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コモディティ 原油

最近の原油価格の下落はどこまで続く?為替・株価への影響は?

2015/12/09

2015年6月時点では秋口には原油価格が上昇し70ドル以上をキープする見込みであるといった楽観的な予想を出すOPEC関係者もいて、また原油は元に戻るのかとも思われましたが、イランとの核交渉の締結で原油精製輸出再開から風向きは変わってきた状況で、中国の株価暴落などを引き金にしてコモディティ価格が軒並み下落する中にあって、原油価格もご他聞にもれずまたしても価格は下落途上にあります。

原油1

上のグラフでもわかるとおり、2006年に投機が集中する前のレベル、あるいはリーマンショック後に消費が下がって著しく価格が下落したレベルに下がろうとしていることが一目瞭然の状況です。

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原油は長期下落か

ブルームバーグの記事によれば、原油の供給過剰状態は数ヶ月単位の問題ではなく、年単位で考えていく必要があるともされはじめており、5年後受け渡しとなる米国の原油先物化核はすでにリーマンショックの水準を下回っていると報道されています。

原油2

石油の場合、やっかいなのは長期価格安定のために相当な先物にまで価格が設定されて取引されることで、実勢価格が市場に反映するまでには一定の時間がかかりますが、これを見る限り簡単に上昇局面に転じることはなさそうで、原油は当面安値で推移することが確定的な状況のようです。ほかのコモディティ価格の下落も手伝って資源国通貨での円高は今後かなり進むことが考えられる状況です。

原油安の恩恵は国内市場にも出始めている

消費者への価格はちっとも転嫁されませんが、原油価格の下落は顕著に企業の決算にプラスに働き始めています。まず電力各社は購入エネルギーコストの下落で相次いで利益が改善していますし、航空各社もコストが下がって経営が改善しはじめています。そもそもエネルギー輸入国で原油価格が下がって心配していれば世話がありませんが、落ち込む要素以上に実はプラスに働いている部分が大きいといえるのです。

困っているのは日銀黒田総裁か?

国内の6月消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が前年比プラス0.1%となり、物価上昇率の低迷が続いていますが、日銀は黒田総裁が来年度に2%まで上がるとのシナリオ実現に妙な自信を示しており、この秋口の物価上昇に異常な期待を示しています。しかし、この原油価格の下落という状況は日銀の見通しとは程遠い状況になっており、ほかのコモディティ価格の下落で円高が進むとさらなる貿易黒字が増加する可能性もでてきているのです。

実は2%達成は日銀の狙いではない?

6月に日銀の黒田総裁は講演で、ローレンスサマーズの長期停滞論を支持するような発言をはじめています。つまり低金利の時代は当面続くことを暗に示唆し始めているようにも見えるわけです。これは2%の物価コア指数の達成を対外的には大義名分にして量的金融緩和を継続していますが、実は国債の金利を上昇させないことを隠れた目標としており、今後もQEを継続させていく可能性も感じさせられる発言です。本来原油価格の大幅減で貿易赤字が減少し黒字化すれば対ドルでも円高が進む可能性があるはずですが、今後もドル円は上昇の可能性がでてきているといえます。

8月に一旦125円超で秋口に大幅調整も

ただ、こうなると悪い円安の世界に入り込むことになり市場が自浄作用として円高に戻らなくなることから相場はかなり不健全なものになっていくことになります。本来原油価格が下がり円高になれば国内の景気にもプラスに働くはずなのですが、どうも官製相場はいびつな状況が継続する感じで、まず8月中に一旦125円を超える上昇を予測する向きも増えています。逆に9月以降株式相場の下落に追随してかなり調整することを指摘する人も多くなっています。相場は思うように調整できないものですから、思わぬ方向に動くことも十分に想定しておきたいところです。

原油に投資する方法については→原油価格暴落は投資のチャンスか?【原油先物に少額から投資する方法】