ホワイトニングの基本として、歯磨き粉を使った手軽な方法があります。実際には歯の汚れを落として本来の色を取り戻すだけのものなのですが、歯の黄ばみが茶渋やヤニといった付着物によるものの場合、効果が出てきます。

何より毎日行う行歯磨きだけで済ませられること、歯磨き粉を従来のものから買い替えるだけでできることから、誰でもはじめられる手軽さが魅力です。

しかし、中には研磨剤が大量に使われているものなど、効果を重視するあまり危険な歯磨き粉も存在します。

今回は、ホワイトニング用歯磨き粉を選ぶ際に注意すべき点を改めてまとめてみました。

自宅の歯磨きでホワイトニングできる人

歯磨き粉を選ぶ前に、まずは自分が自宅ケアだけで歯を白くできる人かどうかを確認してみましょう。自宅で歯磨き粉を変えることによって歯を白くできる可能性が高い人は以下のタイプです。

  • 着色汚れが目立つが象牙質の黄ばみは少ない人
  • 毎食後必ず歯を磨ける人
  • 虫歯がない人
  • 歯周病がない人
  • 知覚過敏がない人
  • ブラッシング指導を受けたことがない人

まず、歯磨き粉で象牙質の黄ばみを白くすることはできない点を知っておいてください。歯磨き粉の成分には象牙質まで浸透して白くするようなものは使われません。仮に配合されていたとしても、歯磨きという短い時間かつ少ない量で、しかも別の成分も配合された状態で漂白作用が効果的にはたらくことはありません。

そのため、着色汚れによる歯の黄ばみがある人でなければ歯を白くすることはできないのです。どちらかと言うと歯の本来持つ色を取り戻すだけなので、不自然なほど白くなりすぎないというメリットがあります。

もちろん、効果を出すにはしっかりと毎食後の歯磨きが重要です。いくら朝綺麗にしても昼にカレーなど着色しやすいものを食べたきりケアしないでいると、その汚れが新たにこびり付いてしまいます。トラベルセットや歯ブラシ用ミニポーチも販売されているので、職場や学校でもきちんと磨く環境を整えておきましょう。

どうしても難しい場合は、口を水でゆすぐだけでも多少の予防にはなります。

虫歯や歯周病、知覚過敏など、歯そのものが既に何らかのトラブルを抱えている人も、歯磨き粉のみでのケアは効果的とは言えません。

確かに現在付着している汚れは落とすことができますが、虫歯や知覚過敏などは既に歯の表面に傷ができている状態です。新しい汚れがこびりつきやすいため、イタチゴッコになる上、虫歯などは残り続けます。

また、ブラッシング指導を受けたことがない人も注意が必要です。あなたはしっかり歯磨きできていると言い切れますか?ほとんどの人が間違ったブラッシングをしていると言われています。まずはブラッシング指導を受けて、自分の歯に合った磨き方を教えてもらうことをおすすめします。

虫歯や歯周病などのトラブル同様、歯磨き指導は歯科医院で受けられます。虫歯なども初期虫歯などの状態であれば1本あたり2~3回の通院、数千円程度の治療費で済みます。まずは歯を健康な状態に近づけることから始めましょう。

ホワイトニングは現在の汚れを落とすだけではなく、汚れが付きにくい状態にすることも大切です。

歯科医院で本格的なホワイトニングを受けると数十万円はしますが、虫歯などの治療ではそれほど高額となりません。まずは歯磨きの効果が最大限に出る口内環境を整えてあげましょう。

研磨剤の使用量を重視しよう!~着色汚れの原因は研磨剤による傷~

着色汚れの原因の多くは、茶渋やヤニといった食べ物や飲み物、タバコなど口にしたものの色素です。口にしたものの色素が歯に付着するために汚れが目立っていくのですが、付着する際に活用されるのが歯表面にできた傷。歯磨き粉に含まれる研磨剤によってつけられた小さな傷です。

歯磨き粉以外の硬いものも小さな傷の原因となりますが、毎日使う歯磨き粉が一番の原因となりやすいのは言うまでもありません。歯磨き粉に含まれる研磨剤が多ければ多いほど、この小さな傷はつきやすくなります。

しかし、ほとんどの市販歯磨き粉に研磨剤が含まれていることからも分かるとおり、デメリットのみでもないのが研磨剤です。

<研磨剤のメリット>

  • こびりついた汚れを擦り落とす
  • 弱い力でも歯が磨ける
  • 口臭や虫歯対策になる

一番のメリットは、その洗浄力です。研磨剤の粒により、こびり付いた歯の表面の汚れを擦り落とすことができます。この洗浄力によって他の2点のメリットにつながります。粒で擦り落とせるために子供や高齢者の力でも歯の汚れが落としやすくなり、汚れがしっかり落ちることで口臭や虫歯の原因となる食べかすを残しにくくなります。

しかし、このメリットは『歯を削って傷をつける』というデメリットにもつながりやすく、人によっては研磨剤入り歯磨き粉が合う場合もあれば、完全に合わない場合もあります。

研磨剤入り歯磨き粉が合う人は、何よりまず既にこびりついた汚れを落とすことを優先したい人です。茶渋やヤニ汚れなどしつこい汚れが気になる場合は、研磨剤入り歯磨き粉で磨きましょう。ヤニ落とし専用の研磨剤が多めに入った歯磨き粉もあるため、試してみてはいかがでしょうか。

ただし、あまりに研磨剤を使い過ぎると傷だらけになってしまう危険があります。ヤニ落とし用の研磨剤が多めの歯磨き粉は、毎日ではなく数回に一度の使用に留めた方が安全です。

それ以外の市販の歯磨き粉に含まれた研磨剤も、1日に1回のみ使用して、他は研磨剤なしの歯磨き粉を使う方法がおすすめ。たとえば夜に使ってしっかり汚れを落とし、寝ている間に歯を休めるのも良いでしょう。口臭が気になる人は朝一番に使うと口臭の原因を擦り落とせます。

※歯の傷で汚れがつきやすくなる理由の詳細はこちら↓
歯が汚れる原因と今からできる自宅での基本的ケアは?』へ

有効成分の表記や含有量に注意しよう

研磨剤以外に注意したいのが、有効成分とされる各種成分です。たとえばホワイトニング用歯磨き粉の多くに使われるポリリン酸。ポリリン酸は汚れを分解してはがし、歯をコーティングしてくれるため、新たな汚れも付きにくくなると言われる成分です。

しかし、ポリリン酸のすべてがそのような効果を持っているわけではありません。ポリリン酸の中でも歯の汚れを落とす効果を持っているのは、短鎖ポリリン酸や分割ポリリン酸です。

ホワイトニング歯磨き粉の多くに使用されているポリリン酸ですが、調べてみると、しっかりと『短鎖ポリリン酸』や『分割ポリリン酸』と表記された歯磨き粉は一部のみでした。つまり、ポリリン酸配合とされる歯磨き粉の中には、歯の汚れを落とす力を持ったポリリン酸以外のポリリン酸が使用されているかもしれないのです。(そちらの方が安く済むため)

ポリリン酸を有効に使いたいなら、短鎖や分割といったタイプの、長さが整えられたポリリン酸入り歯磨き粉を選ぶ必要があります。

また、表記順にも注意してみてください。成分表は含有率の高い順に書かれています。前の方に書かれている成分ほど多く含まれており、最後の方の成分にいたってはごくわずかしか含まれていません。もしポリリン酸など有効成分の名が、最後の方に表記されているのなら、効果を発揮できるほど配合されているかどうか疑わしいと言えます。

成分表記を見ることができる場合は、比較ポイントの一つとして有効成分がどの位置にあるかを気にかけてみてください。

自分に合ったものか?~アレルギーに注意~

歯磨き粉の有効成分の中には、アレルギー反応を示す可能性があるものも存在します。たとえばアルコール(エタノールなど)含有のものは、アルコールに弱い人やドライマウスの人は避けた方が良いでしょう。

アレルギーがなくドライマウスの可能性もない人は、アルコールのサッパリした口当たりを好むこともあります。また、殺菌力を優先して使用する人もいます。一方で揮発性が高いためにドライマウス化のリスクもあるため、口が渇きやすい傾向にある人は避けた方が良い成分です。

現在ドライマウスでなくても、使い続けるうちに歯磨き粉のアルコールが原因でドライマウスとなる可能性もあります。

安全な歯磨き粉の選び方まとめ~評価よりも自分の歯に合ったものを選ぼう~

歯磨き粉は今やコスメ並みに種類の多いアイテムです。安全なもの、そしてホワイトニング効果のあるものを選ぶには、自分の今の状態を知ることが大切です。

  • 歯の着色汚れの有無→研磨剤が必要が否か
  • アレルギーの有無→有効成分は自分に合っているか
  • ドライマウスの有無→アルコール系は使用できるか

これらのチェック項目を自分の歯の状態と照らし合わせ、なおかつ有効成分の量やタイプにも注意しなくてはなりません。たとえば『薬用ポリリンジェルEXは、ジェルタイプなので研磨剤不使用、ポリリン酸の長さも分割ポリリン酸を使用しているので、たくさんのタイプの人に合います。

研磨剤は市販品でも十分含まれている(手軽に手に入る)ので、その他の成分を重視して選ぶと効果もしっかり得られます。