虫歯ができると、その分ホワイトニングを始めるまでにタイムロスができてしまいます。虫歯を完全に治療するまでは、歯科医院でのオフィスホワイトニングはもちろん、自宅で専用アイテムを使ったホームホワイトニングもできません。

そのため、ホワイトニングを希望する人は、人一倍虫歯に気をつける必要があります。

今回は、虫歯になりにくい環境について、世界でもっとも虫歯率が低いといわれる国の事情にからめてご紹介します。思い立った日に何の障害もなくホワイトニングできるように、普段から虫歯予防をしっかり行いましょう。

世界で最も虫歯が少ない国の歯科医療事情

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歯科医療のレベルは、日本よりも欧米の方が進歩しています。これは決して日本の歯科医が技術不足というわけではなく、法律的な問題(使用できる薬剤の規制など)が大きいのですが、私たち患者が欧米に比べて不便な治療環境におかれていることに変わりはありません。

では、歯科医療が発達しにくいから日本は虫歯が多いのか?というと、ちょっと疑問が出てきてしまいます。というのも、世界で最も虫歯がない人の割合が多い国は、歯科医療が最先端と言われるスウェーデンではないからです。つまり、歯科医療が発達している=虫歯がない人が多いというわけではないのです。

さらに興味深いのが、実は世界一虫歯の少ない国として挙げられるのが、ガーナだという事実。ガーナの医療事情について調べてみたところ、保険制度がない分、日本よりも十分な治療が受けられない環境だったことが分かりました。にもかかわらず、虫歯の数が少ないのです。

ガーナは、保険がないために高額な治療費となり、お金持ちのガーナ人や現地に住む外国人しか医療を十分に受けることができません。病院も私立の病院ばかりなので、郊外の人はさらに医療を受けることが困難です。遠方の政府系の病院を訪ねるか、地元の薬局で薬を買うしかないのです。

薬は処方箋なしで購入できる一方、自分で当たりをつけて買うため、適切な薬を利用できている可能性は低いです。そのような環境でありながら、ガーナの人の多くが虫歯に悩むことはありません。虫歯の数は12歳の子供で0.1本、10人あたりに1人虫歯の子供がいるか否かという程度です。

ちなみに欧州ではスウェーデンとともに虫歯の少ない国として挙げられるのがフィンランドですが、昔から虫歯が少ない国だったわけではないそうです。

フィンランドは数十年前までは虫歯など口腔内の病気に対する予防への関心が薄く、一時期虫歯の割合が平均6.9本とかなり高い数値でした。ここ数十年の間に予防への関心が高まり、今では12歳の子供で1.2本ほどにまで改善されました。

日本は2.4本なので、どれほどの差があるか分かるでしょう。現代のフィンランドのおよそ2倍の数の子供が虫歯にかかっているのが日本なのです。

歯科医療が進んだスウェーデンや予防に力を入れているフィンランドはともかく、何故日本は医療環境が整っていないガーナよりも虫歯が多いのでしょうか。それはひとえに食生活にあると多くの日本の歯科医が説いています。

食事で虫歯リスクを増やしている日本~ホワイトニングの前にすべき虫歯対策~

ガーナが虫歯の少ない国として名が挙がるようになった理由は、食生活にあります。チョコレートの元となるカカオ豆の原産地でもあるガーナですが、現地の人のほとんどがチョコレートを口にする機会がないそうです。

チョコレートだけではなく、その他の甘いお菓子を口にすることが少ないのは、その砂糖消費量の少なさからも分かります。ガーナは虫歯の数が少ない上、砂糖の消費量も世界でもっとも少ない国のうちの一つです。

ここで思い出して欲しいのが、虫歯のできるメカニズムです。こちらの記事でも紹介しているとおり、虫歯菌は歯に付着した砂糖をエサとして増えます。つまり、砂糖消費の機会が多ければ多いほど、虫歯リスクが上がるのです。

日本の場合はスウェーデンなどに比べ、歯科医療に関しては後進国。さらに飽食状態にあり、いつでも好きなだけ食べ物を手に入れられる社会です。そのため、虫歯ができやすいわりに予防も治療も遅れており、世界でもっとも虫歯の少ない国に2倍以上も差をつけられているのです。

ものを食べる機会が多いほど歯に砂糖が付着します。砂糖を食べた虫歯菌は砂糖を分解する際に酸を出し、歯の表面のエナメル質を溶かし、虫歯を作ります。日本人が虫歯を予防するには、食生活を見直して砂糖を極力避けるか、こまめに歯に付着した砂糖を取り除かなくてはなりません。

とはいえ、市販の食べ物や飲み物の多くに砂糖が使われている日本では、通常の食生活で砂糖を完全に避けるのは不可能。ドレッシングなしで野菜だけを食べ続けられるなら予防できる可能性もありますが、それでも知らないうちに果糖を摂取しているかもしれません。

すぐにできるのは、食べるものを意識して選ぶことです。

<虫歯予防におすすめの食事>

  • 抗菌作用のある飲み物を選ぶ
  • 歯が汚れにくい食べ物を選ぶ
  • キシリトール入りの食べ物を選ぶ

ポイントはこの3つです。飲み物を抗菌作用のある緑茶に変えてみましょう。汚れを洗い流す目的であれば水でも構いませんが、ジュースなど砂糖の入っているものをちびちびと時間をかけて飲むのはおすすめしません。

砂糖入りの飲み物を飲む際は短時間でなるべく早めに飲み干し、すぐに水で口をゆすぐなどして歯の表面についた砂糖を洗い流しましょう。時間をかけて少しずつ飲むと、長時間口内が砂糖だらけになるため、歯が溶けやすくなります。

歯が汚れにくい食べ物として、繊維質のものを意識して食べるのもおすすめ。ゴボウなど繊維の多い食べ物は歯の表面を擦ってくれるので、食事中に歯に付着した汚れをすぐに落とせます。さらにキシリトール入りの食べ物(イチゴなど)を食べると、虫歯予防効果も期待できます。

普段メニューにこだわらず食事をしている方は、一度見直してみてください。飲み物を変えるだけなら今日から始められますし、フルーツを食べる習慣がある方は柑橘類よりも意識してイチゴを選ぶだけです。

※キシリトールの効果については、こちらの記事で解説中です。
→→『歯を健康に白くするために~キシリトールガムの効果~』へ

砂糖がつきにくい歯でホワイトニングしやすい歯にしよう

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虫歯がない歯は思い立ったその日にホワイトニングを始められます。もちろん、歯科医院でホワイトニングを受ける場合はカウンセリングなどの時間が必要となりますが、虫歯の治療がない分、早く始められることに変わりはないでしょう。

虫歯があると治療が必須となるため、治療費もかかります。歯の黄ばみに悩んでいる方は、決心した日にすぐホワイトニングを始められるよう、日ごろから虫歯予防をきちんと行っておくことが重要です。

最も簡単な虫歯予防はフッ素入りの歯磨き粉を使って毎食後必ず歯を磨くことです。ただし、フッ素入りの歯磨き粉の中には研磨剤が含まれているものもあるため、ホワイトニングの観点から見ると選び方に注意しなくてはなりません。歯科医院で相談して購入すると安心です。

他にも、歯をコーティングする成分で砂糖が付着しにくい歯を育てていく方法もあります。たとえばポリリンEXは歯をコーティングするポリリン酸入りの洗口剤とジェル歯磨きです。研磨剤入りではないため、砂糖や菌が付着しやすくなる歯の表面の傷を作る心配がありません。コーティング剤で傷をカバーして、付着しにくくしてくれます。

おすすめはフッ素入りの歯磨き粉で歯を磨いた後、ポリリン酸入り洗口剤で口内をゆすぎ、磨き残した砂糖を洗い流し、歯をコーティングする方法です。フッ素は歯の再石灰化のためにもなるべく使用したい成分であるため、両方を使ったケア方法が合理的です。

砂糖を付着させないケアは虫歯予防になると同時に、歯の着色汚れを防ぐ方法にもなります。綺麗な歯を手に入れるためにも、舌で触って分かる歯垢だけではなく、自覚のないまま付着している砂糖にも注目してみてください。