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資産運用の風潮の高まり:2001年、金融商品取引法の発布
長引く不況の最中においてはいかに自らの力で将来の資産を増やしていくか自助努力による資産運用が重要になってきますが、2000年以降金融ビッグバンなどの規制緩和もあり、個人による投資商品による資産運用の幅が格段に広がりました。もちろんその流れに乗って多くの投資性商品が発売され、投資性商品は数が増えただけでなくその商品内容や取引態様などの仕組みも複雑化の傾向にあります。商品が複雑化すればするほど当然業者消費者間のトラブルも増えるばかりではなく複雑化もしていきますが、知識量に差がある業者と投資家においてはその優位性にも差が生じてくるのは仕方のないことであり、大抵は投資家が被害に遭い泣き寝入りするケースが後を絶ちませんでした。
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そういった中で経済の先行き不安と公的年金等社会保険に対する不信感から個人の責任における自助努力による資産運用の風潮も高まったのに加え、従前は株・債権などの証券や金融先物や保険等その他金融商品ごとに規制法が存在しており、その法律の隙間をつくような金融商品による被害が拡大したことから、包括的な取引規制に関する法律の制定による法の整備を行い、投資家保護の環境整備が必要とされていたという背景にあって、2001年に金融商品取引法が発布されました。この金融商品取引法のポイントとしては以下の4つとなります。
ポイント①:投資性のある商品すべて規制対象
まず1つ目としては、今までは株・債権等証券は証券取引法、金融先物は金融先物取引法など個別の金融商品につきそれぞれの規制法があるという非常にバラバラな法体系であったのが、金融商品取引法では投資性のある商品については横断的に隙間なく同等の規制の対象となるといった具合に、法律の隙間を狙った金融商品でさえもすべてこの金融商品取引法の規制対象になります。
ポイント②:内閣総理大臣への申請登録が必要
2つ目として、金融商品を取り扱うすべての者は等しく「金融商品取引業」となり、内閣総理大臣への申請登録が必要となったということです。金融商品を販売するだけでなく、投資に関する助言業を行うだけでも登録が必要となるので、登録の有無によりある程度業者の信ぴょう性を測ることが出来ようになりました。
ポイント③: 金融商品に関する広告規制の強化
3つ目としては、投資家保護の目的による金融商品に関する広告規制の強化です。ここでいう広告とはチラシやパンフレットなど郵便によるものからFAXやWEB上の広告、電子メールを媒体としたものも含み「多数の者に対し、金融商品に関する情報提供を行うもの」であればすべてこの規制の対象となります。
金融商品取引業者は広告を掲載したり交付する際は必ず、①事業者名、②登録番号、③重要事項を表示する義務が課されました。重要事項とは元本割れの可能性や、顧客が不利益の被る事実または可能性についてなどが含まれます。またよくある話として顧客が不利益となる事実については、小さいサイズの文字で記載するなどといったことがありますが、これも規制対象であり、同広告内の最大サイズの文字と異ならないサイズの文字での記述が義務付けられました。
ポイント④:規制に差を付けている
最後に4つ目として、金融商品取引業者がプロかアマチュアかによって規制に差を設けていることです。もちろんプロの方が規制は厳しくはなるのですが、アマチュアといっても一般的な個人投資家もその規制対象となるので注意です。市場に参加している以上はアマチュアとはいえ立派な投資家であり、虚偽の情報流布し市場を操作したり、未公表の重要な情報を入手してのインサイダー取引に関われば当然のように刑罰の対象となります。
以上のように金融商品取引法の目的は公正で透明感のある金融市場の構築が目的であり、自助努力が叫ばれる昨今においては安心して資産運用が出来るよう投資家の大きな一助になっているがこの金融商品取引法なのです。