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ウクライナ フリブナ 各国の情勢 各通貨の状況

ウクライナ政策金利30%の裏事情【フリヴニャに外貨預金やFXで投資する方法はない?】

米国、UKを別にすればほぼ世界中の中央銀行が金融緩和競争を繰り広げていますが、その中でも例外的に金融引き締めを行っている国があります。そのうちのひとつが、ロシア侵攻にゆれるウクライナです。

ウクライナの通貨はフリブナという名称でなかなか日本人には馴染みの無いものとなっていますが、1月1USドル15フリブナだったものが2月末には34.2フリブナまで暴落することとなり、地政学的リスクの影響を通貨がもろにうける形となっています。そのためウクライナの中央銀行は政策金利をなんと30%に引き上げることを決定し、即日実行しています。しかし常識的に考えて政策金利30%などで本当に国がやっていけるものなのでしょうか?

ウクライナ経済は極めて厳しい状況

英国のエコノミスト誌は1月17日号でウクライナについての記事を掲載しています。

ウクライナのGDPは依然として縮小が続いており、ロシアからのガス代の支払いとすでに2014年段階で通貨価値を半減させてしまったフリブナの防衛のために政府の外貨準備高は激減することとなっています。

2011年には400億ドルあったはずの外貨準備高は2014年末にはすでに100億ドルを切る状況となり、残りはわずか75億ドルと今後5週間分の輸入カバーに相当する水準へと大幅下落しているのです。そのためウクライナ政府は国内の輸出業者に対して外貨収入の75%をフリブナに交換するよう義務付ける措置を発動し、外貨の獲得に躍起になっているのです。

お隣のロシアがルーブルの大暴落を受けても比較的平然としているのは石油の輸出がほとんど米国ドルベースとなっており、ルーブルに変換すると価値が減らないといったなんとも皮肉な状況となっていますが、とにかくこのあたりの国の輸出業者は自国通貨では取引を行っておらず、ドルやユーロが中心となっていることから、国も外貨の獲得に乗り出していることがわかります。

これは事実上の資本規制にあたる行為であり、冷静にみればウクライナはデフォルト寸前の状況であることがわかります。既にウクライナ国際のクレジットデフォルトスワップ(CDS)は4000ベーシスポイントときわめて高い位置にあり、IMFからの緊急融資が行われるとしてもロシアとの紛争の行方によっては国家体制維持自体が危ぶまれる状況となっていることが容易に理解できる状況です。

経済破綻時期もロシア次第というクリティカルな状況

ロシアの脅威は軍隊の侵攻だけではありません。ウクライナは2015年に役110億ドルの債務返済を行う必要がありますが、そのうち30億ドルはロシア向けの債券の償還が含まれている状況です。償還期限自体は今年の12月となっていますが、ウクライナの債務比率がGDPの60%を超えた場合には前倒しによる返済条項が盛り込まれているため、デフォルトすらもロシアの取立て次第というかなり険しい状況に直面しているのです。

FX的に見ればおいしい通貨に見えますが・・・フリブナに投資することはできるのか?

このフリブナは豪州や米国のFXブローカーのほんの一部がFXの通貨ペアの取引を提供しているようですが、残念ながら今日本人が取引できるFXブローカーにはそのラインナップはいくら調べても出てこない状況です。

昨年4月に1ドル11フリブナだったのが2月末で34.2フリブナですから円売るよりフリブナを売っていたほうがはるかに儲かったでしょうし、急落したところで逆にフリブナを買っていれば毎30の年利分に当たる爆発的なスワップポイントを受け取ることができるのも夢ではないと思われがちですが、実際には2月末段階でウクライナ国立銀行はフリブナの急落阻止のために為替取引を凍結させることとなっており、FXでこの通貨ペアがあったとしても売ったフリブナを買い戻すこともできない、スイス中銀のやり方に劣るとも勝らない状況が展開していますので、触らぬ神にたたりなしといった状況が継続しているのです。

ただ、デフォルトしてしまい、取引が正常化に戻ろうとするときには、確かにリスクはありますが、フリブナを買ってみるというのも面白い発想といえます。しかしながらロシアがデフォルトを決め込むのとはわけが違い、国が無くなってしまうという究極のリスクがあることも忘れてはなりません。