DMAT看護師のヨッシーのブログ

ER看護師でDMAT隊員副隊長を務めているヨッシーのブログです。DMATに関する情報、日々のDMATの業務、看護の技術について等、DMAT看護師に興味を持っている方に役立つ情報を発信していきます。

犯罪シーンとDMAT

      2016/06/18

大震災などで出場し医療支援を行う私たちDMAT。

特殊な環境下での活動もします。その一つとして犯罪現場での活動があります。とても危険な匂いがしませんか?

そんな環境下で実際に活動はしたのだろうか?活動は可能なのだろうか?いろいろな疑問が湧いてくると思います。

DMATの活動基準の一つに安全ということがあります。被災者の安全を守るということもありますが自分の安全を守るのも重要です。

そんな中で犯罪現場での活動は危険がもちろんはらんでいます。でも他の災害現場でも危険はいっぱいあります。

実際に犯罪現場で活動したDMAT

DMATも日本国内での活動で犯罪現場に出場したことがあります。2007年の愛知県長久手町で発生した立てこもり発砲事件2008年秋葉原の歩行者天国で発生した無差別殺人事件です。秋葉原の事件では救護にあたった一般市民も被害に遭っています。愛知の発砲事件では警察官が一名犠牲になっています。

このような危険な犯罪現場にDMATが出場するのはどうなのか?という疑問視する声も上がっています。常に非常に危険と隣り合わせです。

しかし危険な現場でも自衛隊、警察、消防などの隊員たちは命をかけて活動しています。万一のことを考えて医療支援をして欲しいというニーズは高くなる可能性はあると思います。

犯罪シーンでの活動とは

ご存知のように秋葉原の無差別殺人事件や地下鉄サリン事件などは特定の人を狙ったわけではなく不特定多数の殺傷を目的とされています。多くの人を殺傷することにより社会の不安をあおいで政府当局を威圧するのが目的なんです。

DMAT隊員は活動する本部やトリアージエリア、現場救護所などは安全か?爆発物や毒ガスなどの危険性はないか?患者の中に犯人は紛れ込んではいないだろうか?自然災害と比較するとこのような人為的な危険がはらんでいる確率がかなり高くなっています。

そこで活動するDMATは特殊な配慮や特別な装備が必要になってきます。

もし犯罪シーンにDMATが介入する場合

活動する現場はどのような犯罪現場なのか?どのような傷病者がいるのか?どのような傷病者が発生する可能性があるのか?

自分たちが使用している防護具で身は守れるのか?追加装備の必要性はあるのか?状況は悪化しているにか?それとも収束に向かっているのか?

DMATが活動する場所はどこになるのか?活動する場所での安全確保やその確認の方法は?などです。

犯罪現場で特に配慮が必要な事柄

犯罪現場の特殊性から特に配慮が必要な事項が幾つかあります。これが自然災害に立ち向かうことと根本的にかなり違ってくることです。

まず活動に伴う情報をむやみやたらに発信しないことです。不用意な無線やトランシーバーの使用も厳禁でもしかしたら犯人やマスコミが傍受しているかもしれません。

例をあげると立てこもり犯に対して強行突入する場合に突入する時刻や場所活動指針などが事前に情報が漏れてしまうと突入する隊員たちを危険にさらされてしまいます。

また現場で医療活動する場合においても証拠保全というものがあるので配慮が必要です。犯罪現場で不必要な物品の移動や破棄、指示があった場合は触れないようにすることも重要です。また患者の持ち物や衣服なども証拠品となる場合があるので注意が必要である。

犯人についてはその行方はどうなっているのか?も重要な情報となってきます。犯人が複数いた場合医療活動しているそばに潜伏していたりまたそこで犯罪を起こして撹乱を企んでいたり患者に紛れて逃走を計ろうとしているかもしれないからです。

犯人が患者となって手当てを受けている可能性もあるかもしれません。早期より警察とそのような情報交換をする必要があります。

犯罪現場での医療活動はかなり特殊性があります。

自分たちの命を時には顧みず最前線において活動する警察、自衛隊、消防、海上保安庁の隊員がいることをDMAT隊員も決して忘れてはいけません。

犯人が立てこもった建物に突入する機動隊員、ハイジャックされた飛行機や船に犯人と相対する特殊部隊の隊員。

彼らの立場からすると現場において万全の医療体制や救命医療の構築が彼らが安全に職務を全うさせることができる条件となってきます。

私自身はそのような現場でも不測の事態に備えて救命医療ができるようなバックアップげできるようになれればと強く思います。

犯罪現場でのDMATの活動内容をご紹介させていただきました。

この活動においてはかなりの特殊性があるのをご理解していただいたと思います。実際はかなり緊迫した現場であることは間違いないと思います。私たちはいつも安全が確保された医療現場で日常業務を行っています。危険にさらされることも少ないというより無いに等しいです。

DMATが危険な場所に行くべきでは無いという声も何人かから聞きました。その気持ちもわかりますし理解もできます。

しかしここからは私の持論になってしまいますが私もそのような現場に行くことは自然災害に立ち向かうのと違ってかなり危険ということは感じています。

でもそのような現場でもいくつもの命(犯人も含む)があります。その命のために活動できるようにもっと研鑽をしていこうと思いました。

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