日銀金融緩和、マイナス金利導入へ

2016年1月30日、日銀金融政策決定会合にて9人の政策委員のうち5名の賛成、4名の反対により日本の金融政策では初めてとなるマイナス金利を導入しました。

4人の反対の理由は主に効果の不透明性、そして混乱を招くといったものでした。直後に日経平均・日経225は下がったものの、内容を見てリスクオフから一転900円以上値を上げました。この日だけで900円の値幅となり荒れた展開となりました。最終的な終値は前の日より476円高く取引を終了しました。

マイナス金利

またアジア圏の株価やNYダウなども日本の新たな金融緩和を好感して、続伸となっています。

予想通りの金融緩和 内容はサプライズ

今回も日銀、黒田総裁らしい金融緩和となりました。原油価格の先行き不透明による世界的なリスクオフや寒波などの影響による米国や日本の個人消費の伸び悩みなどを受け、金融緩和をしなければならない状況となっておりました。

その為、日銀が金融緩和をすることの予想は昨年から容易に立てられました。ただその内容は長期国債買い入れなどにより市場に資金を投入するという従来の金融緩和だろうと予測していましたし、新聞各紙でも金融緩和なら国債買い入れという論調が目立っていました。

ただ発表された内容はECB,ほか4か国が採用しているマイナス金利の導入というものでした。日本人にはなかなか聞きなれない言葉だと思いますが、いったいどのようなものなのでしょうか。

マイナス金利は銀行の極端なリスクオフにメス

現在日本の銀行の預金金利はとても低くなっています。それはバブル崩壊後に不良債権などを多く抱えた銀行が破たんや大幅な赤字になるなど、経営危機となったために安全な預金運用しかしなくなったためです。

その為、融資や株などに多く回ってもよい預金が銀行の銀行である日本銀行に対して日銀当座預金として預けられていました。日銀当座預金は利子が0.1%となっており、主に当座預金としておくだけで安全に0.1%の利子を生み出すことができていたのです。

今回のマイナス金利導入はここにメスを入れたものです。もちろんすべての当座預金がマイナス金利となるわけではありませんが、これにより銀行は日銀当座預金として預けるメリットがなくなり、融資や投資などへ向かうことが期待できます。また自国の通貨安、日本でいえば円安に誘導できる効果もあり日本にとってのメリットは大きいです。ただ物事は表裏一体のもの。かならずデメリットもあります。

一般の預金金利が低くなる恐れも

マイナス金利導入により国内銀行は既存の日銀当座預金を移動させることも考えなくてはなりません。

ただ今まで日本では行われなかった金融政策ですし、すぐにお金が循環するとは限らず、そのしわ寄せが逆に国民に来る可能性があります。これにより更なる個人消費の減退となっては元も子もなくなってしまいます。

日本にとってデメリットは少ない

ただ実際にマイナス金利に国内銀行が対応できないと考えられます。また通貨安により国内企業に対しては基本的に追い風となるわけですから、そこから設備投資につながるという景気の好循環を期待してもよいと思います。

またこれにより政府・日銀は新たなツールを手に入れたと考えてよいです。今までは量的・質的金融緩和という国債買い入れなどによるものだけでした。

ただ目新しさはなく限界が見えてきたときに、マイナス金利導入というツールを手に入れました。これによって次に金融緩和をするとなった時に選択肢が増えますし、経済状況に柔軟に対応することができます。

いずれにしても企業が設備投資や賃上げに踏み切らない事には景気の好循環は生まれず、金融緩和を繰り返すという負のスパイラルになりかねません。今後のキーマンは賃上げや設備投資回復によるGDPの押し上げになります。

参考記事:大きく動いた金融市場!FRBが3月利上げに含み、日銀はマイナス金利で応酬

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