日本郵政の株式が政府から追加売却!POは買うべきか?見送るべきか!?

先日政府は保有する日本郵政(6178)の株式を追加売却することを発表しました。

貴方にも証券会社から『日本郵政の株式を購入しませんか?』とお知らせが届いていませんか?

私には保有する全ての証券会社からお知らせメール、そして数社から電話がありました(笑)

ここまで投資家に証券会社がプッシュしてくるということは余り人気が無いとも受け取れます。

『日本で知らぬ者などいない超巨大企業に人気がない!?』

と不思議に思うかもしれませんが、実は日本郵政は経営課題として大きな問題を抱えているのです。

今回は日本郵政の追加売却に参加するべきかどうか、私なりに日本郵政を分析して解説していきます。

日本郵政のPOに参加するべきか否か悩んでいる投資家の参考になれれば嬉しいです。

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そもそも日本郵政とは?

始めに日本郵政という企業について整理します。

日本郵政は郵政民営化法によって誕生した元国営企業です。

郵政民営化法案によって2015年に上場を果たしましたが、現在も株式の80%は国が握っており、実質的には半国営企業半民間企業という不思議な形になっています。

日本国民には馴染みのある郵便局、ゆうパック、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などは、全て日本郵政グループのサービスや商品で、日本での知名度は群を抜いており、日本を代表する企業だと言えます。

そんな日本郵政は、その公共性から法律上制約が課されており、全ての国民が同様に郵便サービスを受けられるように僻地にも郵便局を設置する。ゆうちょ銀行は貸付業務をしてはならない。といった制約がある。

今後、民営化が進むに従って法律で課されている様々な制約は外されていくとされていますが、郵便局が無くなれば地域に深刻な影響を与えることも懸念されていて、本当に制約が全て外されるかどうかは分かりません。

日本郵政4つの柱

日本郵政は4つの事業会社を持ち郵便事業を展開する郵便局株式会社、郵便事業株式会社、そして、金融を担当するゆうちょ銀行(7182)、かんぽ保険を担当するかんぽ生命保険会社(7181)です。

ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険会社は、日本郵政と同時に上場したので印象に残っている方も多いと思います。

この4事業会社をまとめるホールディングス会社が日本郵政という構図です。

そして、郵政民営化法案では段階的にゆうちょ銀行、かんぽ生命保険会社の株式を日本郵政は売却して上場して10年以内には持分を0にすると定められています。

日本郵政の収益構造

日本郵政は日本国民なら知らぬ者などいないであろう重要な4事業を行なっていますが、実は収益構造は非常に偏っています。

簡単に言うと、金融関連のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険会社が利益の殆どを占めており、郵便事業は完全に足を引っ張っています。

というか、贔屓目に見ても郵便事業だけで存続は危うい状況でしょう。

現段階では、日本郵政グループとしてゆうちょ銀行、かんぽ生命保険会社が入っているので日本郵政グループとして見れば収益構造に問題はありませんが、今後郵政民営化法案の通りに稼ぎ頭の2社が分離すれば日本郵政は厳しい現実に直面することになるでしょう。

日本郵政の経営課題

ハッキリ言います。

日本郵政の経営課題はゆうちょ銀行、かんぽ生命保険会社が分離した後の成長ビジョンが見えないことです。

昨今『日本郵政がオーストラリア物流大手のトールを巨額買収した結果大失敗して赤字転落』『日本郵政が野村不動産に買収を提案するも折り合わず』といったニュースが流れていましたが、これらは日本郵政が稼ぎ頭の2社が分離した後でも生き残る為に新しい収益源を確保する為に行ったのだと見ることができます。

日本郵政グループの稼ぎ頭2社の分離は上場後10年以内と定められているので、日本郵政のタイムリミットは2025年ということになります。

それまでに何か収益を稼く事業を得られなければ、アドバンテージ0で同じ運送事業を行うヤマトやサガワとの激しい闘いに身を晒すことになるでしょう。

既に今日まで厳しい闘いを続けてきた民間運送事業社達と、国営企業としてぬるま湯に入っていた日本郵政が戦えるのか?

というと私には分かりませんが、そうなれば今までのような特別な企業ではなく運送を行う1事業社となり、日本郵政の持つ大きなメリットは失われるでしょう。

今回の売り出しの背景

今回の売り出しは、郵政民営化法案に定められた段階的に日本郵政の株式を売却することの一貫と言われていて、その売却益は復興財源に充てられます。

最終的に政府は保有する日本郵政の株式の比率を30%辺りに落とすことを目指しています。

ただ、表向きはそう言われていますが、将来的に日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険会社の株式を売却することが郵政民営化法案で定められており、稼ぎ頭の2社の株式を売却すれば日本郵政の価値は大きく下がります。

このタイミングでの売却は、私には政府が『ゆうちょ銀行とかんぽ生命が抜ける前に売り抜ける!』と思っているとしか思えません。

POに参加するべきか?見送るべきか?

今回の日本郵政の案件に参加はするべきか否かを判断するのは非常に難しいのですが、私は『見送り』をオススメします。

将来の成長ビジョンを描けないので、いつ株価が上向くかも分からないですし、それに報道を見る限り新規事業を獲得するセンスは日本郵政には無いとしか思えません。

他にも魅力的な銘柄は沢山あるのですから、無理に参加することも無いと判断しました。

それに、証券会社が全力でプッシュしてくる時はIPOでも投資信託でも大概ロクでも無い案件であることが多いので、この点から見ても危ういと思いました。

日本郵政POの主幹事証券会社

今回の日本郵政POの取扱証券会社を列挙しておきます。

主幹事証券会社

日本郵政のPOで主幹事となるのは、大和証券、野村證券、ゴールドマン・サックス証券、みずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券の6証券会社です。

副幹事証券会社

日本郵政のPOの規模が大きいので副幹事証券会社は膨大な数になります。

全部で52社です。

SMBC日興証券
岡三証券
岡三オンライン証券
東海東京証券
SBI証券
いちよし証券
SMBCフレンド証券
藍澤証券
岩井コスモ証券
エース証券
東洋証券
マネックス証券
丸三証券
水戸証券
内藤証券
日本アジア証券
ふくおか証券
松井証券
むさし証券
あかつき証券
エイチ・エス証券
極東証券
高木証券
立花証券
西日本シティTT証券
日の出証券
丸八証券
JPモルガン証券
メリルリンチ証券
光世証券
リテラ・クレア証券
クレディ・スイス証券
シティーグループ証券
ドイツ証券
UBS証券
マッコリ―キャピタル証券
カブドットコム証券
安藤証券
今村証券
岡三にいがた証券
岡地証券
木村証券
共和証券
上光証券
第四證券
長野証券
中原証券
西村証券
ニュース証券
八十二証券
フィリップ証券
三木証券
山和証券
豊証券
リーディング証券

日本郵政のPOは規模が規模だけに複数の証券会社から応募すれば普段のIPOよりも当選しやすくなっています。

三菱UFJモルガンスタンレー証券が主幹事ですので、系列のカブドットコム証券は押さえておきたいですね。

参考:カブドットコム証券のIPO抽選方法は100%完全公平抽選で個人向け

最後に

現段階で日本郵政の追加売却に参加するのはオススメしませんでしたが、私は『日本郵政は今まで溜め込んできた資金が豊富にあるので、何かしら新収益源を確保できるのではないか?』とも考えています。

『おいおい、言ってることが違うじゃ無いか?』と聞こえてきそうですが

いや、冷静に日本郵政を見ると、資金は豊富にあって多少なりとも政府のバックアップもあるはずなので普通に考えれば何かできるはずなんですよ!

にも関わらず、この上場後の2年間の動きは散々たる結果、それを見てお金があるだけでは解決できない問題が日本郵政にはあるのかもしれないと思ったのです。

今後、何かのキッカケで日本郵政の経営陣が入れ替わり豊富な資金を活かせる人員が揃って社風が変われば大化けする可能性は否定できません。

同じく国営企業で、今では世界有数のタバコメーカーに成長した日本たばこ産業(2914)みたいになれる可能性はあるのです!

今回の追加売却で国外分の販売が好調だったのは、その点を考慮した結果だと思っています。

現段階では沈みゆく船だと言えますが、もしかしたら将来は何かを掴み取るかもしれません。

私が日本郵政に投資するのは、同社の新規投資に、そんな光明を見出せる案件が見えてきた時です。

そして、そこから投資しても遅くは無いと思っています。

ですので、今のところ資金はこれからのIPOに充てたいと思っています。

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