フランス極右政党党首マリーヌ・ルペンの発言でわかったユーロ離脱予備軍の順番
2015年6月25日にブルームバーグに掲載されたフランスの極右政党・国民戦線の党首・マリーヌ・ルペン女史の発言が金融市場で話題になっています。
写真出典 ブルームバーグ
国民戦線などという政党もルペンなどという人物も日本ではほとんど知られていませんが、なんと2017年に実施される大統領選挙の初回の世論調査でルペン氏は、現役のオランド大統領、サルコジ前大統領、バルス首相を抑えて最大の支持を集めているのです。このルペン女史が大統領に当選して自分が決めてもよいのならフランスもあまり遅れをとらない形でギリシャに続きユーロを離脱すると発言しているのです。
国が成熟化して衰退してくると右翼化した人物が登場して国民を煽動するというのはどこかの国にも一脈通じる流れですが、このフランス大統領選挙でルペン女史が大勝することでもあれば、フランスのユーロ離脱もまんざらない話ではなくなりつつあるのです。同氏は「今日私たちはGrexitについて話しているが、明日はBrexit(英国の欧州連合=EU離脱)、そしてあさってはFrexitだ」とフランスのユーロ圏離脱を明確に口にしているのです。
英国では2017年のEU離脱の可否をめぐる国民投票が前倒し?
ルペン女史が指摘している英国では、2017年に正式にEU離脱の可否をめぐる国民投票が早期実施される可能性もでてきており、こちらも今後の情勢から目が離せない状況になってきています。イギリス国民の大半はEUに加盟したことで雪崩れ込んできている移民の連中が英国国内にとどまることを強く嫌気しており、日本と同じ島国根性の高さを示現しはじめています。
またユーロに加盟することで負担増を求められている加盟追加負担金についてはキャメロン首相自身が猛烈に反発しており、こちらもどうなるかわからない状況になってきているといえます。これを見越してか、英国最大級の銀行であるHSBCが英国から本拠地を国外に移すことを正式に検討中と表明しており、金融機関も続々と英国からの離脱を視野に入れ始めているのです。
英国、フランスの離脱でユーロはおしまい?
現状ではユーロ離脱に関するEU内の条項がないためギリシャが離脱することとなっても結構な時間がかかるといわれていますが、一旦離脱プロセスが制定されれば、その後に続くところは比較的簡単に離脱できる可能性も出てきているのです。当初はスペインやイタリアかと思われた離脱話がイギリス、フランスの順番で主要国から進むこととなると、果たしてEUという組織や、なにより共通通貨であるユーロは一体どうなってしまうのか?非常に為替的な即目から言えば興味の高まる問題が見え隠れしはじめているといえます。
ドイツではギリシャ問題をめぐってメルケル、ショイブレ蔵相が対立
一方、ギリシャの債務問題をめぐってだめなものは切り捨てるべきと明言するドイツのショイブレ蔵相と安全保障上の問題からやたらをギリシャをかばうメルケル首相との間にかなり深い溝ができつつあるといった報道が欧州各紙に目立ち始めています。また国民も政権内の政治家もショイブレ発言を支持しはじめており、メルケル首相の支持率がここのところ下がり始めているとの指摘もでています。下手をすればギリシャをかばって命取りになりかねない状況で、こちらも見逃せない状況となってきているのです。
こう見てくると、ユーロ圏というのも決して安定的な基盤が確保されておらず、ややもすればドミノ倒し寸前の状態がやってくる可能性が見え始めているといえます。英国にしてもフランスにしてもEUから離脱すれば大幅に自国通貨の価値が下がりかなり厳しい状況に陥ることは間違いありませんが、それを押してでも離脱するという国民感情が高揚しはじめるとEU自体何をもって存続させていくことになるのか、かなり危うい状況も想定されます。気がつくとユーロの買い材料というのはどんどん減ってきており、再度対ドルでパリティに向かうことが現実の問題になってきているようにみえます。