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イエレン政策 各国の情勢

イエレン・ダッシュボードの概要と影響について

2016/11/18

米国の金融政策決定において、Fedのイエレン議長が注目する雇用関連指標のうち重要とされる9つの指標が注目されています。金融引き締め開始・利上げ時期決定の判断材料となる重要な指標であり、一部のメディアではこれをイエレン・ダッシュボードと呼んでいます。

目先の失業率が6.5%以下となったため、単純な失業率だけでは判断が出来なくなってきていることから、さらに非農業者部門雇用者数、失業率、労働参加率、広義の失業率、求人率、退職率、雇用率、入職率、賃金レートなど9つファクターを総合的に考えて利率の上昇時期を勘案するとされるのがこのイエレン・ダッシュボードのクライテリアとなります。

9つの指標のうち、リーマンショックのリセッション前の水準に回復しているのは、非農業部門雇用者数と解雇率の2つのみの状態であり、特にオバマケアの実施以降は、週35時間以上の労働を継続する雇用に対しては保険負担を強いられることから、多くの企業が、フルタイム労働者を雇用しなくなり、その分がパートタイム雇用の増加に繋がっていることが非農業者部門雇用者数を見かけ上増やしているという皮肉な結果となっていることも見逃せません。また給与の時間給についても停滞が進んでおり、改善が計られていないことも大きな阻害要因となっているのが実情です。

すでにFedの資産合計は日本円にして400兆円に膨らんでおり、これを圧縮しないかぎり利下げはありえないという見方も広がっていますが、一方で利上げをしてから減らしていくとのではないかという見方もあり、市場の予測は二分される方向にあります。いずれにしてもテーパリング後に簡単に利上げができるほど単純な状況でないことだけは間違いなく、今後もこのイエレン・ダッシュボードに掲げられる数値目標が議論の対象となっていくことが予想されます。

イエレン議長自身労働問題が専門であるだけにこうした数値目標へのこだわりは人一倍であることから当面こうした数値全体が注目されることは間違いなく、毎月の雇用統計も専門家が読み解くまでは為替への影響も大きくなりにくい状況が続きそうな気配となってきています。それでも速報数値が悪ければ利上げが簡単に行われないという判断から為替も下げの方向に動くことは間違いなく、引き続きこの数値に注目せざるをえない状況も継続することになりそうです。8月21日から開催されるジャクソンホールでの講演で、今後1年あまりの政策金利に関する考え方もより詳細が開示されることが期待されている状況にあります。