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アメリカ 各国の情勢 各通貨の状況

アメリカのシリア空爆と為替・経済への影響について【北朝鮮の動向次第か】

2017/04/14

まず基礎知識、シリア・アラブ共和国と内戦についてです。

シリア(シリア・アラブ共和国)という国はアラビア半島の首根っこ、北はトルコ、東はイラク、南はイスラエル、ヨルダンを挟んでサウジアラビア、西を地中海に接する位置にありまして、フランスの植民地からの独立後も周辺大国の影響を受けやすい立場にあります。

人口は2000万人ほどですが、内戦の影響により500万人以上が難民として国外に流出しており、さしたる産業もないことから国土は荒廃しきってるといわれております。

さて、なんでシリアは内戦状態にあるかといいますと、やっぱり宗教問題です。

現在はアサド氏という方が大統領をしておりますが、この方の属する宗教(の一派)は全国民の20%ほどなんですが、その他80%に比べてイロイロとエコ贔屓されてるんですね。

で、この状態にその他80%は当然不満なワケですが、アサド氏側の20%も大統領が変わっちゃうと今度は自分たちがイジめられることになるんで、絶対に政権は渡したくない、と。

カテゴリとしては同じイスラム教で、経典の解釈の仕方の違いだけなんですけどね~・・・。

で、お決まりの「デモ→軍が弾圧→目には目を→戦争」パターンとなり

ここにアサド政権の応援団としてロシア、その他の応援団にはアメリカがついて、内戦を終わらせる役割の国連の2大巨頭がバックでけしかけてるんで、戦闘が終わるハズもなく、そんなことをしてるうちに、イスラム国なんてのも登場して、三竦みのどうにも収拾のつかない状態になっちゃってるみたいです。

そんななか、アメリカは4月7日午前9時40分(日本時間)、シリアのアサド政権軍の空軍基地に、巡航ミサイル(トマホーク)59発を撃ち込みました。

トランプ大統領も当初は「イスラム国をやっつけてくれるんなら、アサドくんにちょっかい出すの遠慮してあげるよ」と言ってましたので、シナリオとしては「アサド+(アメリカ、ロシア含む)多国籍軍でイスラム国壊滅→選挙→徐々に民主(できればアメリカ寄り)化」を描いてたんでしょうが「それだけはやっちゃダメ」って注意してた化学兵器をアサド政権軍が、自分の子分(反アサド軍)につかっちゃったので、2013年ぐらいに「化学兵器は放棄しますよ」という約束をロシアを通してさせていただけに、メンツをつぶされた形になりなんらかの行動を起こさなければ、沽券にかかわる状態になったんでしょう。

ただでさえ、オバマ政権は軍事力の行使に消極的で、他国にナメられがちでしたから「強いアメリカ」をスローガンとするトランプ氏には我慢ならなかったのかもしれません。

為替相場への影響は小さいか?北朝鮮の動向次第

もっとも、このこと自体が相場に及ぼす影響は少ないと思います。

FX的には国境を接するトルコの通過「リラ」が下落していますが、いまのところ一時的には円高、株安に反応しましたが、9・11同時テロやイラク戦争に比べればショックは少なく、あのときも一ヶ月もすれば元に戻ってましたので、数週間~一ヶ月のスタンスでみれば、「あぁそんなこともあったかな」ぐらいのコトでしょう。

私としてはやはり、シリア攻撃の情報を知った北朝鮮の動向が気になりますね。

アメリカも空母を朝鮮半島近くに展開したみたいですし、さすがに今回は無風では済まない様相を呈しています。

FXはグローバルな市場ですが、やはり地域特性というのはあるみたいで、その通貨の使われている当事国や周辺諸国での地政学的、社会的な変化に対して敏感に反応する性質があります。

「遠くの親戚より近くの他人」じゃありませんが、遠い他国でのどんな大規模災害よりも、自国のイチ企業の収支とかのほうが、為替に与える影響が大きかったりするのです。

ずいぶんと薄情な気もしますが、そのくらいクールにしてないと相場では生き残れません。

結局今回も、シリアのことより、朝鮮半島情勢のほうが相場には重要です。

そのなかでも私たち日本のトレーダーが考慮しておくべき点は

  1. アメリカは北朝鮮に対して軍事的行動を起こすのか、起こすとしたらいつか。
  2. 中国の対応、反応はどう出るか。
  3. それぞれの場合の相場の反応はどうか。

でしょうか。

1、は艦隊を朝鮮半島近くに展開しているのですから、けん制・威圧は行われています。

しかも北朝鮮は核を持っていることは間違いないのですから、なにがしかのモーションを起こしただけでも先制攻撃の口実になります。イラクなんか「核を持ってるよーな気がする」ってだけで攻め込まれましたからね。一触即発であると言っていいでしょう。

2、に関してはある程度アメリカに気を遣った対応にならざるを得ないでしょう。

最低でも北朝鮮を全面支持する行動はできないはずです。

アメリカも基本的には中国による経済的制裁の強化を第一の選択肢として考えているようで、中国も応じる姿勢を示していますから、このセンでの制裁強化が一番可能性が高いでしょう。

となると3は円高、株安になることは目に見えてますが、問題はこの流れが一時的なものか、継続するものなのかということではないでしょうか。

私は「一時的なもの」であると見ています。

なにせ北朝鮮の経済的価値はほぼゼロですからね。

押さえ込みに成功したなら成功したで、リスクオンによる株高・円安の流れが復活するでしょうし、有事かそれに近い状態に発展した場合でも、北朝鮮の軍事力は威嚇を行える以上の戦闘力は無く、小競り合いにもならないでしょう。

そうなれば、地政学的リスクの無くなった相場はやはり株高・円安に傾くでしょう。

4月13日現在は、リスクオフに伴う株安・円高が進行していますが、月末にかけて下値を探る展開になるでしょうか。