うさぎがいる家庭でも使用できる消臭スプレーや虫除けスプレーなどが、近年多く販売されています。中には霧吹きのようなタイプではなく、制汗剤スプレーのように使うガス式の部屋用消臭剤でも、ペット用があります。
これら、うさぎがいる家庭でも使用可能とされているものの主な成分としてあげられるのが、天然植物成分です。
今回は、ペット用のスプレー類で使用されている天然成分は、本当にうさぎにも安全なのかどうかをまとめてみました。ペット用と書かれていても実際は犬猫にしか使用できない、うさぎには危険なものも存在します。
うさぎが中毒や皮膚病などのトラブルに見舞われてないために、何が安全で何を避けるべきなのかを、きちんと知っておきましょう。
ユーカリエキスに毒はないの?
ユーカリはオーストラリアの他、タスマニアなどにも生えている木です。コアラが主食としていることで有名ですが、一方で毒性のある木というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
確かに、ユーカリには毒があります。精油(アロマオイル)として使う分には問題ないのですが、経口毒性というものがあり、ユーカリの精油を飲み込むと体に害を及ぼす危険があります。
しかしこれはユーカリに限ったことではありません。たとえば欧州の料理でよく葉を口にするバジルも、有効成分が抽出された精油として使用された場合、わずかな量で経口毒性の危険性を発揮します。
危険性で言えば、ユーカリの精油よりもバジルの精油の方が4倍近く高くなります。(ユーカリの4分の1程度の量で致死量とされます)
実際、アロマオイル専門店では経口毒性の危険性についてかなり詳しく紹介されていますし、アロマオイルに関する本でも注意喚起の説明文が載せられています。厳密に言えば致死量ではなく、一定量を飲んだ人のうち半数は死亡するだろう、という量で、きちんとしたお店や本では半数致死量と書かれていることが多いです。
言い換えるなら、半数致死量と経口毒性にさえ注意すれば、葉の有効成分のみを活用することができる、とも言えます。
先にバジルの例を挙げましたが、他にもコリアンダーやナツメグなど、洋食ではおなじみのハーブの多くが経口毒性の側面を持っています。このことからも分かるかと思いますが、ようは使い方や量さえ注意すれば人にとって良い効果をもたらしてくれるものも少なくないのです。
もちろん、葉を使う場合と精油を使う場合は事情が異なるので、「少しなら口にしても大丈夫」というわけではありません。正しい使い方と正しい量。この2点の両方を守ることが大切です。
ユーカリの場合は、経口毒性がある一方で、薬草としても古くから使われています。殺菌作用や抗炎症作用があるため、上手に使えば傷薬となります。鎮痛や鎮静作用もあり、こころを落ち着かせたい時のアロマテラピーとしても愛用されます。
さらには消臭、防ダニ効果もあるため、化学薬品による消臭剤や虫除けに抵抗がある人は、ユーカリオイルを水で薄めて自家製の消臭剤やダニ予防剤を作っているほどです。
使い方さえ分かっていれば、オーガニックや無添加などが好きな方、ペットを飼っている人にとって安心して使える消臭剤や虫除けです。
ユーカリはうさぎにも安全なの?
では、そんなユーカリはうさぎにも安全に使用できるものなのでしょうか。ペットにも使用できると言われているものでも、うさぎを飼育している人は注意して購入しなくてはなりません。
ペットにも使用できると書かれている商品のほとんどが、犬や猫しか想定していないからです。犬や猫が大丈夫なら、うさぎも使えるのでは?と思うかも知れませんが、うさぎは草食動物、犬猫は肉食獣です。根本的な体のつくりが違います。
そこではたしてユーカリはうさぎに使用可能なのかどうかを調べてみました。一般的な飼育本にはあまりアロマオイルなどについて書かれていなかったので、うさぎ専門店の商品ラインナップなどを調べてみました。
うさぎ飼いさんの多くが一度は見たことのあるうさぎ専門店さんをはじめ、多くのうさぎ専門店で販売されているうさぎよう消臭剤や防虫剤をチェック。ユーカリ成分入りのものが見つかりました。
ユーカリ成分入りの防虫剤、ラビハーブです。
専門店の商品紹介では、経口毒性に関する検査でも安全性が確認されたものだと記載されています。製造会社についても調べてみると、どうやら兵庫県の穂果という会社が製造されているようです。この穂果さん、ペット用品ではなく『うさぎにとって安全なもの』を開発するうさぎ専用アイテム製造会社だということが分かりました。
もし一般的なペット用品の会社だった場合、正直な話、あまり信用できませんでした。というのも、そういった会社の多くは、うさぎにとって本来は体によくないものをエサとして販売しているので。
うさぎぱん自身の経験だと、某M社の商品では、明らかにキャットフードっぽい混入物が入っていたこともあります。別の会社で似たようなことがあった時は後日に調査結果を書類で渡してくださいましたが、M社は代替品を送ってきただけでその後の連絡や報告は一切なし。
ちょっと個人的な感情も入ってしまいましたが、つまり、キャットフードと同じラインでずさんな管理で商品製造が行われていたんですね。商品自体もうさぎに食べさせるべきではない穀類満載のものを平気で売っているしで、信用できず、それ以来その会社のものは使っていません。
全てのペット用品製造会社が同じずさんな企業とは言いませんが、うさぎ専用ではない以上、このように『どんな製造環境で作られているか分からない』『本当にうさぎにとって安全なものか分からない』というリスクはあります。
うさぎのための会社でうさぎのために開発された、というだけでも、かなり信頼できる商品です。少なくとも、犬猫用に開発したものをついでにうさぎ用にパッケージだけ換えて発売したものではありません。
他にも、ユーカリ成分入りのマッサージクリームなどが販売されていました。どちらもうさぎ専門店で「安心してうさぎに使用できる」と明記されているものです。
うさぎ専門店だけではなく、うさぎのための商品開発をしている会社がユーカリ成分入りのものを販売している。この点で、ユーカリ成分は人間やその他ペットだけではなく、うさぎにとっても使用可能な成分だと言えます。
ただし、ユーカリは木だけでも500以上の種類があり、精油として使用できるものはその中の数種類。ユーカリと一口に言っても成分が異なる場合もあるため、市販されている精油を自己流で混ぜてうさぎ用防虫剤を手作りすることは止めましょう。
うさぎが舐めて体調を崩すだけではなく、最悪の場合死亡してしまいます。飼い主さん自身も健康に影響を受ける危険があります。
部屋用の消臭剤や虫除けで使用しても良い成分
ユーカリの他、うさぎがいる家でも使用できる天然成分は次のとおりです。
- ミント
- レモングラス
- セージ
- アロエベラ
- ラベンダー
- オリーブ油
- ひまし油
- ホホバ油
- やし油
- 蜜蝋
などなど。
基本的にうさぎが口にしても大丈夫なハーブ類や、刺激の少ない精油という印象でした。中には体に塗ったり空間に薄く噴射する程度なら大丈夫という程度のものもあるため、これらの成分入り商品を使用する際は必ず使用量と使い方を守ってください。
まとめ:うさぎにも安全に使えるユーカリは既製品を選ぼう
前回、ペットがいる家でも使用できるという虫除けスプレーの成分表を見ていて、「うさぎには使えないのかな?」と実際に問い合わせてみました。(その時の感想についてはこちらの記事で→『うさぎも人間も注意すべきダニが冬に増える理由と対策方法』)
問い合わせた商品はこちらのピレカロール。
ペットがいる家でも安心して使える虫除けスプレーとして販売されています。天然成分のみで作られているので、添加物や化学物質が苦手な人にもおすすめです。
問い合わせの際に返ってきた答えは、「うさぎにも使用可能」ということ。哺乳類や鳥類には安全だが、虫や爬虫類などには安全ではないので、使用する場合は注意してほしいと言われました。また、天然成分にアレルギーを起こすうさぎもいるため、直接体にはかけないでほしい、とも。
この回答で安心しつつ、「ユーカリは毒があるためコアラしか食べられない」というイメージもあった私は、うさぎにユーカリ成分は害ではないのかを今回調べてみました。
結果、
- ユーカリは経口毒性のリスクがある
- 一定量以上を口にすると危険
- ユーカリ自体に種類が500以上ある
- うさぎに優しいユーカリ精油もある
- 精油選びと量の調節が重要
- 経口毒性はユーカリ以外の天然物にもある
ということが分かりました。ユーカリだけが危ないわけではなく、他の精油も選び方や使い方を間違えると、危険になること。そして、精油選びと量の調節は素人には無理だということも思い知りました。
数種類もあるユーカリ精油の中でうさぎに安全なものを選び、うさぎに安全な量で防虫剤を手作りする。そんなことができる素人さんは存在するでしょうか。少なくとも、私は無理です。こういった調合は熱や気温、わずかな量で変化するので、たとえ量の目安を知っていても怖くてできません。
私たち素人がうさぎにとって安全で効果もある精油入りの防虫剤を手に入れるには、結局のところ既製品を購入するしかないのではないでしょうか。もちろん、『ペット用』ではなく、うさぎが使用できるものを選んで。
うさぎ専門店で購入するのも良いですが、『ピレカロール』のように、ペット用としか書かれていなくても問い合わせてみるとうさぎにも使えることが判明するものもあります。
天然成分100%使用と書かれているもので気になるものがあったら、思い切って問い合わせてみることをおすすめします。もしかしたら、私が見つけたピレカロールのように「うさぎにも使えますよ!」と言われる掘り出し物が見つかるかもしれません。
うさぎ専用のものはまだまだ少ないので、虫除けスプレーだけではなく、気になったものはどんどん問い合わせてみましょう。
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