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各国の情勢 日本

日銀の量的金融緩和は既に限界?出口論まで飛び出す状況の変化

2015年5月20日にまた日本の1~3月GDPの速報値が発表されます。市場予想では0.4%となっており、前回並のレベルが予想されていますが、この数字がよろしくないとまたまた海外の投機筋から日銀の量的金融緩和の追加措置に関する期待が高まりそうな気配で、週末までドル円は上げて日銀の政策決定会合で下落することになりそうな状況となってきています。

4月末の政策決定会合では、自民党の某参議院議員が追加緩和の実行を示唆したことから妙な動きになりましたが、案の定何も起きずにドル円も株も下落することとなっています。

この日銀の追加緩和というのはことある毎に話題になりますが、本当にこれ以上緩和できる余地があるのかどうか?が実は大きな問題になりつつあるのです。

80兆円使ったが株価は上がり円の価値は切り下げても物価は上昇せず

この間、国会では2年で2パーセントのインフレ実現の公約が果たされなかったことにだいぶ日銀の黒田総裁以下が追及されることになりましたが、いつの間にやら2年とは言っていないと言い張るようになり、実現できなければ辞めるとさえ豪語した岩田副総裁もそのまま居座る状態となっています。

既に日銀のバランスシートはGDPの6割超の状態

日銀のバランスシートは既に300兆円を超えるところまで拡大しています。これはGDPの6割であり、これまでの量的金融緩和で目標とされている数値が実行されれば実にGDPの7割近くまで膨れ上がることは間違いのない状況になっています。過去に3回のQEを実施した米国FRBのバランスシートが4兆5千億ドル、つまり日本円では530兆円規模であることを考えれば、いかに日銀のバランスシートが巨額かということも理解できます。

2015年1月に突如無制限介入をギブアップしたスイス中銀も外貨準備がGDPの7割に達したことで介入を放棄せざるを得なくなりました。ここまで緩和措置をしているのだから300兆円も400兆円も変わらないという人も多いですが、国内の税収はたった50兆円あまりであり、しかも公務員の給与だけでもその中から27兆円も負担しているわけですから、まともな世界では借金の返済ができなくなっていることは間違いありません。

日銀の国債買い入れは既に札割れも示現

直近では日銀による国債の買入れに札割れも示現しはじめており、銀行も最低限金融派生商品の取引用に国際を担保として保有することが必須となっていることから、どんなに日銀に脅かされてもこれ以上保有国債を手放せないぎりぎりのところまで来ていることは間違いない状態で、10月の追加緩和で宣言された70兆円の緩和規模も現状では実現が危うくなってきているのです。

ECB並のマイナス金利は日本では実行不可能

つい最近ブルームバーグが日銀の追加緩和策として付利を撤廃する方向についても報道していますが、この付利は事実上銀行に対する補助金となっており、メガバンク以外の銀行にとってはきわめて重要なものとなっている上、財務省OBから多くの天下りの入り込んでいる短資会社を破綻に追い込みかねない問題となるため、そうそう簡単にはこれを実現することはできないのが実情となっています。

2月の経済財政諮問会議では黒田総裁が安倍総理に直訴の場面も

2015年2月12日実施の経済財政諮問会議で経済再生、財政健全化について議論されたとき、黒田総裁が民間格付け会社が格付けを引き下げたことで安全資産とされている日本国債を持っていることがリスクになると国債を保有する日本の銀行の経営への影響を懸念し、リスクを訴える場面もあったようですが、なんと議事録からはずされる結果となっており、本当に政権と日銀がうまくいっているのかという疑義も高まりを見せています。たとえ一旦市場に出回った新発債でも日銀が早晩買入れることが前提となればこの行為が財政ファイナンスに類すると海外もメディアや投機筋から揶揄されるのは当然で、日銀がお金を刷って、国の借金を穴埋めしているとみなされれば、円の信頼は損なわることになりかねません。

2パーセント達成時が日銀最大のピンチ

結局日銀の最近の動きを見ていると、2%の達成そのものよりも金利を上げないことに尽力をしているようにしか見えないのが実情で、仮にこの秋口に2%達成となった場合には、既に金融緩和の大義名分を失うことになってしまいます。黒田総裁は既に出口を考え始めているという説もありますが、確かにどのように出口を作るかを考えないと単に金利が暴騰して国は国債金利を支払えなくなる可能性に直面しかねない状況で、既に闇雲な金融緩和の継続を期待できるような状況では亡くなってきているとも言えます。

参考:日銀が2%インフレ達成で抱える大きなリスクについて

特に株価が2万円、ドル円が120円あたりをさまよっている状態で緩和が出るとは思えず、今後海外の投機筋が勝手に期待しては失望売りを繰り返すことも予想されています。

この状況は為替にも深い影響を及ぼすだけに今後の動静をしっかりと見守る必要がありそうです。