南アフリカの政策金利が上昇【ランドの為替の見通しについて】
2015/09/06
2015年7月23日、南アフリカ中央銀行は1年ぶりに政策金利を引き上げ6%にしたことを明らかにしています。
しかしながらチャートを見ていますと必ずしも利上げで相場が上昇していないことがわかります。
確かにスワップ狙いでいえば確実に6%という利率は魅力的ですが、ここのところ金の価格が下落し、原油価格も大幅に下押ししている状況で、資源国通貨である南アランドには追い風になっていないことは間違いない状況といえます。
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米国の利上げはさらに下落する要素
また9月にも実施があるのではと憶測される米国の利上げも新興国通貨を押し下げる要因となっていることは間違いありません。これはドル南アランドの動きをみるとかなり顕著にわかることになります。
ここ1年では今がもっとも高くなってきており、利上げが決定すれば一段高もありえそうな気配となっているのが見て取れます。
中国の元切り下げもボディブローのように影響
8月に入ってから実施された中国の元切り下げもこうした資源国や新興国には大きな痛手となってきており、下手をすればデフレスパイラルに陥る可能性もあるのです。南アフリカが今後どれだけ巻き込まれることになるかはまだよく分りませんが、スワップ狙いで南アランド円を購入するなら大きく下落したときが狙い目になることは間違いありません。
参考:中国人民元切り下げで市場はどうなるのか?為替・株価への影響について
南アランドを購入するなら米国利上げを見てからが安全
不安定要素は引き続き多くなりますが、南アランドの取引を考えるのであればドル南アランドなら大幅上昇、南アランド円ならば大幅下落して底打ちする事態になるまで待ったほうがよさそうな状況となってきています。
このままではもう一段の下落がやってくることはほぼ間違いないのではないでしょうか?また中国がなにかをやらかす可能性はかなり高い確率で残っていますのでこちらにも注意が必要となります。
RSIなどで大幅下落のタイミングを確実にトラッキングすること
こうした新興国通貨の場合はRSIなどを使って底値を探ることが重要になります。確かに一旦底をつければ戻りを試す期間はずっとスワップポイントを享受することができますからかなり魅力的な取引ができるといえます。
通常なかなか暴落のあとに手を出しにくいとは思いますが、実は暴落した直後がもっとも参入しやすくリスクが少ない状況となる通貨でもあるのです。少なくとも今のタイミングはよほど長く保有するならば別ですがもう一段相場が動くのをまってからエントリーしても遅くはなさそうな印象が強くなっています。
米国の利上げは単なる利上げではなく政策変更であることを忘れないこと
金融市場関係者の間では米国の利上げが一回行われてもそれほど市場にはインパクトはないという楽観論を口にする者も増えていますが、これは大きな政策変更であり、新興国への資金の流れが一変する可能性もまだ多く残されています。新債券王のジェフリー・がんドラックもヘッジファンド大手のCEOレイダリオも異常にこの利上げを恐れており、市場で儲けている人間ほど警鐘を鳴らす状況となっていることを忘れてはならないといえます。
特に南アランド円のように実需がほとんどなく、売買者のほとんどがスワップ狙いという流動性のきわめて低い通貨ペアでは何かあれば相場が半分になることなど簡単に起こってしまいますからレバレッジを下げたとしてもスワップの利益を吐き出しても原資を確保できない可能性もでてきているのです。
これは迂闊に買わずにタイミングを狙うことが現状では最も重要ということができます。そのぐらいこれから9月にかけての相場については注意が必要な時期にさしかかってきているのです。今新興国通貨、資源国通貨はきわめて難しい状況にあるのです。