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雇用統計29万人と好調な米景気!3月再利上げはあるのか?

注目のアメリカ雇用統計が発表になりました。市場予想の20万人を大きく上回る29.2万人という数字に「わ!ドル高か」と思いきや、意外にもドル/円は円高に向かいました。

米国景気の力強さが確認できたのに、弱いドルとニューヨーク株。その背景にはさまざまな要因が入り乱れ、迷宮に入ったような状態に……。再利上げの見通しを含め、最新の市場動向を探ります。

雇用統計ドル安ドル/円チャート(出典:SBI証券)

ドルの頭を抑える外部環境悪化あれこれ

利上げ後にドルの頭が重く、ニューヨーク株式市場のダウ平均が下落した背景には次のような要因があげられます。

・原油安……ついに1バーレル30ドルまで下落し、まったく下げ止まる気配がありません。石油、資源関連企業の業績悪化につながるだけに、ニューヨーク株式市場への影響が多大です。

・中国人民元切り下げ……世界の金融市場に大きな影響を与えている中国の景気減速は、人民元の切り下げで、表面化した形です。中国は人民元の切り下げによって輸出の回復を目標としているため、アメリカの貿易赤字拡大の要因になります。

・上海株式市場の急落……3,000ポイントの大台を割り、市場心理は急速に悪化。パニック売りの原因となった、サーキットブレーカーのシステムは停止されたものの、依然として不安定な値動きが続いています。上海市場の急落は、東京市場に影響を与え、ニューヨーク、欧州にも飛び火する悪循環に陥っています。

・サウジアラビア問題……1月3日にサウジアラビアのジュベイル外相が、イランとの外交断絶を発表。地政学リスクの高まりは、安全通貨とされる円が買われる傾向にあり、ドル下落の要因になりました。ただ、この対立が第5次中東戦争にまで発展すれば、原油を輸入に頼る日本への影響が多大なため、ドル高の要因になるという見方もあります。

・失業率の高止まり……雇用者数は大幅に増えたものの、失業率は5%で高止まりしたままです。そのことで、アメリカの景気は本当に回復しているのか、という疑念が生じています。今後は雇用者数だけではなく、失業者数にも注目する必要があります。

利上げは3月に実施との見方が有力

アメリカFRB(連邦準備制度理事会)は複数回にわたって利上げを実施する意向です。

市場のコンセンサスとしては、2016年3月にも実施する可能性が高いとみられています。ただ、FRBも急激な利上げは企業の設備投資を冷え込ませ、住宅ローン金利の上昇から住宅の販売にも影響が出るため、実施しても0.25%の小幅なものにとどめるでしょう。その見方が大勢を占めているため、ドルの上昇が抑えられているともいえます。

もし、0.5%と予想以上の幅で利上げされれば、一気にドル高が進む可能性が出てきます。ただ、外部環境を考え合わせると、そこまでリスクをとって利上げするとは、考えづらく、当面ドル/円相場は神経質な動きが続きそうです。

ニューヨーク株の動向いかんでは、利上げ見送りも

アメリカ政府はかつてから、金融危機の際は、為替よりも株価の維持を優先してきた歴史があります。アメリカは日本と違い、株主の50%を個人株主が占めています。

そのため、株式市場の下落はそのまま個人消費を冷え込ませ、小売りを中心に景気の悪化に直結します。ニューヨーク株式市場の調整が長引くようであれば、昨年同様たびたび利上げを見送ることも考えられます。

2016年も、基本的な流れはドル高で変わりありませんが、タイムリーな材料によっては、ドル安になる局面もあるでしょう。FX投資においては、利上げの可能性をにらみつつ、個別の材料をニュースでしっかりチェックする必要があります。

執筆者:aozorahiroba