夏の換毛期後のうさぎに見られる毛の特徴~耳毛が薄いのは病気ではなく暑さ対策~

うさぎは年に数回、換毛期を迎えます。季節ごとに過ごしやすい毛に生え変わることで厳しい気温の変化を生き抜いていくのですね。

初夏にはまた換毛期を迎え、夏の暑さに少しでも適用できるように変わっていきます。ここで気になるのが、耳の毛。

耳の毛がいつの間にか薄くなっていた!という経験はありませんか?はたして病気なのか、何が原因なのか、今回はこの耳に生えた毛が薄くなる理由についてご紹介します。

うさぎの耳の機能と血管

うさぎの耳が長い理由は、遠くの音がよく聞こえるようにと誰もがそう答えることでしょう。しかし、それだけではありません。うさぎの耳が長いのは、少しでも表面積を大きくしておきたいから。

何故耳を大きくする必要があるのかというと、うさぎは耳の表面で体温調節を行っているためです。うさぎの耳にはたくさんの血管が通っており、ここを熱くなった血液が通ることで適切な温度に冷まされ、体内に熱がこもり過ぎるのを防いでいます。

暖かい時と涼しい時、もしくは平常時と興奮時のうさぎの耳を見比べてみてください。暖かい時や興奮時など体温が上がりやすい時は、耳の血管にたくさんの血液が流れるため、耳全体が赤みを帯びて見えます。血管もいつもよりくっきりと見えるようになります。

逆に、涼しい時や平常時はそれほど耳は赤くなっていません。健康なピンク色が透けて見てる程度です。血管も太いのは見えますが、細いのはあまりよく見えない状態になっています。それほどたくさん血を流して、体温を下げる必要がないためです。

このことを踏まえて、うさぎの耳の毛が剥げてしまう理由を挙げると、それは「暑いから」です。とくに今のような暑い時期は、たくさんの血液を耳に流して冷やす必要があります。そのためには、熱の放出を邪魔する毛が不要となります。

うさぎの毛がなくなった部分を確認してみてください。もしそれらしい傷や虫の痕跡など異常が見つからず、しかも血管がたくさん見える部分に限って毛が薄くなっているのなら、暑さに備えているだけ。病気ではない可能性が高いです。

抜けやすい場所は、耳を揃えて寝かせた時(ちょうど人が撫でようとするとうさぎが耳を寝かせる状態の時)に、左右の耳が触れ合う内側の部分から後ろ側にかけてのあたりです。

暑い環境や地域に住んでいるうさぎに多く見られる、と言われています。心配であれば、一度獣医さんに診てもらうのも良いでしょう。

※耳裏の毛が短いのは暑さ対策が不十分かも?こちらの暑さ対策方法も参考にしてみてください。
→→『うさぎの夏の暑さ対策、飼育方法の注意点 まとめ

うさぎの耳の病気

とはいえ、すべての脱毛状態が暑さに備えてのものとは言い切れません。何らかの病気が原因で耳にハゲができている可能性もあります。注意して観察してください。

うさぎの耳に異常が出る病気は、以下のものが考えられます。

  • ビタミン不足
  • ストレス
  • 熱中症の予兆
  • 皮膚糸状菌症(リングワーム)
  • 皮膚炎
  • ノミやダニ(耳疥癬など)

うさぎはストレスに弱く、栄養不足や精神的・環境的なストレスからでも体調を壊します。人がストレスで毛が抜けることがあるのと同じように、うさぎも毛が抜けてしまったり、自分でむしってしまうことがあります。

先ほど説明したように、うさぎの耳は体内に熱がこもるのを防ぐ役割を担っています。熱がこもりすぎる環境にいるうさぎは耳の毛をなくして熱を効率良く排出できるようにするのですが、それほど熱がこもっているということは、言い換えると熱中症の一歩手前とも言えます。

あるいは大きな症状が出ていないだけで、既に熱中症になっている可能性も考えられます。その場合は熱中症対策はきちんとできていたか、飼育環境を再確認なくてはなりません。

皮膚糸状菌症は、患部にリング状のハゲができることからリングワームとも呼ばれています。カビが原因で発症するため、衛生面の見直しが必要です。もともとうさぎ自体が保菌していることの多い菌ですが、過度なストレスや健康状態などで発症します。

実は、人間の水虫の原因にもなる白癬菌(はくせんきん)がリングワームを発症させることも。家族に水虫患者がいるお宅は、床に落ちた白癬菌つきの皮膚をそのままにしていないか見直してみてください。

皮膚炎は主に湿気や汚れなどによって起こります。また、うさぎの場合は後ろ足で耳の中を、前足で耳の外側を掃除する習性があるため、誤って耳をひっかいてしまうこともあります。小さな傷や湿気が原因で皮膚炎が起こっている可能性があります。

うさぎの他に犬や猫を飼っているお宅や、うさんぽの経験があるお宅では、ノミやダニの可能性も考えてみましょう。とくに耳疥癬(みみかいせん)などは耳がかゆくなるため、うさぎがかいて耳に傷をつけてしまうことも珍しくありません。

ダニがついている場合はダニの糞やフケが毛にからんでいるので、耳や周辺の毛にそれらしいものが付着していないかチェックしてみましょう。見つかった場合は自力でダニやノミをつぶさず、動物病院で取り除いてもらいます。(潰すと感染症になる危険があります)

このように、耳の毛に異常が見られる病気は栄養状態やストレス、環境や衛生面の問題などが原因です。それぞれの原因にご自宅のうさぎが当てはまりそうかどうか、一度見直してみてください。

併せて読んで欲しいそれぞれの原因の対策方法

ダニやノミ対策や、熱中症対策、予防の方法など、耳の毛が抜けるような病気の予防については、別の記事で詳しく解説しています。何となく自己流で済ませている、という人や、あまり深く考えたことないかも、という人はぜひ参考にしてみてください。

※ダニやノミ対策についてはこちらの記事で解説しています。
→→『ダニなどのうさぎの害虫対策~うさんぽの時にも注意!~

※熱中症の予兆が出る前にこちらを参考に熱中症対策もしておきましょう。
→→『うさぎの熱中症対策と症状が出た時の応急処置方法

※衛生対策は糞尿の処理以外にすることあるの?と思った人はこちらを確認。
→→『ハエウジ症をトイレ掃除で予防~春から夏に向けてのうさぎの病気対策~

耳の毛が薄くなる原因についてまとめ

今回、このテーマを取り上げた理由は偶然獣医さんのブログで「熱中症で受診に連れてこられるうさぎが増えている」という記事を読んだからでした。飼い主が気付いて病院へ連れて来てもらえる子だけではなく、気付いてもらえず耳の毛を薄くしなければならないほど暑い環境で頑張っているうさぎも少なくないと思います。

白癬菌など対策が難しいものも中にはありますが、基本は食事の管理と気温の管理、衛生面の配慮、そして適度なコミュニケーションで予防できるものばかりです。

栄養のある一番狩り牧草にペレット、エアコン使用で室温管理をして、トイレ掃除をこまめにするだけでかなり違います。夏はとくに虫や菌がわきやすく、その分異臭も発生しやすいので、『ウイルス除去率99%チャーミスト』といった除菌スプレーなども使ってあげてください。

耳の毛が薄くなってもすぐに病気を疑う必要はありません。しかし、こういった日頃の管理を少し頑張っておくだけで、いざという時は「これは完璧だから、この原因は当てはまらない」と原因を絞り込むのにも役立ちます。

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