バット・ストーリーは突然に・・・
日本列島に寒気が居座って久しい1月26日の午後、こんなメールがコインチェックに口座を持っているユーザーに届きました。
ネット上ではざわめきが拡がっていたようですが、私が事態に気がついたのは翌朝、下に引用させてもらった日本経済新聞の記事を読んでからです。
上記メールにもこの後にやっと気がつきました。
Contents
仮想通貨不正流出 大手取引所 数百億円の可能性
仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京・渋谷)は仮想通貨の一種である「NEM(ネム)」で不正な資金流出の疑いがあるとして26日午後、金融庁に報告した。
利用者に扱う全通貨の出金を一時中止すると伝え、同社は原因の調査を始めた。
ビットコインを含めたNEM以外の仮想通貨12種類の売買も中止している。
資金流出額は数百億円に達する可能性がある。
コインチェックは午後11時30分から和田晃一良社長が東京都内で記者会見を開き、不正流出の原因などを説明する。
金融庁関係者は今回の事態を受け26日夜に「まずは詳細、実態を把握する」と述べた。
コインチェックの取引停止を受け、仮想通貨は軒並み下落した。
情報サイトのコインマーケットキャップによるとNEMの価格は5時間で約2割、ビットコインも約1割下落した。
コインチェックは取引シェアでビットフライヤー(東京・港)などと並び国内大手の一角を占めている。取り扱い通貨の多さを売りにして利用者を獲得。口座数などは非公表だが「顧客の預かり資産は数千億円規模」(業界関係者)とされる。
金融庁は2017年4月に改正資金決済法を施行し、仮想通貨取引所に登録制を導入。利用者の資産と取引所の保有通貨を分別管理するように義務づけた。現時点で16社が登録されている。
※引用 日本経済新聞2017年1月27日付1面
しかし後に判明した推移によると、この時点でコインチェックのNEMは
時間(26日) 金額(日本円換算)
0時2分 1100円
0時4分 110億円
0時6分 110億円
0時7分 110億円
0時8分 110億円
0時9分 110億円
0時10分 22億円
0時21分 3.3億円
3時35分 1.7億円
4時33分 1.1億円
8時26分 8816万円
(注)1XEM=約110円で換算
※1月30日付け日本経済新聞3面より転記
と、あらかたカッサラワレており、のっぴきならない状況になっていたようです。
しかし、コインチェックが流出に気づいたのが、流出から半日近く経った午前11時25分。
そこから1時間後にネムの売買停止措置を取り、午後3時ごろにやっと顧客へのメールが届きました。
午後5時30分ごろからは、全13種類の仮想通貨の売買を停止し、事実上取引所は閉鎖されてしまいます。
そして同日午後11時30分、記者会見でNEMの流出が公表され、翌日の紙面の記事になるわけです。
ネタのような話ですが、記者会見中である午後11時42分にも30万XEMを奪われるテイタラク。
コインチェック酢は出金不可能に・・・言葉で説明できない
そして翌日(27日)午後にやっと下記メールが届きましたが、事態の説明も今後の対応も特に書かれておらず「とりあえずウチにあるゼニは出せまへんで!」と居直る始末。
「貸したカネ返せよ!」という歌詞のある歌がありましたが、資産を預けていた方々はまさに「預けたカネ返せよ!」という心境だったでしょう。
そして日曜日(28日)
「暗い日曜日」というシャンソン曲がありましたが、コインチェックのNEMホルダーさん達は、まさにそんな心境でしょう。ちなみにこの曲、聴くと死にたくなる「自殺ソング」だという都市伝説があります。縁起でもない・・・
などと考えていたら、またまたコインチェックからメールが着信。
そもそもコインチェックは「なりすまし」による不正送金などを上限100万円まで補償するサービスを昨年発表していました。
ただ「発表」はしていましたが、そのサービスはまだ始まっておらず、今回のような不正に奪われたケースについては補償の対象外としていました。
こりゃダメかな・・・と思っていましたが、上記のようになんとン百億円を日本円で全額返却するとリリースしました。
(詳細計算:5..23億NEM×88.549円=463億1112万円)
マジなら、コインチェックのNEMホルダーの方々には、カンダタが地獄で見つけたクモの糸のように救済の糸(意図)が「キラキラ」と見えてきたことでしょう。
創立数年のベンチャーにそんな自己資金なんてあるの?
でも、創立数年のベンチャーにそんな自己資金なんてあるんでしょうか?
参考程度に売上が460億円程度ある有名企業というと・・・
- 井村屋(あずきバー!肉まん!!) 東証2部 419億円
- フマキラー(殺虫剤とか) 東証2部 423億円
- なとり(やきとり缶詰め~) 東証1部 433億円
- リンガーハット(ちゃんぽん!)東証1部 438億円
- マネックス(取引で使ってる人も?) 東証1部 458億円
- 大塚家具(お家騒動だけ有名?) JQ 463億円
あくまで売上高ですが、一応老舗といっていい企業が一年で稼ぐことの出来る金額だということは間違いありません。
それだけの現金を用意できるのかどうか、今後の展開に非常に興味のあるトコロです。
ちなみに韓国では仮想通貨取引所「ユービット」の運営会社ヤピアンが昨年12月ハッキング被害によって約18億円を失い破綻しました。
他にも仮想通貨の不正な資金流出の事例として
- 2014年 マウントゴックス(日本) 約500億円
- 2015年 ビットスタンプ(スロベニア) 約5億円
- 2016年 ビットフィネックス(香港) 約65億円
- 2016年 ダオ(ドイツ) 約65億円
- 2017年 ナイスハッシュ(スロベニア) 約70億円
- 2017年 パリティーウォレット(イギリス) 約30億円
などが挙げられますが、顧客資産の返金を実行した例は無いようです。
取引所が復活した例はあるようですが・・・(調査中)
そして1月30日には金融庁からコインチェックに「業務改善命令」が出され、それに応答する旨ををユーザーにも通知(下記メール)。
文面を見る限りでは、今後も取引所を運営していくつもりのようなので、返金に応じてくれる可能性はありそうです。
1~3の項目に対しては返答期限が2月13日(再来週火曜日)までとなっていますので、ソレまでにはアクションを起こすことと思いますが、肝心の顧客資産の返却期限は相変わらず明記されていませんね。
しかし・・・「たしかなこと」も 今回のコインチェックの場合は、不正送金された痕跡がネットワーク上に残っている。
マウントゴックスの場合はバカ社長が顧客の資産を使い込んでいただけで、実際の仮想通貨(ビットコイン)を持っておらず、ニッチもサッチもいかなくなりましたが、今回のコインチェックの場合は、不正送金された痕跡がネットワーク上に残っており、同社の大塚取締役も「自社のネムがネットワーク上のどこにあるかは把握している」とも発言しており、パクられたNEMが存在しているのは確かです。
不正流出先の口座の持ち主は、コインチェックから奪ったネムを、その口座からさらに9つの仮想通貨口座に分散させているそうです。(1月30日)
だったら、ソレを取り戻せばいいんじゃね?と思いますが、NEMの普及・推進めざす財団ってのがちゃんとありまして、事件当初から協力的で早々に手を打ってくれており、コインチェックから流出したNEMは追跡済みで、その分に関しては売買できないようにしてくれたようです。
しかし、盗まれた資金を無効にすることは出来ないそうです。
まとめると、コインチェックから流出したNEMがある口座はネットワーク上に特定されていて、今後それを現金化することが出来ないようにはしたけど、コインチェックに返すことはできないよ・・・ってことですね。
なので、コインチェックが顧客にNEMを返そうとすれば、また仕入れないとならず、そうなると足元見られてフッかけられるのは目に見えているので、それより日本円で返すほうがマシ・・・と判断したんじゃないでしょうか。
報道やネット上のまとめを総合すると「まあ8~9割方カネは返ってきそうもない」という意見が大勢のようですが、個人的には半々ぐらいじゃないかと見ています。
と、いうのも、昨年、様々な仮想通貨が高騰しており、国内では最多級の13種類の仮想通貨を扱っていたコインチェックも多くの会員の需要に応えるため、それらを一定量保有していたはずだと考えられるからです。
それらを売却すれば、約460億円全額までいかなくてもいくらかを補填することは可能なのではないかと。
あとはコインチェック経営陣の「良心」次第でしょうね。
オマケ・・・NEM(ネム)はこんな仮想通貨
予備知識ですが、今回の主役仮想通貨NEMとは
「New Economy Movement(ニューエノコミームーブメント=新しい経済活動)」
の略称で、金銭的な自由、分散化、平等などの原則に基づいて新しい経済圏の創出を目指す仮想通貨のプロジェクトです。
登場したのは2015年3月末で、単位は「XEM(ゼム)」。
総発行量は約90億XEMで、初期にプロジェクトに協賛した約1600人の投資家に均等に配分され、今後の新規発行は無いとされています。
最近一年間(特に昨年5月終わりごろから)で価格が膨張し、価値が約350倍に膨張。
(2017年初頭0.7円が最高値245円程度に、現在は100円前後)
※チャート引用 みんなの仮想通貨
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