵌っている身としては、何かしらの縁があったのも事実です。
話を戻して、楽天証券のコラム・堀古英司氏によるサウジアラビア解説は以下の通りとなっています。
- サウジアラビアは30年以上固定相場制(通貨ペッグ制)を導入しているが、それが廃止に追い込まれる可能性高まる。
- 世界最大の産油国・サウジアラビアが変動相場制を導入すれば世界の通貨バランスが崩れる。
- 産油国の為替は近年、原油下落に比例して通貨も下げ傾向。
- サウジアラビアも変動相場制を導入したい。
- サウジが通貨切り下げすれば、世界はデフレに逆戻り。
以上が簡単なまとめとなります。
サウジアラビアと原油について
楽天証券のコラムだけでなく、実はサウジアラビアを始め中東諸国には関心が集まっているようです。
考えてみれば、それは当然の事ですよね。
まず、原油国であり世界経済の中心という面があります。
またその原油が近年、長期的な下落に陥って回復の兆しが見えない。さらにアメリカ大統領選挙は、90%以上の確率と言って良いでしょう。
勝者がヒラリークリントンと決定し、関心は次の話題に向いている、という事です。これらを総合的に判断すると、原油価格の先行きが今後の最大のイベントとなりそうです。
サウジアラビアが本当にペッグ制を廃止するかは、何とも言えませんが、中東一の大国はサウジアラビアに間違いありません。
そして、中東はクウェート以外は大半の国でペッグ制を採用しています。これでサウジが廃止すれば、他の中東諸国も続く可能性が強いでしょう。
そうなると、中東各国の通貨は切り下げられ、原油価格の一段の下落、また日本やアメリカは強烈なデフレになるかも知れません。アメリカの利上げも、サウジアラビアに影響があると見られています。
仮にアメリカが年末にでもやっと利上げを実施したら、原油価格が一段と下落すると市場では言われています。
今後のサウジアラビアはどうなる?
今回の問題を整理すると、その根底にはペッグ制と原油価格の下落があります。
ペッグ制を導入している国は意外に多く、完全なペッグ制以外も含めると、香港・デンマーク・スイス・中国・中東各国や他にも多くあります。
逆にロシアは2014年、変動相場制に移行しています。しかし、その結果ユーロや米ドルに対して、半分ほどの価値に下落しました。
サウジアラビア側も、この事は記憶に間違いなく残っているはずです。現状としては、原油価格が上昇しない限り、どちらに転んでも厳しい道となりそうです。
最も新しい話題として10月19日の報道によると、サウジアラビアが国際市場で初となる国債発行に踏み切るようです。
これは、財政赤字の解消と資金獲得が目的なので、これがうまく進めば暫くの間はペッグ制の延命がなされた事になります。サウジとしても、ロシアの惨劇や中東各国の運命を握っているので、見す見すと手をこまねいている訳にはいかないでしょう。
最後に
通貨危機というのは、忘れかけた頃にやってきます。そしてそれは、この経済危機の最中である今頃にやってきてもまったくおかしくないのです。
原油価格が世界の株式や為替相場に影響を与えるのは、大半の人がご存知でしょう。だから予断は許しませんが、サウジの対応を見ていると、当面は安心できると思います。