チプラス首相突然の辞任!ユーロドルはどうなる?ギリシャ総選挙の為替への影響について
ギリシャのチプラス首相が辞任し、またしても総選挙が実施されることとなりますが、金の無い国でこんなに選挙だけして本当にいいのかという素朴な疑問をさておきますと、今回の選挙自体はほとんどユーロドルを動かす材料にはならなさそうな状況になってきています。
発表の当座は相場も動きましたが、中国関連ネタのほうがインパクトが大きく、市場はギリシャネタだけでは大きく動かなかったといえそうです。
国民が当初の政策と180度転換してしまったチプラスをさらに新任するのかどうかはわかりませんが、当面の資金だけは確保されるようになっていますから、この材料だけをもってしてユーロが大きく売られるということは考えにくい状況です。
ユーロキャリートレードの巻き戻しなどからユーロは上昇傾向継続中
中国の人民元切り下げでいきない上昇することになったユーロですが、なぜリスクオフになるとこの場に及んでユーロが買われることなったのか俄かに理解できなかった方も多いことと思います。
結局ECBの3月からのQEの実施により低金利であるユーロで資金を調達してそれをベースにキャリートレードを行ってきた向きが多かったようで、一時的にリスクオフでこうしたトレードの巻き戻しが起きると通貨の強い弱いと関係なくユーロが買い戻しされることになってしまったのが今回の動きの発端となっているようです。
当然実需の動きも強いのがユーロドルですから、一旦上昇の方向に動けばこれまで溜まってたユーロ売りにも応分のショートカバーが発生することとなり、大きくユーロが買い戻される動きが増幅されることになってきているのです。ギリシャ問題だけ考えれば4月あたりの状況となんの違いもないように思われますが、相対的な関係から上昇する動きに転じているのがユーロということになります。
ユーロは1.14方向を試す展開にシフト?
一連の中国関連の動きでユーロドルは1.12方向に明確にシフトしてきており、3月安値のレベルをダブルボトムとして反転する動きになってきています。この調子でいけばもう一段高値である5月15日の1.1467や18日の1.1436方向を試す展開になりそうで、完全に動きが変わってきたことを痛感させられます。
ギリシャのおかれている状況は不変
ただ、ギリシャはEUからの融資を受けたものの、債務が減少したわけでもなければ経済の建て直しが進んでいるわけでもありませんから、借金を借金によって先送りした現在の状況は、またこの先にも問題を露見させることになることは間違いなさそうです。
ユーロ圏というのは複数の思惑の異なる国で構成されているため、何かが起きてもドラスティックな解決はほとんど行われず玉虫色の解決方法がきわめて頻繁にとられるようになっています。したがって、FXの世界でみるともはやパリティ必至とさえ思われるような状況であっても一気に突き進まないというなかなかわかりにくい動きをする通貨になってきていることは理解しておく必要があります。
この先1.14がクリアされれば1.2方向までは戻る可能性もあり、FRBの利上げ以降もそうした動きが継続することになるのかどうかが注目されるところです。
通貨取引というのはあくまで複数の通貨の中で旬の通貨となっているかどうかが非常に大きく、同じ要素を引きずっていても相対的な状況のなかで材料視されないと売買の中心的存在にならないという難しさがあります。とくに為替の世界は前の時期が嘘のように動きが変わることがあるため、過去をひきづっても意味がないというのが特徴ともいえます。こうしたセンチメントの変化というものには、とにかく慣れることしか解決方法がないのが実情です。
ただ、また必ず蒸し返してくることになるのが本質的な解決のはかられていないギリシャ問題なのです。