外国指標連動証券「S&P500 VIXインバースETN」の早期償還の理由を徹底解説

近年、投資商品は多様化しており、国際化の波もあり、私たちには馴染みのない商品も存在します。

「外国指標連動証券」もその一つです。この商品には早期償還という付帯条項が付されており、複雑な内容になっています。

そこで今回は、「外国指標連動証券」の商品概要と早期償還について解説します。

「外国指標連動証券」とはどんな商品か?

「外国指標連動証券」とは、ETN(指標連動証券)の一種で、S&P500(米国の株価指数)など外国の特定の指数に連動して値動きする商品です。

ETF(上場投資信託)と似ていますが、ETNの場合は裏付けになる資産を要しないという特徴があります。

例えば上場ETNの「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」は、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイが発行し、親会社である野村ホールディングスが元利金の支払いを保証する形になります。

これはどういうことかといいますと、ETFでは組み入れられている株式を運用会社が実際に保有していますが、ETNはS&P500の銘柄を保有せずに指数に連動した価格のみを野村ホールディングスが保証するという仕組みになっています。

「外国指標連動証券」の商品概要は?

それでは、「外国指標連動証券」の商品概要を見てみましょう。

【2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNの例】
・基準価額 1万円
・償還期限 20年
・利息 なし
・売買手数料
約定代金の最大1.404%(税込)で、20万円以下の場合は一律2,808円(税込)。
・管理費用 1.80%
・取引方法
指値、成行注文がともに可能です。
・税金

ETNは、JDR(信託受益証券)形式で上場されるため、株式と同様の扱い(税率20.315%)になります。

野村證券が扱うNEXT NOTESシリーズはほぼ同じような商品概要になっています。

2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNの例にあげた商品の詳細は下記のサイトをご参照ください。

⇒「外国指標連動証券」とは

早期償還はどんなケースで発生するのか?

さて、「外国指標連動証券」の特徴である早期償還はどのようなケースになると実施されるのでしょうか。

2018年2月6日、野村證券は「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」の信託財産の一部である、「S&P500 VIX 短期先物インバース日次指数連動債」の早期償還を発表しました。

この銘柄には、「米国市場において日中の取引価格が、当該指数値の前日比で20%以下になった場合は実現した日の10営業日後に償還する」という付帯条項があります。2月5日に前営業日比で20%以下に指数が下がったため、早期償還することになったものです。

「外国指標連動証券」の最大のリスクは上場廃止

▲「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」チャート(出典:Yahoo Japan)

「外国指標連動証券」にはいくつかのリスクがありますが、中でも最大のリスクが上記したような早期償還によって起こる上場廃止です。

早期償還されると自動的に上場廃止となり、市場での売買ができなくなります。「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」もすでに上場廃止になっています。

上場廃止になると市場価値は無くなり、上記チャートのようにつるべ落としの大暴落となります。東京市場での取引最終日の終値は1,144円でした。

最終的な償還金額に関しては、1万円×(早期償還額/100)の計算式に則り、支払手数料、源泉徴収額、消費税、信託費用を差し引かれた額となります。

早期償還の要件に関しては、野村證券から発表された下記プレスリリースをご参照ください。

外国指標連動証券の早期償還の決定に関するお知らせ

野村證券が最終償還額を発表

「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」について、野村證券から最終償還金額と支払いに関するスケジュールが発表されました。

⇒外国指標連動証券の償還金の取り扱いに関するお知らせ

支払い金額は最終取引価格1,144円から源泉徴収分を差し引いた額となり、2018年4月2日から支払い開始となります。

以上、「外国指標連動証券」の商品概要と早期償還についてご紹介しましたが、仕組みが複雑な上、強制償還もあるため、初心者の方には向いていない商品といえます。

それでも上記チャートを見ると、東京市場で2017年4月に2万円台だった価格が、2018年1月には4万円台まで2倍に上昇した値動きのよさは魅力で、投資中級者以上の方には一考の価値ある商品ではあります。

早期償還自体はめったに起こることではないので、株式における倒産と同じ不運に遭ったと、割切るしかないようです。

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