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ドル円120円突破、急速な円安によるリスクや円安倒産について

2014年後半に入って急激な円安が進行しています。この背景にはいくつかの要因が考えられますが、明解な理由として次のようなものが考えられます。

■日銀による円の切り下げ政策の断行

これは2013年4月から始まっている黒田日銀総裁の強力なイニシアチブによる円安誘導による、ある意味捏造的なインフレの実現政策で、10月31日の追加緩和によりさらに円安が進んだことあげられます。すでにこの未曾有の金融緩和により20円以上の円安が示現しており、このままの状態でいえば更なる円安の方向へと進んでいくことは間違いない状況です。

■慢性的な貿易赤字の推移

2011年の東日本大震災以降貿易赤字が慢性化し年間で13兆円もの赤字が継続している点もファンダメンタルズとしてドル需要を支える実需の大きな要因となっています。実際には原発の停止でエネルギー輸入量が増えているわけではないのですが、この間に天然ガスなどの価格上昇が大きく赤字に響いてきたもので、今後原油価格下落の動向次第で状況は変わるものと思われます。

■米国のテーパリング終了を受けての利上げ期待からのドル高

2014年10月にFRBのテーパリングが終了し、米国の利上げ時期がいつになるのかに大きな注目が集まっていますが、国内の中央銀行と明確に異なる米国FRBの利上げ示唆もドル円をドル高に導いているといえ、実際の利上げが行われるまでは思惑からドルが買われやすい状況にあることもドル円の上昇を根底から支えている状況にあります。

このドル高円安状態はすでに2007年の高値である124円にあともう一歩のところまで迫っており、2015年はさらにオーバーシュートして130円台、140円台に到達するのではないかという専門家からの見方もでています。ただし、2013年までは明らかに円安が主導でドル円が上昇してきましたが、直近ではドル高が主導するようになってきており、円は本質的な意味で日本売りとして安くなりつつあり、いわゆる悪い意味での円安が進行する可能も出てきているのです。

また、その一方でこの円安が実は深刻な経済的なリスクを高めているという指摘も多く出始めています。

■円安にしても結局インフレになっていない

直近のCPIは2.5%程度を推移しており、4月の消費増税分の上げ2%程度を差引くと、これだけ円安が進行しているにも係わらず0.5%程度の物価上昇しか見込めていないところが大きな問題となってきており、年明けの二月以降にはまたデフレに逆戻りするリスクが高まっていることが危惧されはじめています。

■スタグフレーションへのリスク拡大

一方で、確実に消費財の原料価格は上昇しており、この時期に原油の大幅下落が示現してことにかなり救われていますが、今年国内では運送業中心としたサービス業がかなり円安の影響を受けて倒産数を拡大する結果となっている上に、一部の消費者物価だけが値上がりしながら景気は停滞するスタグフレーションの恐れも強くなってきているのです。

■消費税増税で可処分所得は確実に減り預貯金も減り始めている

一方で、明らかに個人消費は冷え込みはじめており、なにより可処分所得自体が諸費税増税と円安のお陰で減り始めているところも大きく危惧されはじめています。実際に12月15日に内閣府が発表した2013年度の家計貯蓄率はマイナス-1.3%でいよいよ各世帯が預貯金を取り崩し始めていることも示現しはじめているのです。

この株高円安の局面は有価証券を多数所有し、円安ヘッジができるように海外に資産をもったり外貨で預貯金をする富裕層にとってはこの上ないプラス局面ともいえますが、国内で特別海外に資産も持たなければ有価証券投資とも程遠い給与所得者は資産を円で所有している資産を切下げられているだけで、何のプラスにも働いていない状況が作り出されていることが最大のリスクとなってきています。

さらにこの円安を中央銀行のコントロール化で行っているうちはいいですが、やがて止められないほどの円安へと相場がシフトするようなことがあれば結果として悪い円安状態になることは間違いなく、実は日銀の今回の金融抑圧政策には想像以上のリスクが隠れていることがわかります。