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とうとう経済問題から安全保障上の問題へとシフトしてきたギリシャ債務問題

いつデフォルトになるのかが注目され、とうとう6月5日のIMFへの支払いが大きな注目ポイントとなっているギリシャ債務問題ですが、どうやらこれは経済問題から安全保障上の問題として取り上げられることになってきているようです。

ギリシャにおける国有財産の売却による民営化問題は最近までずっと凍結されてきたのですが、ここに来てギリシャ最大のプレウス港の民営化交渉が再開され、中国遠洋運輸(COSCO) など3社が入札に参加することが正式に発表されたのです。

中国が提唱し主導する形で推進されているAIIB (アジア・インフラ投資銀行)が担うシルクロード構想に基づく物流ルーとの一環がこの話の根底にはあるようで、ギリシャの港を中国が手中に収めることは非常に重要な案件と鳴り出しているのです。特に、ピレウス港については、欧州の入り口に位置する海上物流の要所となるだけに、中国製品を欧州で陸揚げする戦略拠点になるかどうかの大きなポイントとなっているのです。

これは単に戦略拠点というだけではなく軍事的にも利用されかねない問題となり、しかも北アフリカの不穏な国々との接点を作り出す問題となりかねないことからドイツのメルケル首相も非常に気にしているようですし、先ごろドイツで行われたG7蔵相会議でも米国からかなり懸念が示されているようです。

結局ギリシャを見捨ててデフォルトにさせると中国やロシアが不思議な手を差し伸べることになり、ギリシャがそうした勢力の戦略的な拠点になり、結果として欧州の安全保障上きわめてリスクが高く、しかもギリシャ支援以上に国防上の視点から金のかかることになることを米国をはじめとする主要国が懸念しはじめているのです。

ただ、このタイミングではプレッシャーをかけられているのはもっぱら債権国のドイツであり、米国は別にギリシャに支援するつもりはないという、これまたなかなかわかりにくい状況が展開されている状況にあるのです。

ドイツのシンクタンクが発表したデータによりますと、2009年にギリシャ債務危機が発覚してから、EUとIMFは合計2度ギリシャに金融支援を実施していますが、そのうちドイツが支払った額は、5年間の合計で700億ユーロと言われており、ドイツの経済規模(GDP)の1.9%。単年では、0.38%というミクロの規模となっています。そのためメルケル首相も米国政府と同じく、Grexitの経済的側面からのダメージにはほとんど関心がないようで、もっぱらロシアが後ろに見え隠れすることによる安全保障の問題でこの件を捉えているようです。

したがって、最後にはギリシャの粘り越しで、債務の帳消しはないにしても先延ばしのような形で決着をはかり、安全保障のほうを優先する可能性が高まってきているのです。

為替の視点から言うと、6月5日に向けて大きくユーロが下落する局面が近づいて来ていますが、逆に言えば玉虫色の解決がつく可能性も高く、底値は買いの絶好のチャンスになる可能性も残されているのです。このあたりは人が絡む交渉の話だけにどのシナリオがもっとも可能性があるのかは判断が難しいところですが、6月にギリシャの件だけでユーロがタイドルでパリティに向かうかどうかはなかなか厳しそうな状況といえます。

逆にこうした問題で大きくユーロが下げることになれば、ドル円が126円方向にオーバーシュート気味に上がることも想定されますが、現状ではそうはならない可能性が高く、ギリシャの件の決着のつき方がドルの動きにも影響を与えそうです。ギリシャ債務の問題はかなり市場で飽きられている部分もありますが、実際にデフォルトから離脱となった場合には想像以上の影響がでることは間違いありませんので、このあたりの行方には注目が集まるところでもあるのです。