うさぎの体調をチェックする際にもっとも参考になるのが、糞尿の他、食欲です。
体の構造上、断食することが不可能な動物でもあるうさぎは、食欲不振というだけで重体と言っても過言ではありません。放置していると命にかかわります。
今回は、そんな危険な食欲不振を引き起こす原因についてまとめてみました。熱中症のように暑い時期特有など、特定の条件化で起こるものもあるため、ぜひ知っておいてください。
うさぎの食欲不振は危険!すぐに病院へ行くべき理由
草食動物であるうさぎはこまめに食事をとり、胃腸を動かし続けなければならない構造をしています。これはエネルギー補給としては効率が良くない草から、しっかり栄養とエネルギーを摂取するための体の作りです。
そのうさぎが食事を止めるということは、動かさなければならない胃腸に異常が出たか、胃腸を動かすほど体力が残っていない段階にまで陥っている証拠です。
胃腸に異常が出ている場合はエネルギー補給ができない上、消化器官のはたらきも止められてしまいます。常に動いていたものが止められるため、内臓機能は時間が経つほど弱まっていきます。
胃腸には何の異常もなく、胃腸を動かす体力が残っていない場合も、同じように内臓機能の低下につながります。また、体力がそれほどまで減っているということ自体がすでに危険です。
一度低下した内臓機能が自然に元の状態に戻るのは難しく、人間の手で原因を取り除いて適切な処置をしてあげなくてはなりません。そのため、食欲不振の可能性があるうさぎは、一刻も早く病院へ連れて行ってあげる必要があります。
<内臓機能が低下したままで放置した場合>
- 消化できなかったものが逆流して窒息する
- 胃腸に食べ物が溜まる
- 排泄ができなくなる
- 排泄されなかったものからガスが発生する
病院へ連れて行かず放置した場合、内臓機能の低下によるさまざまな弊害が起こります。うさぎは嘔吐できない体の作りをしているため、消化できなかったものが逆流して窒息死するケースも珍しくありません。
元気に長生きしてもらうためにも、ちょっと元気がないかな?と思ったら、早めに動物病院へ連れて行ってください。あとで手遅れになるよりも、獣医さんに「大したことないですよ」と言われて杞憂に終わる方が良いですよね。
食欲不振になる理由とは?熱中症や毛球症など主な原因
命にかかわる食欲不振を引き起こす原因は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 毛球症による胃腸の膨張
- 熱中症
- 体力低下による胃腸の弱化
- 消化不良によるガスの発生
- ストレス
うさぎが食欲不振になる原因でどの季節でも考えられるのが、毛球症です。毛球症は換毛期にしかならないんじゃないの?と思った方もいるかも知れませんが、実際には年中いつでもリスクがある病気です。
そもそも、換毛期自体が2~3か月ごとのサイクルであるため、真夏や真冬だけ気をつけていれば良い、というわけでもないのです。また、毛球症を引き起こす原因は換毛期の抜け毛だけではなく、あらゆる理由による胃腸の消化不良も当てはまります。
毛球症についてはこちらの記事を参考にしてください。
→『春のうさぎ飼育の注意点~毛球症(うっ滞)対策が大事~』
そして、夏に多いのが、熱中症です。暑い時期にぐったりしている様子が見られたら、まず熱中症である可能性が高いです。某動物病院によると、近年はうさぎの飼育数が増加するとともに、熱中症で運び込まれてくるうさぎの数も増えたそうです。
扇風機を当てているから熱中症にはならない、と言う飼い主さんもいるほど、飼育環境に関する正しい方法が浸透していないのが原因です。(汗をかかないうさぎに扇風機は無意味です!)
熱中症についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
⇒『うさぎの熱中症対策と症状が出た時の応急処置方法』へ
暑いと人間も食欲不振になります。うさぎは体力も低いため、その影響が如実に現れます。きちんとした飼育環境を整えて熱中症予防をしてあげましょう。
他にも体力低下による胃腸の弱化や、消化不良によるガスの発生が考えられます。どちらも高齢による体力低下が原因だったり、元から胃腸が弱い子だったりと、根本的な原因はさまざまです。
牧草を食べやすい3番刈りをメインにして、固めで栄養豊富な1番刈りを少なめにするなど、体質に合わせた食事を用意してあげましょう。獣医さんによってはヨーグルトやスポーツドリンクを与えることを推奨されることもあります。
この場合は指示通りに与えてあげれば問題ありません。牧草の例はあくまで一例ですので、その子に合った食事は何か、一度獣医さんに相談してみることをおすすめします。動物病院には、医療用のペレットなども販売されています。
最後は、ストレスによる食欲低下です。夏なら熱中症になっていなくても、暑さでストレスを感じているかもしれません。冬なら、じっと我慢できているように見えて、実はとっても寒がっているのかもしれません。
他にも家に新しいペット(うさぎの他に猫や犬なども)が増えたり、人間の家族が増えたことが原因である可能性も。急激な環境の変化はなかったか、ここ数日の出来事を思い出してみましょう。
もし改善できるようであれば、改善してあげるとストレスが和らぎます。改善が難しい場合は、獣医さんと一緒にうさぎちゃんの様子を見つつ、新しい環境に慣れてくれるのを待ちます。
うさぎの食欲不振の原因まとめ~うさぎ特有の病気にも注意しよう~
主に挙げられる原因はこのような日常生活や飼育環境に関係するものですが、それ以外の原因も考えられます。たとえば、雌のうさぎの場合は、子宮疾患です。
避妊手術を受けていない雌のうさぎは、年齢を重ねるごとに子宮や卵巣の病気にかかりやすくなります。一例として子宮水腫という、子宮が膨張する病気などが上げられますが、この病気によって腹部が膨張することで、食欲不振につながります。
雄の場合も精巣疾患や尿結石を発症するリスクが高齢化するごとに高まるため、同じような理由で食欲不振を起こす可能性があります。
どちらも予防するには、適切な避妊手術がもっとも効果的です。病気でもないのに切除してしまうのは可愛そうですが、長く元気でいてもらいたいなら、手術を考えてみても良いと思います。
1歳を過ぎる頃に、受けさせるかどうか決めてあげてください。あまり高齢になりすぎると手術を引き受けてくれなくなる動物病院も多いため、目安としては1歳を過ぎる頃がおすすめです。
うさぎは鳴かない上、ケージ内で飼育できる分、犬や猫より飼いやすいと考える人は多いです。実際には温度調節など繊細な体調管理が求められるため、人によってはとても難しい生き物です。
少しでも長く健康に生きてもらうには、食欲不振のような小さな変化にもすぐに気づいてあげられるよう、毎日様子を見てあげてくださいね。
※うさぎも対応している全国の病院情報はこちら
⇒
※毛球症対策はこちら
⇒『春のうさぎ飼育の注意点~毛球症(うっ滞)対策が大事~』
※夏の熱中症対策はこちら
⇒『うさぎの熱中症対策と症状が出た時の応急処置方法』
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