GPIFの株式投資増加は為替にも影響を与えるか?
GPIFのポートフォーリオの見直しが俄かに話題になっています。総額で130兆円ほどを運用する年金の特別行政法人ですから、確かに投資先の見直しは大きなインパクトを市場に与えることになります。また海外債券への投資が本格化すればドル転需要も発生することになるため、為替にも少なからず影響を及ぼすことになります。
ただ、これまで殆ど日本国債を買うことしかしてこなかった組織で、運用の担当者はほとんど公務員に近い世界で、給与についても外資系の金融機関でリスクをとるとともに応分の報酬をもらっている連中とはかなり異なる人材が動かしているのは間違いなく、外注を利用するとしても外資系のこうした機関と互角の投資レベルになっていくとは簡単に思えないのが実情です。
したがって、どれだけの成果が出せるのかとともに、本当にそれだけのリスクをとっていくようになるのかどうかが非常に注目されることとなります。とくに外債や外国の証券への投資に多額の資産が振り向けられればコンスタントに外貨需要が発生することになり、市場に与えるインパクトも大きくなります。
もっとも売却をしなければ利益にならないわけですから購入した分の外貨と同額かそれ以上の額がまた必要になることも事実であり、いい意味でも悪い意味でも為替に影響を与える可能性は高くなります。結果としてこうした投資は季節性で償還期には円高になるといった微妙な動きが形成されていくことが予想されます。
実際に現在のポートフォーリオのどれだけが外債へ振り向けられることになるかが大きな注目点となりますが、いずれにしても一度に動き出すものではないのと、国内株式投資額が大きくなる分には為替への影響はでないことから、どのようなポートフォーリオ変更になるのかが最大の焦点ということになります。
いずれにしても震災以降は、かなりまとまった形で貿易赤字が進行しており、当分これが解消される見込みはないともいえるため、この赤字がドル円の相場を支えている部分は大きく、さらにそこにこうした準公的資金が投入されるかどうかが注目されるところです。
輸出系企業ではかなりの部分の生産を海外に移したところも多く、円安が利益にならない企業も出てきていますので、果たして円安ドル高が本当に国としてプラスに働いているのかどうかは微妙ですし、円安からくるコストプッシュインフレではあまりいいインフレ状態といえないもの事実です。為替への影響がどのようにでてくるのかを冷静に見守る必要がありそうな内容です。