ユーロが急騰!円安急進!その原因と対策と今後の見通し
いきなりですが、今年に入ってからのEUR/JPY相場のチャート図です。
一時期、115円を割り込む水準にまで円高が進んでいましたが、実近では129円を瞬間最大風速とはいえ上回るにまで急進しています。
特に赤マルで囲ったA,B2点で大きくユーロ高・円安が進んでおり、この2点間でもほぼ一本調子にその傾向が続いていることから、ここにキャスティングボードを握る何かがあったことがうかがい知れます。
今回は、この流れはドコまで続くのかのヒントを見つけてみたいと思います。
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まずA点の「窓空き」に注目
A点は4/21~4/24にあたります。
4/22と23は土・日なのでそもそもFX市場では取引がありません。
他のローソクも、実は5日分(月~金)出ては2日休みを繰り返しているのですが、金曜日の終値と月曜日の始値に極端な差異が無いので連続しているように見えるだけなのです。
それでもA点だけぷっつりと途切れているように見えるのは、4/21金曜日の終値と4/24月曜日の始値が極端に離れているからです。
この状態を「窓空き」というのですが、コレが出た場合は大きなトレンドの始まりになることが多いのです。
A点では4/21にEUR/JPY=117.03円で取引を終えましたが、4/24の寄り付き(始値)はEUR/JPY=120.18円と約3円急進しています。
では4/22,23にナニがあったかというと、そう、フランスの総選挙(第一回投票)です。
参考:フランス新大統領マクロン氏就任!為替は国民議会選挙の結果次第
大方の予想通り、ルペン氏とマクロン氏が勝ち残り、敗北したフィヨン氏とアモン氏がマクロン氏指示を表明。
これによって一週間後の第二回投票でもマクロン氏の優勢が決定的になり、フランスのEU離脱リスクが回避されたことが市場に好感された結果でしょう。
そして5/7日の決選投票でマクロン新フランス大統領が誕生、6月に行われた総選挙(下院)でもマクロン新党が過半数を大きく上回る議席を獲得。政権を磐石にし、EU結束の主幹としての役割を期待されることとなりました。
この間にイギリスはEU離脱を正式通告し、その後の総選挙(下院)では過半数を割り込み敗北。
少数政党を取り込んで、なんとか過半数を維持することは出来ましたが、その先行きは不透明といわざるを得ません。このあたりと、頻発するテロ事件などが懸念材料になり、一時は円高方面に値を戻す局面もありました。
5月後半~6月中盤がそれです。
B点の大陽線は6/27
実は、当日付けの「日本経済新聞”マーケット総合”」欄には「ユーロ相場に先安感」という記事が掲載されていました。
要約すると
- ユーロ圏の購買担当者指数(PMI)という指標が5ヶ月振りの低水準を示した。
- 欧州中央銀行(ECB)の金融政策の不透明感。
- 南欧諸国の失業率が高止まりしている。
などなど、読者の不安を煽るコト煽るコト。
国際面でも、イギリス政局の不安定ぶりやイタリアの銀行破綻のニュースなどを載せ、これでもかといわんばかりのネガティブキャンペーンをブチあげてくれてます。
確かに朝~夕方までは軟調だったのですが(125.1円→124.9円に若干円高進む)、27日の夕刻~翌未明にかけて、124.9円→127.5円へと急進。
B点の陽線のほとんどは6/27夕刻~6/28未明、つまり欧州の市場がオープンしている時間帯に作られたものなのです。
すると6/29付けの「日本経済新聞”マーケット総合”」欄には「ユーロ高シナリオ強まる」という真逆の記事が(笑)
要約すると
- 27日にドラギECB総裁が金融緩和を進める(かも知れない様にもとれる)発言をした。
- レンジ相場が続いていたので、そんなちょっとした発言にも過剰に反応した。
こんなトコロでしょうか。
先安感のときは指数や失業率などの数字を列挙したのに、今回は偉い人が微妙な発言をしたことだけかよ、と思うのは私だけでは無いハズです。
よーするに「よくわからん」けどユーロ安が進んだんで、イイワケしてるだけですね。
まとめ
私は日本経済新聞を愛読してますんで、日経の記者は無能だとかウソつきだとか言いたいわけではなく、金融のプロたちでも読み違えるぐらい相場は難しいってことです。
また彼らは実際に相場で取引をしていないのですから、経済のプロではあっても、取引のプロではないので、その記事は参考にはしてもアテにしてはいけないのです。
そして、どんなときでも相場内には正・負、上がり・下がり両面の情報が混在していて、絶対に正しい判断など誰にもできないことを肝に銘じておくべきです。
その上で今回のユーロの急進と今後を敢えて(個人的に)予想するとすれば
- A点の「窓空き」から上昇トレンドが始まっていると見て、今後もEUR/JPYは”買い”を基本戦略とする。
- 当面の上限は”節目”の130円に置く。
- 重視すべきファンダメンタルとしてはECBの金融緩和のテーパリング(縮小)時期。
- 欧米は政治的な材料に敏感なので、EU各国の政局や要人発言にも注意。
- 日本時間(9時~17時)ではなく、欧州(ロンドン)時間(17時~翌2時)に取引。
- 日経新聞の「ユーロ高・安」の記事が出たら、その逆張り(笑)
最後のは半分冗談ですが、日経新聞に通貨関連の記事が載った場合、市場は逆に動くというのはジンクスとしてあります。
個人的には7月前半は127円後半~128円台前半で買い。129円~130円で売り。
後半は128円台なら買い、130円超で売り。で行く予定です。
ユーロ円売りについては以下サイトをご参考ください。
⇒円高に備えた投資としてFXユーロ円売りは正解でした。