うさぎ飼いさんのブログなどを見ていて、この時期に目につきやすくなるのが、「夏だから毛をカットして涼しくした」という話。自己流で行っている人もいれば、ペットショップで店員さんにおすすめされて…という人もいるようです。
ここで思うのが、「うさぎの毛って本当にカット(トリミング)して良いの?」という点。換毛期でわざわざ体力を削ってまで夏仕様の毛に生え変わったのに、人間が安易にカットしても良いのでしょうか。
そこで今回、しっかり調べてみました。先にネタバレしてしまうと、「うさぎのカット(トリミング)は不要!」でした。
何故かと言うと、いろいろな危険が潜んでいるためです。同じく勘違いしやすいシャンプーの危険性と一緒に、「うさぎのトリミング」でひとまとめにしてご紹介します。
うさぎのカットやシャンプーが危険な理由~脊髄損傷など事故のリスク~
うさぎのカットやシャンプーといった、いわゆるトリミングが危険なのは、ハサミで皮膚を傷つけてしまうかも?という事故の可能性だけではありません。危険とする理由は、以下のとおり複数挙げられます。
- うさぎ専門のトリマーの曖昧さ
- 暴れることによる脊髄損傷
- 皮膚や耳を傷つける可能性
近年では、うさぎ専門店を中心にうさぎのトリミングを行っているお店も見られるようになりました。でもご存知でしょうか、犬を可愛くカットするドッグトリマーはきちんと専門学校が存在しますが、うさぎのトリマーを育てている学校なんて存在しないことを。
この時点ですでに「うさぎのトリミング」に疑問が出てきてしまいます。お店で実際にうさぎをカットしたりシャンプーしている人は、一体どこでその技術を学んできたの?と、思いませんか?
やはり、現場で先輩のやり方を見て学ぶか、犬のトリミング経験を活かして自己流で行うしかないようで、ネットの掲示板では現役(犬の)トリマーさんが「うさぎのトリミング方法は?」と質問している書き込みまで存在しました。
つまり、犬のトリマーさんのように専門学校できちんと技術や知識を学んだり、資格を取得していない人でもうさぎのトリミングを行っている可能性が高いのです。(中には犬のトリマー資格を持っているから大丈夫、という考えのお店やスタッフも…)
犬のトリマー自体が国家資格ではなく、認定資格(民間の資格)なので、犬のトリマーさんの中には無資格で就職しているケースも珍しくありません。しかし、きちんと明確な技術が確立されている分、うさぎよりは学びやすいと言えます。
もしうさぎにぴったりのカットやシャンプーを行える知識や技術があったとしても、避けられない事故もあります。うさぎは骨が細く小さいため、ちょっとした衝撃で折れたりヒビが入ったりします。自分自身の蹴る力でダメージを受けるほどです。
とても臆病なうさぎだと、知らないトリマーさんに触られただけで暴れて逃れようとします。その際に無理に抑えつければ、自分自身の逃げようとする力で脊髄を損傷したり、骨を折ったりする危険があります。
この危険性があるため、うさぎのシャンプーを希望する人がいてもお断りする、と決めているショップも少なくないのです。ハサミやバリカンで皮膚、もしくは耳を傷つける可能性もありますが、それ以上に一見しただけでは分からない骨の怪我に気をつけなくてはなりません。
他にも、カットすることで体温調節機能が低下したり、換毛期のサイクルが乱れたりする危険も挙げられています。
毛が絡まった、毛に洗い流せないような汚れがこびりついた、といったやむを得ない理由がない限りは、カットやシャンプーを必要以上に行うのはやめましょう。
うさぎの汚れや毛が気になる時は獣医さんへ相談
うさぎのカットについては、賛否両論と言っても間違いではありません。ただ、よくよく調べてみると、「うさちゃんも暑いので、カットしてあげましょう!」と言っているのは、どうやらペットショップの人が多いのです。
たくさんの動物病院のブログを見てみましたが、「うちでカットしてるので、トリミング受けに来てね!」とカットを奨励している先生はいませんでした。
中には飼い主さんが毛を短くした患者うさぎを紹介している動物病院のブログもありましたが、その病院ではうさぎのカットを受け付けてはいませんでした。また、他の動物病院も犬や猫のトリミングはあっても、うさぎのトリミングメニューは(私が調べた範囲では)皆無でした。
つまり、お店の人はカットしてあげた方が良いと言っている一方で、獣医さんが(獣医学的に)見ると、うさぎのトリミングは必要ではない、ということ。
医療行為の一環として目にかぶさった毛や傷まわりの毛を刈ることはありますが、獣医さんがすすんでトリミングという意味でカットをすすめることはないのです。
もしアンゴラなど長毛種のうさぎさんを飼っているのなら、自己判断でカットをするのはおすすめできません。どうしても暑そうに見える、というのなら、獣医さんに相談してみましょう。
カットが必要なら提案してくれますし、そうでなければ適切な飼い方を指導してもらえます。
カットやトリミングはしない!グルーミングスプレーを活用しよう
獣医さんに行かなくても家で手軽にできるのが、グルーミングです。夏は換毛期でもあるので、抜けた無駄な毛をこまめにとってあげましょう。これだけで毛と毛の間に適切な隙間ができるので、体の熱を発散できるようになります。
グルーミングスプレーをかけてから手でなでるだけで、無駄な毛だけが綺麗にとれます。スプレーの水分による気化熱で体表の熱も下がるため、うさぎも涼しさを感じられます。
ただし、濡らし過ぎはストレスになるので注意。あくまでグルーミングが主な目的です、スプレーは同じ場所に何度も噴射せず、一回のプッシュで出る程度で十分です。
汚れやすいお尻は濡れるほどスプレーしても良いですが、絶対にそのまま放置はしないようにしてください。スプレー後は汚れに液体をなじませ、ふやかしたらすぐにティッシュやガーゼでふき取ります。
お尻周りは水分をしっかりふき取りましょう。放置すると皮膚炎やストレスの元となります。
無理に体毛をカットしてトリミングしなくても、うさぎは気温調整さえしっかりしていれば問題ありません。逆に、カットした毛のまま人間が快適だと思う温度でエアコンを入れていると、風邪をひいてしまいます。
ショップでカットをすすめられても、必ず獣医さんの意見を聞くようにしてください。間違った暑さ対策をしてうさぎを病気にしないためにも、普段から専門家に相談する癖をつけておきましょう。
※暑さ対策の方法については、こちらも参考にしてみてください。
→→『うさぎの夏の暑さ対策、飼育方法の注意点 まとめ』へ
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