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対ドルで1.05を割ったユーロはこの先どうなるのか?【ユーロドルの今後の見通し】

ユーロはECBの量的緩和実行を受けて順調に値を下げとうとう1.05を割り込んでパリティまで目と鼻の先となってきました。ただ、19日未明のFOMCの発表(参考:米国FRB利上げを2004年の酷似ケースから占ってみる)を受けて1.1と500PIPS近い猛烈な戻りを試したあと、またほぼ同値を戻すといった強烈な上下動を繰り返しており、さすがのインターバンクでもこの動きで怪我をしたディーラーが多かったのではないかと思われます。

一旦下落のスピードが落ちたユーロですが、果たしてこの先はどういうことになるのでしょうか?

ユーロドル

上のチャートはほぼ2年前の4月から現在までのチャートですが、2014年の5月にほぼ1.4に近いところをつけてからは、毎日取引していると実にいろいろなことがあるように思えますが、週足ベースでみますと一貫して下げていることがわかります。

ただ、1.1近づいたところでは一旦1.15方向に戻る時間帯もあり、今回のパリティ手前では同様の日柄調整と価格の調整が行われている用に見えます。ただ、この下落はどうやら量的金融緩和の続く2016年までは継続する可能性が高く、ユーロドルでは1.0をさらに下回り0.85から0.8あたりまで下がる可能性が高くなっています。ただ時間的には1.0がついてから一気に0.8方向に動くとは思えず、かなり紆余曲折を経ながら到達していくことも容易に想像されるところです。

意外なテールリスクはギリシャではなくブラジル

ギリシャ問題は既に金融市場関係者のみならす、万人の知るところとなっていますので、仮にこれでギリシャがユーロ圏離脱となっても一旦は売られることがあっても逆に大きく買い戻しされる可能性さえ指摘されはじめていますので、それほど大きなリスクとはいえなくなってきています。

むしろ今再燃するリスクになりそうなのが原油価格の再度の下落とそれにともなうブラジルの経済危機の問題です。

ブラジル中銀は3月4日に0.5%利上げし、政策金利は12.75%となっています。2月の同国のCPIは7.7%となっており、過去10年ではもっとも高水準となってきていることから、今後も利上げの可能性が高くなっているのです。その一方でGDPはマイナスを記録し続けており、典型的なスタグフレーションに陥っているといえます。この大きな原因となっているのが原油安であり、また中国向けの鉄鉱石の価格が大きく下げていることも起因しています。

原油価格のさらなる下落でブラジルデフォルト→スペインに波及

現在小康状態となっている原油価格ですが、また下げが始まりつつあります。この7月には米国でボルカールールの完全実施がスタートしますが、これにともなってさらに原油をはじめとするコモディティからのヘッジファンドや投資銀行の撤退が見込まれ、原油は名実ともに需給で価格が決定する商品へと移行することが間違いなくなってきています。

こうした中でさらに原油価格が下がり。エネルギー系ジャンク債などが破綻するようになれば、その影響がブラジルにのしかかることは間違いなく、オリンピックを前にしてデフォルトという悪夢という可能性すらでてきているのです。

実はこうした事態になると大きな影響を受けるのがスペインであると言われています。スペインの銀行はかなりブラジルに対する融資を行っており、ブラジルの破綻はスペインの銀行に破綻につながる可能性が高いことからまたしてもソブリンリスクが海を渡ってユーロ圏に波及する可能性が高いのです。

この風が吹けばなんとやらのような連携性の話は、まったく金融市場では意識されていませんが、実はヘッジファンドなどを中心にユーロの動きに大きく影響を与えるテールリスクとして認識されはじめているのです。成り行き次第では、ユーロの価格は対ドルで1.0を下回り、大きく下落して今年の早い段階で0.85近辺まで下落するリスクも残されているのです。そういった意味でも原油価格の動向とブラジルの経済状況については注意が必要となります。