FX初心者のための役に立つブログ

FXに関するブログです。FX初心者向けのわかりやすい解説ブログを目指しています。

アメリカ 各国の情勢

投資適格債から売られる米国債券市場~テーパータントラムの足音が聞こえる?

2015/06/29

米国の債券市場において、2013年5月バーナンキ前FRB議長のQE終焉発言以来急激に押しよせたテーパータントラムの再来を予期させるようなことが起こりはじめており、注目されています。

そのひとつが、ジャンク債ではない、投資適格債の大幅急落の動きとなって示現しているのです。この米国における投資適格債の価格は6月に入ってたった2日で1.1%も下落しているのです。2013年のテーパータントラムでは実に5%の下落を示現していますが、債券関係者によればこの動きはきわめて2013年に近いとの指摘がでているのです。2年前のときもジャンク債ではなくレベルの高い適格債から売られたという事実があるだけに債券関係者の間ではこの先を非常に危惧する声が高まっているのです。

特に2015年4月以降、ドイツで10年債の金利がまさかの暴騰を引きおこしたことでかなりの金融機関と債券を扱うヘッジファンドが大きな損失を抱えることとなり、6月ほとんどの先進国の株価が下落したのはその穴埋めのための優良株の下落であるという噂にもなっているほどの状況です。この先こうしたハイグレードボンドのフローが全般的にマイナスに転じることとなれば、利上げを前にして本格的にテーパータントラムが巻き起こる可能性が高まることも考えられ、株も為替も十分な注意が必要となる状況を迎えていることになります。

今回こうしたハイグレードファンドを積極的に売り抜けているのは長期投資を基点とするミューチャルファンドであり、FRBが久しくなかった利上げを検討する状況下で、債券相場のボラティリティが世界的に拡大方向に動いていることだけは間違いないのです。

PIMCOは5月に保有の米国債の3分の2を売りぬけ

ビルグロースが放逐されたことでまたまた有名になった債券運用大手のPIMCOですが、最近発表されたデータによれば手持ちの米国債のなんと3分の2を既に5月末に売りぬけていることが判明し業界で話題になっています。欧米企業のファーストイン、ファーストアウトの動きが徐々に鮮明になりつつある中で、市場には大きな動きが出る可能性を指摘する向きも増えている状況であり、大きな巻き戻しが起こる可能性も否定できなくなってきているのです。

為替市場はすっかり債券金利と連動して動く時代に逆戻り

米国のQE以降為替市場は株価に連動したり、株ともに債券が上昇したりと、まったく整合性のとれない状況が継続してきましたが、欧州の債券金利が暴騰して以来、すっかり債券金利にリニアに連動する状況が続いています。米国の債券金利とともにドイツの債券金利を横にらみしながら売買しなくてはならなくなっているのが5月以降の為替相場となっています。債券市場は中央銀行の方針を反映する鏡のような市場です。

これまでの株式市場はゼロ金利を基準にバブルが進行してきたわけですが、金利上昇局目では株は割高になることは確実で買いあがる力を失います。また為替レートは通貨ペアとなる2国間の国債の交換レートそのものであり、金利の呪縛からは逃れられない市場がまたやってくることになろうとしているのです。現在のすべての金融バブルを異常低金利が支えている以上、今後も金利の動きに引き続き注目せざるを得ないマーケット状況となっています。

一旦は黒田発言で125円シーリングとなっているドル円も債券金利次第で再上昇?

ここのところすっかり上値の重くなっているドル円ですが、黒田シーリングと呼ばれる125円を再度試しに行くかどうかはまさにこの金利次第の状況になっているといえます。おそらく日米の金融当局もドルの上昇を止められるとは思っていないように思われますが、上昇のスピード感がかなり早かったことと、9月ないし12月に迫る米国の利上げ前にドル円の発射台を少しでも低く抑えたいと考えている気配が強まっています。夏にむけては膠着状態が続く可能性はありますが、今円を買い上げなくてはならない理由はほとんど見つからず、今後も上方向へと向かう可能性を視野に入れておきたいところです。