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アメリカ 利上げ 各国の情勢

12月17日FRBの米国利上げによる世界各国の為替、経済への影響、見通し

2009年に起きたリーマンショック以降、市場に多くの資金を流すためにFRBは政策金利を0~0.25%まで抑え、実質的なゼロ金利政策をとってきました。

しかし米国内の雇用情勢回復や米経済が金利上昇に耐えられるだけの強さを手に入れたことを踏まえて約7年間続いてきたこの政策は終了し、政策金利を0.25~0.5%まで上昇させることとしました。

参考:米FRB、9年半ぶり利上げ決定 実質的なゼロ金利解除

こういった利上げは異常ともいえる金融危機の終わりを示すことから長い間投資家たちからは切望されており今回ようやく利上げに踏み切り平常の金融政策へ戻ったことを意味しているのです。

ではこういった利上げどのような影響を各国に与えるのでしょうか?

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利上げの恩恵を一番に受けた欧州 ユーロドルの動向

欧州では利上げにより共通通貨であるユーロが対ドルで下落しました。それにより欧州株は4日連続で続伸しています。

特に輸出企業や金融機関への買い注文が多く8月以来の伸びとなっています。このように欧州では対ドルにしてユーロが下落したため、自動車関連企業などの輸出企業が大きく値上がりしています。またアナリストたちの多くが2016年はドルがユーロを上回るだろうとの予測をしており、欧州へは良い影響が見込まれそうです。

中国への影響は限定的

中国は今回の利上げの影響により今まで超低金利であったために中国に流れていた資本が撤退することが予想されます。

そしてドル高元安となった場合には政府が人民元切り下げをすることや預金準備率の引き下げなどによる金融政策で利上げの影響をコントロールできるとの見方が強まっています。

市場の想定以上のドル高となった場合に政府は大きく人民元を切り下げないといけなくなった場合には市場がもたつく恐れがあります。また中国経済は減速傾向にあり、2016年もチャイナリスクは潜んでいることや人件費高騰を背景に国外会社の撤退が相次いでいるために今回の利上げによる影響は限定的であっても今後の利上げや潜んでいるチャイナリスクがあるために景気の底が固いとは言えないでしょう。

もっとも被害を受けるのは新興国

新興国通貨は2015年当初より米景気が堅調になってきたことからFRBの利上げを予想しており、トルコやシンガポール、そして南アフリカランドなどが大きく値を下げていました。

年の中頃には比較的安定した為替相場でしたが、年内の利上げが濃厚となって以降、新興国各国通貨は大きく値を下げており、特に南アフリカランドが影響を受けています。

南アフリカは経常赤字国でありもともと米の利上げによるドル高ランド安により自国経済が行き詰まると言われています。

それに加えてここ10年間の量的緩和によって新興国に大きく回ったドルなどが値上げによって引き上げられていく事、自国企業のドル建ての負債が大きく、収益の多くがドルで稼ぎ出せていない事や金などの価格が大きく下落している状況を鑑みると厳しい状況に置かれる可能性があります。

今後の利上げのペースによっては経済が大きく減速してしまうことがあり得るため、市場動向や経済状況には引き続き注視していく必要がありそうです。

日本へはプラス要素に 日経平均株価は上がるか?

利上げによってドル高円安になるために国内の輸出産業が大きく続伸し、自国経済へはかなりプラス要素となります。一方で円安のため輸入企業が苦しむことにより、国内の小麦などの原材料価格の高騰、食品などの高騰が考えられて、国内の個人消費がさらに鈍る可能性が考えられます。

ただ一部からは、中国の想定外の景気減速や想定以上の新興国の景気にぶりによって安全資産である円が買われ円高になるとの見方も出ているそうですが、政策金利の利上げになればドル高円安になる可能性が高いと考えます。

またイランが制裁解除を受けて輸出を解禁したことで原油の価格が下がり、原油輸入国である日米欧では原油輸入価格が下がることで比較的良い影響が出てくることが考えられます。

今後の動向は先進国有利

今回の利上げで最も恩恵を受けるのは先進国です。先進国(日本や欧州)はドルに対してユーロと円が下がるので、輸出産業が大きく伸びることが期待されます。

これに対して日本銀行の黒田総裁も日本や先進国へは良い影響を与えるだろうと言っているので、先進国に関しては悪材料が少ないと考えてよいでしょう。ただ新興国はいままであふれていたドルが金融引き締めによって(金融の正常化)資本が流出して苦戦することが考えられるために、2016年は非常にむずかしい年になることが予想されます。

関連記事:米国FRB利上げを2004年の酷似ケースから占ってみる【株価、為替への影響】