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アメリカ 利上げ 各国の情勢

2017年6月米国FOMC利上げの影響と今後の株価・為替の見通しについて

米連邦準備理事会(FRB※日本の中央銀行のようなもの)は13日~14日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会※アメリカ金融政策を決める会議、6週間に一度行われる)で3ヶ月ぶりに政策金利を0.25%アップすることを決定しました。

また2008年から続けていた量的金融緩和で4.5兆ドルにまでつみあがっていた金融資産の縮小にも「比較的早く」着手することも発表。

2008年のリーマンショックによって資金繰りが悪化した銀行を助けるために、金利を引き下げ(最終的には金利ゼロ)、更に金融緩和によってアメリカの経済はかなり回復してきていますので、今後は金融政策をリーマンショック前の状況に戻す必要があり、金融緩和策(QE)についてはすでに終了していますから、利上げはせざるを得ない状況です。

リーマンショック前のアメリカの政策金利は、2007年には5.25%(年末には4.25%)、直前の2008年9月でも2%でしたので、おそらく3%~4%あたりをターゲットにするのではないかと予想されますが、利上げをすると、世界経済に打撃を与える恐れがあります。

実際1994年にアメリカが利上げを行ったときに、メキシコ・ペソの暴落を引き起こしましたし(メキシコ危機)、ドル高政策に動いた1997年にはタイ・バーツの暴落から東南アジア各国や韓国の経済が悪化するアジア危機に至りました。

またコレが1998年のロシア危機へと波及し、2008年の韓国危機の素地ともなっていますので、ビビるのは当然でしょう。

アメリカもそのことは知っているので、IMF(国際通貨基金)は経済的基盤の弱い国が、通貨危機に陥った際、速やかに救済が出来る協定を発表しました。

詳しくは6月20日付けの日本経済新聞1面に掲載されていますので、興味のある方はご一読いただくとして、簡単に言うと、ヤバいときに四の五の言わずに迅速におカネ(ドル)を供給する仕組みです。

FRBによると現在のドルの流通量は10年前の2倍近くに増大しており、この状態をベースに、アメリカのみならず世界の経済が回っているのですから、基幹を揺るがす、いや震わせることも避けるべきです。

ですから、今回のIMFの通貨危機防止協定でいわば耐震補強をしたのですね。

6月14日利上げ後の経済への影響について

そんな作戦が功を奏したのか、6月14日に利上げを発表して、今日(6月22日)でちょうど一週間経ったのですが、その間にダウ平均は19日まで連日最高値を更新し、日経平均も2万円オーバーを記録。

ドイツ、インド、台湾でも高い指数をマークし、トルコや韓国でも活況続きと、いまのところ利上げ後の経済状況は順調な経過をたどっています。

好調な経済状況に水を差す気はないのですが、平穏なときにこそ、何かが起こったときへの備えをしておくのが危機回避の鉄則です。

今回は、当事者のアメリカ合衆国と足元の日本の懸念材料を一点づつ検証してみたいと思います。

実は多い、アメリカ家庭の借金

ニューヨーク連邦準備銀行によると、2017年3月末のアメリカ世帯の借金残高は12兆7300億ドル(約1400兆円)で、過去最高だった2008年9月末の残高(12兆6800億) を約9年ぶりに更新しました。

大きな比率を占めるのは、住宅ローン(8兆4800億ドル)学生ローン(1兆3100億ドル)自動車ローン(1兆1600億ドル)で、2008年当時は「サブプライムローン」と言われる返済能力の低い顧客層の借りた住宅ローンの焦げ付きが金融危機の震源となりましたが、現在の借金の内訳を見るとその残高は7%ほど減っています。

その代わりに、大きく残高が膨らんでいるのが、自動車ローン(44%増)と学生ローン(220%増)です。

なかでも自動車ローンは返済能力が低い顧客層が30%以上もいるとされています。

住宅ローンではそれが10%未満ですから、自動車ローンの比率は高いと言わざるを得ません。

一体なぜここまで急速に増大したかというと、金融危機後、住宅に代わって自動車が米経済の消費拡大をけん引してきたからでしょう。

昨年の新車の販売台数は1755万台と過去最高を更新してますが、実は2009年に1000万台ちょっとに落ち込んだあとは7年連続で上昇しており、15年に過去最大の1747万台を記録し、16年は更にソレを更新したわけです。

ですから比例してローンの残高も膨らんだと。

当初は自動車メーカー各社が、グループ内の金融子会社の低金利ローン作戦で新車販売台数をぐんぐんと伸ばしていましたが、儲け損ねてなるものかと、商業銀行も加わり、壮絶な顧客獲得合戦を繰り広げた結果、返済能力の低い顧客も増えていってしまったのですね。

そんなこんなで、現在は自動車ローンの延滞率(90日以上)は82億ドルと、悪化の一途をたどっています。

ローン全体の延滞率も5%ほどあり、利上げによって、これらのローンにも金利上昇の圧力がかかれば、経済に悪影響を及ぼす可能性は否定できないでしょう。

日本のほうは、株式市場から 株の空売り比率

あまり話題になりませんし、扱いも大きくないので知らない方が多いかと思いますが、株の空売り比率という指標があります。

株式の信用取引で信用売り(空売り)されたまま、買い戻されていない株数のパーセンテージのことなのですが、空売りは将来的に必ず買い戻される売り注文です。

つまり、潜在的な買い圧力です。

空売り比率が高い状況が続けばそれがどんどん増加していることになるわけで、相場にとっては買い要因につながるという考えです。

2016年6月に過去最高の47%を記録したのですが、今年の4月にも43%という高い数値となり、その後も38~40%台で高止まりしていました。

それがアメリカの利上げが確実視され始めたあたりから36%前後で推移するようになり、利上げが決まってからは35%以下になることも増えてきました。

もちろん、空売り比率が下がれば、その分だけ買いが入るので、日経平均株価も2万円オーバーしましたが、一般的に

空売り比率が30%を超えてくると相場は「売られ過ぎ」の状況

空売り比率が20%を下回ってくると相場は「買われ過ぎ」の状況

ですから、現在の(6/22)35.4%という数値もまだまだ「売られ過ぎ」状況であることは確かなのです。

ここから投資家心理を読み解くと「市場に対する不安を拭いきれない面がある」ということでしょう。

空売りというのは、株価が下がる局面で利益を出す投資法ですから「今後も株が下がる(経済が悪化する)状況が起こりうる」と考えている投資家が、まだかなりの数いるということです。

そして、日本株を多く取引しているのは外国人投資家で、そのなかにはアメリカ人投資家も相当数いるはずです。

その方たちが自国の政治・経済を分析したうえで、まだ一方的な買いに来ないということは「不安要素がまだ残っている」と考えているからではないでしょうか。

FRBは今後も年2~3回のペースで利上げを行っていくと発表していますので、実際その通りになるのでしょうが、そのたびに経済への不安が解消されていくのか、そうでもないかは、注視していく必要がありそうです。