うさぎの毛球症手術の話 ~治療の体験談その後の予防について~

毛球症の手術を我が家のうさぎが体験した時のことをご紹介します。

毛球症はどんな症状が表れるのか、手術にはいくら必要なのか、毛球症を予防するにはどうすればいいのかについて参考になればと思い書きました。

当時、我が家には2羽のうさぎがいたのですが、このうちの1羽が体の小さいタイプの子でした。今思えばスーパーミニウサギだったのかな?というくらいに特徴的な小ささで、とても活発な性格をしていました。

そんな我が家のうさぎが、毛球症の手術を受けた時の話です。

手術を受けたきっかけ~体調や仕草に現れる兆候~

手術を受けたのは、はーくんにとっての弟分、ミックス(雑種)のチビでした。

もともと小さい体で、内臓も弱い(しょっちゅう下痢をする)子だったので、実家に連れ帰った時は体力づくりを兼ねて庭で遊ばせていました。たくさん動いて腸のぜん動にも良い効果が出たら良いな、と思って遊ばせていたのです。

ある日、実家の庭で遊ばせてちょっと目をはなした隙に姿が見えなくなっていました。

庭から飛び出したのかと焦って探したら、庭の隅にある木の根元で発見。根本のところで二股になって伸びている木なのですが、その股になった部分に挟まっていたのです。

木の隙間に縦になって挟まっているので、後ろ足で立っているような体勢。そのまま呼びかけてもじっと動かず同じ姿勢でいるので、「遊んでいるうちに抜け出せなくなったのかな?」と抱き上げて下ろしてみました。

が、しばらくすると、また同じ場所で同じ体勢になっています。

さすがにおかしいと思い、病院へ連れて行ってみると、「遊んでいるうちに何かの事故で前足あたりの骨が折れて、痛みを我慢して変な姿勢になっているのでは?」との仮説が。全身のレントゲンを撮影され、念のため他の病気の可能性も考え血液検査なども受けました。

結果、分かったのが「どうやらお腹に何かが詰まっている状態だ」ということ。

お腹に何かが詰まっていて苦しいので、縦の体勢になってお腹への圧迫を和らげようとしていたのではないか、と獣医さんに説明されました。

血液検査ではそれらしい病原菌も見つからず、何が詰まっているのかは取り出してみないと分からないと言われました。

ここで出たのが、手術の話です。

手術で取り除いて、何が詰まっているのか確認してみては、と。

実は手術を受けるまで、毛球症だとはっきり診断が出たわけではなかったのです。

ただ、今思えば、

  • 普段から内臓が弱かったこと
  • 毛繕いが大好きで頻繁に行っていたこと
  • 牧草嫌いだったこと

これらの特徴が毛球症を引き起こしていたように思います。(実際、内臓の弱さと毛繕いを獣医さんに指摘されました)

毛球症とは?

うさぎが発症しやすい病気で、内臓機能低下により体内に毛玉が溜まってしまった結果、便秘や食欲不振、水分の過剰摂取などの症状が出るものです。以前までは『毛繕いしすぎて胃腸に毛が溜まる』→『胃腸のはたらきが低下する』という考えだったのですが、近年では『胃腸の働きが低下する』→『飲み込んだ毛の排出ができなくなる』という順番が主となっています。

うさぎは胃腸のサイズが小さく、腸が長い動物です。そのためちょっとした不調で胃腸のはたらきが低下し、排泄がうまくいかなくなってしまうのです。とくに体力を消耗する換毛期は胃腸が弱りやすい上、毛をたくさん飲み込んでしまうことから、毛球症のリスクがかなり高くなります。

最悪の場合、死にいたることもあります。

手術の決断は難しい~うさぎの個体の特徴で成功率が決まる~

人間の場合、お腹に何かが詰まっているなら手術で取り出しちゃえば良い。と即座に決断できるのですが、うさぎの場合はそうはいきません。

ペットは人間の言葉をニュアンスでしか理解できません。怒っている、褒められているなどは分かりますが、手術の重要さを説明しても理解してもらうのは不可能です。

そのまま飼い主の意思だけで手術を受けた場合、突然の体の異変にほとんどのペットが混乱し、強いストレスにさらされます。体から知らない薬品の匂いがしたり、身に覚えのない傷ができていたり、分けのわからない痛みや違和感を傷口から感じたり。

体の大きなゾウなども、ちょっとした手術痕をストレスに感じ、死にいたることもあるそうです。そのため、動物の手術は人間以上に体への負担や術後ケアが重要視されます。

ストレスのリスクだけでもペットの手術はできるだけ避けたいものですが、もう一つ、我が家のうさぎには問題がありました。

獣医の先生曰く、体が小さすぎるのだとか。

我が家のもう1羽のうさぎと並べると一回り小さいチビは、ドワーフ系(小さい種類のうさぎ)を親に持つのでは、と思うような小ささでした。近年ではスーパーミニウサギと呼ばれる、成長しても小さいままの雑種うさぎです。

スーパーミニウサギは、その体の小ささもあり、体力が少ないという特徴を持っています。それに加え、今回のような開腹手術は、小さな内臓にダメージを与えてしまうため、容易ではないのです。

それを聞いた時、正直このまま手術を受けさせて良いのか迷いました。治ってほしくて受けさせる手術で死んでしまったら、と考えると、いっそ手術を受けない方が良いのではとも思ったこともあります。

迷いましたが、獣医さんがとても丁寧な先生だったので、思い切って手術をお願いすることに。

この時、うさぎの手術の成功率は種類や症状だけではなく、体の大きさも重要なのだと実感したものです。

毛球症手術費用と入院期間 ~ペット保険には入っていなかった~

当時はペット保険も犬猫専用のプランばかりで、うさぎ用はかろうじて子うさぎ限定で見つかるくらいのものでした。そのため、我が家のうさぎはペット保険未加入のまま手術を受けることに。

開腹手術と手術前&後の入院で、期間は約1週間。手術後にお見舞いに行ったら、とても疲れているらしく、四六時中眠そうな顔をしていました。

先生曰く、うさぎの体力を考えて短時間手術で済むように目立つ塊だけを取り除き、腸内の全部を点検することはしなかったそうです。それでもすっきりした様子で、与えられた小松菜を食べていたので一安心。

費用は手術と入院で20万円ほどかかりました。

ペット保険未加入なので、割引も全額保障もありません。(※費用は病院や地域ごとに、また手術内容などで変動します。あくまで目安として見てください。)

手術で原因が判明 ~毛球症だと分かった瞬間~

手術後にお見舞いに行った際、チビの体内から取り出した異物を見せてもらいました。消化しかかったペレットらしき緑色に絡む、茶色い毛。それが直径3センチ程の大きな塊になったものでした。

我が家のチビは茶色い毛をしているので、100%チビ自身の毛。毛繕いで飲み込んでしまった毛がきちんと排出されず、体内で時間をかけて蓄積されていった結果できた異物です。内臓が弱く、消化機能がうまくはたらかない体質だったことが災いして起こったものでした。

以前まで毛球症は毛玉の飲み込み過ぎが原因で消化機能が低下するものだと考えられていましたが、近年では消化機能の低下や異常が先に起こった結果、毛玉が体内に蓄積されるケースも認識されています。

我が家のチビのように、体の小さいうさぎは体の大きいうさぎより消化機能が弱いので、体質的に毛球症になりやすいのだそうです。

体験して実感したこと 費用問題と今後の毛球症の予防について

手術が成功して、我が家のチビは無事に帰ってきてくれました。手術の時はとにかく成功するかどうかしか考えられませんでしたが、無事に手術が終わると、今度は費用問題について普段から考えておくべきだな、という思いが膨れてきます。

今回は20万円、なんとかなる値段でしたが、もしこれが長期入院や長期通院に発展したり、再手術が必要だった場合。さらに倍以上の費用が必要になったかもしれません。

  • 手術費用は普段から備えておくべき
  • 1回で済むとは限らないと思っておくべき
  • 入院や通院の可能性も考えるべき
  • 再発予防に体調管理が必要

実感したのは、このような費用問題への備えと今後の予防の重要さです。きちんと予防しておけば再度手術で苦しい思いをさせなくて済みますし、再発しても、費用をある程度備えておけば十分な治療を受けさせてあげられます。

チビの場合は体質的なこともあるので、食事に気を付けつつ、再発の可能性を考えなくてはなりませんでした。

<再発防止にしたこと>
  • おやつとペレットの厳選(小麦粉を避ける)
  • ブラッシング
  • お腹の膨らみチェック

毛球症の症状を引き起こすのは、機能が低下した消化器官による消化不良です。小麦粉のグルテンは消化を邪魔するので、徹底的に避けるようにしました。

それまでは通常のペレットを与えていましたが、小麦粉が含まれているので、小麦粉不使用のものを選んで購入。おやつもうさぎ用ミルクを中心にしたり、時たまヨーグルトやフルーツをあげる程度にしました。

ブラッシングで飲み込む毛の量を減らし、毎日お腹を触って膨らんでいないかをチェック。毛球症になるような状態の時は、腸に溜まったガスでお腹が膨れると聞いたので、毎日チビを遊ばせる時にお腹を触って膨らみをチェックしていました。

※ブラッシングの重要性については、サイト内の換毛期に関する記事でもご紹介しています。
⇒『春のうさぎ飼育の注意点~毛球症(うっ滞)対策が大事~』へ

ペット保険があると心強い

予防しているとはいえ、再発した時のために一度にまとまったお金を何度も貯めておけるかというと、不安です。やはり犬や猫のように手術費を保障してくれるペット保険は必要だなと感じました。

当時は年齢制限が低めに設定されていたので加入できませんでしたが、スーパーミニウサギなど体の小さいうさぎを飼っている方には、今からでも入れるペット保険を検討していただきたいと思います。

高齢うさぎだけではなく、体の小さい子や内臓の弱い子、消化や排せつを助ける牧草をあまり食べない子は、手術のリスクが高いことを理解しておいてください。

雑種は丈夫な子が多いと言われがちですが、けしてそんなことはありません。体の大きさや個体それぞれの特徴を理解して、飼っているうさぎに合った備えを用意してあげてください。

年齢的に加入できるペット保険が見つからないという時は、満11歳まで加入できる日本アニマル倶楽部の『プリズムコール(THE ペット保険 PRISM)』などがおすすめです。

ペット保険についての詳細記事はこちら
うさぎが加入できるペット保険は?~満11歳未満の高齢うさぎも入れるプリズムコールがおすすめ~』)

手術のリスクを減らす健康的な生活とは?~うさぎの寿命も伸ばせる~

この手術の話で私が言いたいのは、普段健康そうにしていても、本当に健康とは限らない可能性も疑わなくてはならない、ということです。

うさぎは草食動物(つまり肉食動物に狩られる側)なので、ギリギリまで体調不良を見せないとよく言われています。病院に連れて行くまで、我が家のうさぎも本当に元気に振る舞っていました。

エサは毎日たくさん食べるし、水もたくさん飲む。走り回って遊ぶし、毛繕いも毎日欠かさない。周囲からすればいつも通りのその姿が、実は彼らにとって本能からくる我慢の習性だったのです。

  • 換毛期はブラッシングを念入りに
  • 普段の行動をじっくり観察する
  • 胃腸に良いものを与える
  • 個体に合わせた対応をする

毛球症予防として大切なのは、とにかく毛玉をお腹に溜めさせないこと。ブラッシングは毎日行ってあげるべきものですが、換毛期は1日に何回も繰り返すくらい行ってあげましょう。うさぎが自分で飲み込む毛の量をできる限り減らしてあげてください。

普段の行動もじっくり観察して、少しでも違う行動をとるようであれば、病院に連れて行ってあげましょう。毛球症はお腹がポッコリ膨れることがあるのですが、飼い主が触って確かめるより獣医さんに確かめてもらった方が早期発見につながります。

胃腸に良いものを与えるのも重要です。我が家はこれを機に完全にグルテンフリー(小麦粉不使用)のエサに切り替え、おやつも果物や野菜、ヨーグルト中心にしました。

我が家のうさぎは体が小さく、その分内臓も小さいです。内蔵が小さい子はとくに小麦粉使用のエサはリスクが高まるので、個体の特徴に合わせたエサ選びを行う必要があります。

他にも大きすぎるエサはこまかく砕いてあげたり、牧草の種類も選んであげたり、飼い主の一工夫でうさぎの食生活や内臓環境は改善されます。食生活で毛球症のリスクはある程度減らせる(内蔵の機能低下を防げる)ので、よくよく観察してみましょう。

うさぎさん各々の特徴に合わせたお世話をしてあげることで、病気のリスク軽減ひいては長生きにつながります

(※エサの改善参考に、牧草の選び方についての記事をご覧ください⇒⇒『うさぎ用エサの選び方~最初の牧草は1番刈りがおすすめ~』へ)

まとめ

うさぎの毛球症は、起こりやすい病気のひとつです。今回の我が家の体験談を参考に、他のうさぎ飼いの方々も改めて毛球症をはじめとした『うさぎの病気』への対策や予防に関心をもってもらえれば嬉しいです。

今回の毛球症について(症状や費用、施術)
  • 前日までの様子は元気
  • 異常な行動(縦の体勢になりたがる)
  • その他の異常(腹部が微妙に膨れる)
  • 手術費用は20万円
  • 手術内容は腹部切開の上、胃や腸内の異物取り除き
  • 入院から手術、退院までは一週間

我が家の場合は庭で遊ばせている時にあからさまな異常を見せてくれましたが、中には何の前触れもなく突然倒れ、そのまま亡くなってしまう子もいるそうです。(元気に走り回っていたのに、次の瞬間には亡くなっていたという話があります)

うさぎの病気はいつ発症しているか分かりません。事前にブラッシングなどの対策をしてあげても、なる時はなります。大事なのは、すぐに異常に気付いてあげることと、いざという時はすぐに適切な治療を受けさせてあげること。

最近はペット保険も充実していますし、自力で貯金しておくのが難しいという人は、こういったサービスを利用して備えておくと、自分の生活にも無理なく対策してあげられます。

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