ジェイ・エス・ビーのIPO評価分析 ~堅実に見送り予定~

日本全国で学生向けに特化した賃貸事業を営むジェイ・エス・ビー(3480)が東証二部に上場することが決まりました。

想定価格は3100円

BB期間は2017年6月30日から7月6日

仮条件は6月28日

公開価格は7月7日

上場日は7月20日です。

東証マザーズに上場するクロスフォーとの同日上場となります。

仮条件や追加情報は日本取引所グループのホームページから確認できます。

ジェイ・エス・ビーは学生向けの賃貸事業を中心に全国展開しています。

正直に言うと私は全く知らない企業でしたが、創業1976年、前年度末時点で支店68店、管理戸数60,154戸、管理棟数は1,584棟という凄まじい実績を持ち、更に数々の関連事業に関わる事業も自前で持つ、学生向け賃貸業者では押しも押されぬ大手老舗企業でした。

しかも、年々管理数は増えており、高齢者事業にも進出していることから、長期保有しておいて、じっくりリターンを得るには良い企業です。

IPOの案件として見ると、個人投資家が参加し辛い高価格帯での想定価格と、注目度の低い東証二部への上場ということから、高いリターンを得るのは難しい案件だと予想します。

率直に言えばIPO投資としての魅力は乏しいでしょう。

そこで、今回のおすすめ指数はIPOとしては40、長期保有としては70です。

それでは、次項ではジェイ・エス・ビーの情報を解説していきます。

是非、貴方のIPOの参加の是非に役立てて下さい。

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ジェイ・エス・ビーの事業内容

ジェイ・エス・ビーの事業内容は「学生向け物件を中心とした不動産賃貸管理事業、高齢者住宅事業およびその他の事業」と有価証券報告書に記載されています。

ジェイ・エス・ビーの主な事業は学生向け物件を中心とした不動産賃貸管理事業、高齢者住宅事業およびその他の事業の3種類です。

ジェイ・エス・ビーの賃貸事業ではスタイルが確立されています。

物件の入手方法

自社で土地を買収して建てたり、収益が期待できる物件をオーナーに提案して建ててもらったり、既存の物件を買収するなどして入手します。

その後、その物件を自社で借り上げて一括管理します。

物件の設備・サービス・入居者管理に至るまで全てを把握することで、高いサービスと無駄のないコスト管理を実現しています。

そして、ターゲットに適した物件を構築して学校などと提携して賃貸人の確保を行なっていきます。

そもそも、余程のことがない限り、学校に通う学生が転居することは無いでしょうから、これはとても上手い商売です。

しかも、学生なら転居の時期も把握しやすいでしょうから、次の賃貸人を募集するタイミングもスムーズに行えますね。

そして、ジェイ・エス・ビーは学生向け賃貸事業で得たノウハウを活かして、高齢者向け賃貸事業の展開も始めています。

日本が少子高齢化社会になることは目に見えていますので、今後は高齢者向け賃貸事業に注力していくことでしょう。

ジェイ・エス・ビーの強さのポイント

ジェイ・エス・ビーの強さのポイントは、関連事業を自社内の子会社で全て行えることです。

営業・管理を行う
ジェイ・エス・ビー・ネットワーク

建物施工
株式会社 総合管財

保証業務を担う
リビングネットワークサービス

募集や就職・就労支援まで行える
株式会社 OVO

介護事業を展開している
グランユニライフケアサービス

自社内で関連事業を全て行えるので、無駄な関節コストが掛からず、それでいてスムーズな対応が可能です。

その他事業

また、学生・高齢者向け賃貸事業に比べると、大分規模が小さくなりますがジェイ・エス・ビーでは、通常の不動産仲介企業のような対象を絞らない賃貸事業や、不動産売買事業も行っています。

私が見た限りでは、ジェイ・エス・ビーは現段階で学生向け賃貸事業企業として完成していて、今後、時勢に合わせて高齢者向け事業に注力していっている企業だと分析しました。

ジェイ・エス・ビーの財務情報

売上

2012年10月 24,509,790,000円
2013年10月 24,935,111,000円
2014年10月 28,204,299,000円
2015年10月 単体 28,436,436,000円
連結 32,058,755,000円
2016年10月 単体 29,588,885,000円
連結 34,063,698,000円
2017年4月 連結 19,504,252,000円

経常利益

2012年10月 537,976,000円
2013年10月 358,956,000円
2014年10月 881,926,000円
2015年10月 単体 1,398,765,000円
連結 1,479,408,000円
2016年10月 単体 1,528,523,000円
連結 2,063,834,000円
2017年4月 連結 2,558,197,000円

純利益

2012年10月 364,538,000円
2013年10月 387,849,000円
2014年10月 320,815,000円
2015年10月 単体 803,348,000円
連結 811,629,000円
2016年10月 単体 904,792,000円
連結 1,187,197,000円
2017年4月 連結 1,509,000,000円

この規模でも年々売上が拡大を続けており、利益面でも順調に利益を伸ばしています。

財務の安定感は抜群です。

日本取引所グループに公開されているジェイ・エス・ビーの有価証券報告書

ジェイ・エス・ビーのIPOは買いなのか?見送りなのか?

ジェイ・エス・ビーのIPOは見送りです。

注目度の低い東証二部への上場という事と個人投資家が参加し辛い高めの想定価格から買いは限定的になり高いリターンは見込めません。

また、仮に上場後に初値が上昇しても公開価格から+50%の価格でベンチャーキャピタルのロックアップが外れるので、そこから売りが入り結局は初値は抑えられるでしょう。

IPO投資としては勝ち目が薄いので、ここは素直に見送りをオススメします。

買い要因

  • 安定した業績
  • 安定感抜群の事業

見送り要因

  • 注目度の低い東証二部上場
  • 想定価格が高い
  • 大株主にはベンチャーキャピタルが多数

ジェイ・エス・ビーの関連銘柄

日本全国に事業展開している同社ですが、自前で関連事業の子会社を持ち、幅広い地域に分散して事業展開を行なっている為、深い関わりがある特定の関連銘柄はありません。

その中で敢えて関連銘柄を言うとすれば、大株主の中に日本の不動産の雄 森トラストがいます。

保有株式は3%程ですが多少なりとも繋がりがあることが伺えます。

これだけの規模を誇るにも関わらず特定の関連銘柄が存在しないのは、自社なで事業を賄える同社の強さの表れだと思います。

ジェイ・エス・ビー初値予想は?

ジェイ・エス・ビーの初値は注目度の低い東証二部への上場・高めの想定価格という要因から抑えられ、公開価格から+5%〜-5%辺りで落ち着くと予想します。

仮に公開価格が想定価格の3100円になったとしたら初値は3255円〜2945円辺りになるでしょう。

セカンダリーが狙えるか?

今回のジェイ・エス・ビーの案件はセカンダリーを狙える案件です。

失礼な言い方ですが、同社への市場の注目度は低くく、それに伴い株価も低くなるでしょう。

しかし、事業性を見ると非常に安定性が高い企業だということが分かります。

その為、いずれは株価が見直されるでしょう。上場後の株価が落ちたタイミングで拾って長期保有していけば、いずれ報われる銘柄だと予想します。

主幹事情報

ジェイ・エス・ビーのIPO主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。

副幹事は、野村証券、エース証券・エイチ・エス証券、いちよし証券、SBI証券、岡三証券、西村証券、SMBC日興証券、カブドットコム証券です。

この中でネットから応募できる証券会社は、SBI証券カブドットコム証券SMBC日興証券です。

そして、副幹事の中に岡三証券が入っているので、後からグループ会社の岡三オンライン証券からIPOへ参加できる可能性もあります。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事とは珍しいですね。

私が思うに、同じ三菱UFJグループということで、副幹事ながらカブドットコム証券の引き受け数も多いでしょうから、今回のIPOはカブドットコム証券から参加することをオススメします。

まとめ

今回のジェイ・エス・ビーの案件はIPO投資として見る限りリターンを獲得することが難しい案件です。

私は手堅く参加を見送ります。

ただ、SBI証券ではIPOチャレンジポイントを貯める為に形だけ参加しておきます。

こうした積み重ねが、いつの日か報われると信じています。

私が思うにジェイ・エス・ビーは長期保有に、もってこいの銘柄だと思います。

安定感抜群の学生向け賃貸事業、そして、今後の日本の高齢化を見据えて、賃貸事業のノウハウを活かして老人向け賃貸事業を拡大させている。

上手く社会とマッチしていて成長するビジョンが描けます。

私は上場後のドタバタが終わり、株価が落ち着いてきたら保有のチャンスを伺っていこうと考えています。