東芝は本当に倒産してしまうのでは?
東芝が債務超過になってしまった原因と今後の見通しについて検証しました。
今回よりIPO関連ではなく、投資コラムもちょくちょく書いていきたいと思います。
第一回は風前の灯火の東芝についてです。
2年前に「東芝は倒産するかもしれない」なんて言ったら「そんな訳ないだろう」と人に笑われていたでしょうが、今では誰も笑えません。
何故なら、本当に東芝は倒産するかもしれないからです。
多くの読者の方は、日本の代表的企業として確固たる地位を確立し、世界にも名を轟かせていた大企業東芝が何故こうなってしまったのか?不思議に思っているのではないでしょうか?
ここでは、何故東芝が転落してしまってのか?そして、今後の東芝の未来を予想してみます。
最後には、私なりの東芝への投資スタンスもご紹介します。貴方の投資スタンスの参考になれたら嬉しいです。
目次
そもそも東芝ってどんな会社?
説明も必要無いかもしれませんが、まず始めに東芝がどんな会社なのかご紹介します。
2年前まで東芝は原発や軍事兵器といった重電、送電線や蓄電といったインフラ、パソコンや家電といった白物家電、パソコンやスマホに使われているメモリーを作っており、全ての事業のサポート・販売網も自前で持っていました。
その技術と組織力は高く、東芝が本気になれば東芝一社でインフラと都市をセットにして丸ごと作ることができると言われる程でした。
そんな東芝の業績は毎年毎年面白いように上昇を続け、不況もライバルの日立や三菱重工の調子が悪い年も、東芝は飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばし、更に日本や世界で確固たる地位を確立しました。
当時は余りにも好調な業績を不審に思う方もいましたが、東芝は日本の財閥三井グループに属していたので、東芝の業績は三井グループの組織力に下支えされているからではないか?ということで納得していました。
天下の東芝が何故こうなったの?債務超過の理由
東芝の転落の原因は、2011年に起きた東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた福島原発のメルトダウンです。
この事故によって日本のみならず世界中で原子力発電に対するリスクが見直され、原発開発計画の見直しが行われました。
その結果、原発事業を営む企業は無期限の事業停止に陥り先の見えない苦境に陥りました。
この時、原発事業を営む国内の日立・三菱重工のみならず、アメリカの原発大手W&Aも大きく業績が落ち込みました。
この時、東芝は業績の落ち込んだアメリカの原発大手W&Aを巨額を投じて買収しました。
この時のW&Aの買収額は、事業規模や資産価値から見ても想定価格よりもべらぼうに高く、何故これほどの巨費を投じて買収を行われたのか、、、今でもその理由は分かっていません。
今分かっているのは、同時の社長の鶴の一声で買収が決まったということだけです。
この年、東芝は巨額買収・相次ぐ原発計画の頓挫によって大きく業績を落としたのですが、、、何と東芝社内で粉飾決算が行われ企業利益を水増しして社会外的には好調なように見せかけていました。
そして、この年から始まった東芝社内でチャレンジと呼ばれる粉飾決算は、2015年に社外の第三者委員会に指摘されて発覚するまでの4年間、継続して行われ総額1500億円を超える利益を水増ししていました。
2015年に粉飾決算が発覚した時は、株主や顧客から東芝への不信感が募り事業危機に陥りましたが、この時、東芝は白物家電事業を中国の美的集団に売却、医療機器事業をキャノンに売却することで危機を脱します。
しかし、粉飾決算という重大事件を起こした事で、東芝は取引注意銘柄に指定され新たな株式発行が出来なくなりました。
利益の柱となる2大事業を売却したことでまとまった資金を得た事と再発防止策を講じたことで、株価も信頼も一旦は戻り2016年には株価は持ち直し自体は収束に向かいつつありました。
が、、、
2017年に巨額を投じて買収したW&Aが実は大きな赤字を抱えていることがW&Aの決算により発覚、この時東芝は自社の直系子会社であるはずなのにW&Aの損失額と理由が不明という常人には理解不能な状態に陥りました。
直ぐに調査が行われ判明したW&Aの概算の損失額は7000億円、損失の理由は原発事業の規制強化による保証の補填でした。この額と理由も東芝の公表によるものなので、どこまで本当なのかは分かりません。
しかし、とにかく問題は損失額7000億円よりも自己資本の方が少ないので、このままでは債務超過に陥り倒産するという事です。
そこで、とにかく資金を掻き集めなければならないのですが、東芝は粉飾決算の時に取引注意銘柄に指定されたので自社の株式を新規発行して市場から資金を集めることが出来ません、、、しかも、7000億ともなると銀行から融資してもらうにしても額が大き過ぎて難しい、、、完全に自業自得なのですが、もう完全に手詰まりです。
そこで、東芝は最後の手段となる収益の根幹であるフラッシュメモリー事業を分社化して株式を売却して倒産を回避する作戦に出ることにしたのです。
フラッシュメモリー事業は東芝の切り札で、この事業だけで市場では2兆円にもなると言われています。
売れば債務超過は回避され時間を稼げます。
しかし、フラッシュメモリー事業が無くなれば東芝の主力事業は原発だけになり、お金が稼げなくなります。
そうなれば、もはや企業としての存在価値は無くなります。というのが、いまの状況です。
現段階での最新ニュース
2017/2/15の会見で東芝は会計士が認定していない自社の決算書を公表。
会計士が認定する正規の決算書は1ヶ月後に公表すると会見しました。
そして、フラッシュメモリー事業の株式を全て売却することも視野に買収計画を立てると公表されました。
自分の妄想の決算書を株主に伝えるって、、、正直頭おかしいと思います。
しかも、経営責任を取って会長は退社するそうです。これはもはや、会長も逃げ出すほどの状況だとしか思えません。
今後考えられる東芝の未来、見通しについて
今後の東芝の未来は、次世代技術で唯一稼げるフラッシュメモリー事業をどうするのか?と、原子力発電事業の先行きに掛かっています。
国策となる原子力発電を手がけるメーカーなだけに、倒産することは無いと市場では言われていますが、JALが倒産したことを忘れてはいけません。
会社は無くならなくても、株式が紙くずになることはあるのです。
ここでは、私なりに東芝の未来を予想してみます。
パターン1.復活 フラッシュメモリー事業の継続
東芝のフラッシュメモリー事業の株式5割以上を東芝が握り、残りを売却して急場を乗り切る、尚且つ日本国内から有志企業が資金を集め東芝をバックアップするパターン
これなら時間は掛かっても復活はできます。
仮に原発事業に追加で損失が発生しても乗り切ることができるでしょう。
今のうちに東芝に投資していた人が儲かります。
パターン2.フラッシュメモリと原発事業で切りぬける
東芝のフラッシュメモリー事業の5割前後を東芝が握り、残りの5割を複数の買収先に分散して売却して急場を乗り切ります。
このパターンでは、原発事業で追加の損失額が発生しなければ復活できる可能性もあります。
そうなれば、今のうちに東芝に投資していた人が儲かります。
しかし、仮に原発事業で追加の損失額が発生すれば一気に東芝は窮地に陥ります。
そうなれば、フラッシュメモリー事業の株式を売却するしかないので、、、東芝はゆっくり死んでいくことになるでしょう。
そうなれば、東芝に投資していた株式は紙くずになり大損します。
パターン3.滅亡 フラッシュメモリー事業をすべて売却
東芝はフラッシュメモリー事業の株式を全て売却する。
急場を凌いだ後に、、、過去の凄かった企業として消えていくでしょう。
原発事業の為だけの企業となって生き残れる?可能性はありますが、株式の価値は紙くずに近くなります。
私の東芝への投資スタンス
東芝の状況は不明確なことが多く、しかも、企業としての信頼感も低いことから公表内容の真贋がはっきりせず予想は難しいです。
事実だけ見ると、会長が逃げ出すくらいにやばいので、東芝の未来は明るいものでは無いと言えるでしょう。
ただ、東芝のフラッシュメモリー事業の将来性は確かです。
これこそが唯一の突破口になるでしょう。
さて、私の東芝への投資スタンスですが、私は株式が紙くずになってもダメージが少ない株価が100円辺りになったら参加するつもりです。
これなら、どっちに転んでも良いなと思えるので無理なく取り組めます。
今後株価は大きく下にも上にも転がる可能性があります。どちらの結果になっても、自分が納得できる形で投資を行うのが良いでしょう。