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スイスフラン 各通貨の状況

スイスフランの為替の見通し【5月外貨準備増加は英国EU離脱への準備か?】

スイス中銀、5月外貨準備増加は英国EU離脱の布石か?

2016年6月7日のロイター通信に、大変興味深い記事が出ていました。

その内容は、「スイス国立銀行(中央銀行)が7日公表した統計で、5月の外貨準備が前月から142億スイスフラン増加し、6020億6300万フラン(6224億2000万ドル)となっていたことが分かった」との事です。

これが、どのような意味があるのが、勘が鋭い方ならお分かりだと思います。

イギリスのEU離脱に対する準備というのが表向きであり、もっとも正論的な理由ですが、それよりも深い意味があるように個人的には感じてしまいます。まずは、順番に解説をしていきたいと思います。

外貨準備とはどのようなものか?

外貨準備とは、各国の中央銀行が外貨を保有する事で、その意味合いは自国通貨を守る為です。

外貨を獲得し保有する事がなぜ、自国の通貨を守る事になるのか?

一見すると矛盾するように感じますが、外貨があるという事はその国の信用度を示しています。

例えば北朝鮮のニュースで、外貨を稼ぐため中国や中東諸国と貿易しているなどと耳にした事があるはずです。

北朝鮮の例は極端かもしれませんが、アメリカとイギリス以外の国は、自国通貨も大事ですが国際的な信用度や基軸的な意味合いからも、外貨が非常に重要です。

今では先進国の仲間入りをしている日本も、戦後は外貨を獲得するのが困難な時期が続き、そこで国策として外貨獲得が至上命題となり、1980年代には世界一の外貨準備高の国となりました。外貨がある事は、輸入が容易になるので、一概には言えませんが大国ほどその額が大きいと言えます。

スイス外貨

この表から分かる事は、中国と日本が特筆して外貨準備高が多く、何よりもスイスも大国に負けず劣らずに外貨を準備しているという事です。

そして、下のチャートがスイスの外貨準備の推移となっています。

 

スイス外貨5

これからも、近年は外貨準備に積極的だと言う事が分かります。

スイスが外貨を増やす理由とは

スイスは2015年に、通貨ユーロに対して上限を撤廃しました。(参考:スイス中銀によるフラッシュクラッシュで危機的状況に陥ったFX業界【フラン急騰の影響】

それまでは、1ユーロ=1.20フランが上限でしたので、スイスフランは一気に30%も急騰し、輸出懸念などからスイスの関連株は軒並み急落しました。

そのような状況から、昨年のスイス経済は大変厳しい状態に陥り、何としても2016年は経済を好転させなければならないのが、スイスの実情なのです。

そんな状況下で、昨年から本格的な問題となってきたイギリスのEU離脱問題です。

スイスとしては、イギリスがどちらに転んでも自国を何としても守らなければなりません。外貨を獲得するには、このような背景もあるのです。

しかし、これはあくまでも私の個人的な感想であり、思いです。ロイター通信によると、「スイス中銀は1ユーロ=1.10─1.11フランのレンジを守るためにあらゆる手段を尽くすとの見方を示した」となっています。

スイス外貨3

この上記チャートからも、いかに2015年1月のインパクトがスイス経済にダメージを与えたか分かって貰えると思います。現在は、半分ほど戻ってきていますが、イギリスの離脱問題がどちらに転ぶか分かりません。

スイスフランの特徴とは何か

スイスの貿易相手国は、90%がユーロ経済圏となっています。昔なら、スイスフランは最も安定している通貨であり、独立性もある事から、有事の際に買われる通貨となっていました。

しかし最近は、その傾向が弱まりつつ有ります。国際的な戦争や紛争が起きても、以前ほどスイスフランは買われず、短期的に元の水準に戻る事となります。

スイス外貨4

また、スイスフランはユーロと同じような値動きになるので、それが今後の予想や予測に繋がると思います。

スイスフランの今後の見通し

フランに限りませんが、通貨の今後の動きを予想するのは、大変難しい事です。その根拠として、私は米ドル/円が更なる円高方向に振れると予想していましたが、約半年が経過しても、想定以上に動いていません。

もちろん、まだイギリス離脱問題やアメリカ大統領選挙があるので、下半期で一気に動く可能性も残っていますが、同時に反転し戻る可能性も十分にあります。

肝心のスイスフランの今後の見通しですが、ロイター通信などから情報収集をしても専門家たちの間でも意見が分かれているようです。大半がスイス経済に対して、慎重姿勢というスタンスで、上昇も下降も有り得ると言う事で意見が半分に分かれています。

このような慎重になるには、何度も書いていますが、イギリスとアメリカの問題が大きいと思います。この二つが解決する、来年の2017年にはもう少し見通しが立て易くなると思います。

しかし、投資や相場で生きる人にとっては今年の残り半分も大変に重要です。

そこで、先ほど紹介したチャートが活きてきます。最近のスイスフランは、ユーロと非常に密接しています。フランの値動きがしりたいなら、ユーロのイベントを確認するべきです。

そしてFXとして考えると、通貨に大きなインパクトを定期的に与えるのは、政策金利がいちばん大きいでしょう。ユーロは現在ゼロ%、スイスはマイナス1.25%となっています。

そして大国であるアメリカが今回は見送りましたが、一段落したら間違いなく金利を上げてくるでしょう。最低でも今年中に1回は上げると思います。そうなると、ドル高の動きが加速するので、注意が必要となります。

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