現在、市場ではかなり強いリスクオフムードがありますが、ここにきてFRBの利下げ期待が非常に注目されています。
そこで今回は米国の利下げ期待について私見を交えながらまとめておきます。
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米国利下げが期待されている理由
まず、米国の利下げが期待されている理由を見ていきます。
a.トランプ大統領の利下げ要求
トランプ大統領はFRBに関する話題では、必ずと言っていいほど現在の緩和縮小路線を批判し、利下げを要求しています。勿論FRBはそれを無視する事も可能ですが、事あるごとに攻撃をされているため、圧力という意味では非常に高まっています。
b.株価が下落、リスクオフ。
米中貿易戦争の影響もあり、米国の株価が下落してきています。まだまだ高値圏ではあるのですが、株価が全く上がらなくなってきたというのは疑いようもない事実ですので、ここから株価が大暴落という感じになれば、流石に利下げをせざるを得ないでしょう。
c.FRBが利上げ凍結中。
これが最大の理由かもしれません。前述の大統領による圧力もあり、FRBは前年の12月を最後に利上げを行なっておらず、今年中の利上げの見通しはないとまで言明しています。従来の緩和縮小路線が頓挫しているような形になっているわけです。
なので、ここから従来の路線を転換し、お金の蛇口を開く方向に向かう可能性が出てきたというわけです。
しかし、中央銀行はそう簡単には政策を転換しません。
中央銀行は超長期的な見通しを持って、緩和or縮小という政策方針を決めますので、目先の動きのみで簡単に政策は変更されません。
ですので去年から本格的に始まった利上げ路線を安易に変える事は無いでしょう。現状の利上げ凍結はあくまでも「様子見」であって、決して「次は利下げ」という意味では無いと思います。
勿論、この辺りは人によって違う意見があるでしょうし、どれが正解という訳ではないのですが、私はそう考えています。
もしも利下げになったら?
前述のように中央銀行が簡単に政策を変更する事はありませんので、それゆえ利下げとなれば、市場に対するインパクトは非常に大きくなるでしょう。
一度、利下げという事になれば、少なくとも利上げの方はもう数年単位で無くなる可能性が高くなる訳ですからね。
仮に利下げとなれば、ドルという通貨の旨味が少なくなりますので、為替相場は従来のドル高から転換し、ドル安相場となるでしょう(ただし疑問もあるのですが・・・これについては後述します)
株価に関しては、今の最高値を抜けてくるかは分かりませんが、一定の底固めの効果はありそうです。
ドルが買えないなら何を買う?・・・結局ドル買い?
ドルが利下げにより買いづらいとなると、他の通貨を買うことになりそうですが、そのドル売りの受け皿となる通貨が現状見当たらないというのも事実です。
こちらはドルインデックスの週足チャートですが、利上げが凍結され、利下げ期待が高まっているのにも関わらず、2018年の利上げ開始あたりから始まった上昇トレンドがしっかりと維持されています
ドルの受け皿となる円やユーロがマイナス金利を継続している事もあり「結局ドルしかない」という雰囲気があるのも事実です。
ドル円とユーロドルの週足チャートですが、ユーロドルは利上げ凍結という材料がありながらも、安値付近でレンジとなっています。ユーロがほとんど買われていない訳ですね。
ドル円は健闘していますが、未だにドル買いは根強く、利下げがあったとしても、本当にここから強力な下落トレンドを作っていくのかは疑問です。
消去法の円買いという例の展開にもなりそうですが、株価が利下げで爆上げとなればそちらも微妙になりそうですし、正直現状はよく分からないというのが本音です。
次回FOMCは6月18〜19日。発表に要注意。
以上で書いたように、あまりハッキリとはしない為替相場なわけですが、株価が下落している事もあり、次回のFOMCはかなり注目されるでしょう。
サプライズ利下げは無いと思っていますが、まあ何が起きるか分かりませんから、注意しとくに越したことはありません。サプライズがあるなら事前リークもあるかもしれませんので、そちらにも注意ですね。
まとめ
- FRBの利下げ圧力は日に日に高まってきていますが、本当に利下げするのかは疑問です。
- 為替相場は非常に微妙ですが、利下げがハッキリするまではドルも強さを見せそうです。利下げ後はドル円が動きそうに思いますが、株価との兼ね合いもありますのでこちらも疑問です。
現在はFRBのアナウンス待ちだと思います。さまざまな展開が予想されますので、臨機応変に対処していきたいですね。
※2019年7月16日続きを書きました
⇒アメリカFRBは本当に利下げをするのか?経済指標の結果を基に検証
※2019年7月29日追記:利下げ濃厚となりました
⇒米国FOMC利下げの影響で株価は暴落する?今後の見通しについて
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