先日ドラッグストアでイオン発生機能付き歯ブラシが販売されているのを見つけました。@cosmeのランキングで話題になったアイテムですね。
イオンを発生させることによって歯垢を除去しやすくするという効果を狙った歯ブラシですが、はたして本当に歯垢除去力が上がるのでしょうか。
今回は、そんなイオン歯ブラシの効果にからめて、電動歯ブラシとイオン歯ブラシの違いをご紹介します。正しい歯ブラシの使い方についても、おさらいの意味を込めてまとめてみました。
歯周病も歯の汚れも、根本的な原因は歯垢によるもの。より効果的に歯垢を除去するためにも、歯ブラシの効果やそれぞれの機能の違いをしっかり理解しておきましょう。
イオンが歯垢を除去できる理由と効果とは?
イオンとは、マイナスイオンのこと。歯ブラシに内臓した機械がマイナスイオンを発生させることで、口内の歯にこびり付いた歯垢を絡め取るという仕組みになっています。
何故マイナスイオンが歯垢を絡め取るのかというと、歯垢が唾液のプラスイオンによって歯の表面に付着する性質を持っているため。プラスイオンで付着した歯垢をマイナスイオンで緩めさせることで取れやすくし、簡単に落とせる状態になった歯垢を歯ブラシで擦り落とすという目的のものです。
新しく口内に入ってきた歯垢の元(食べかすなど)や虫歯菌も、マイナスイオンで接合部を塞がれてしまうため、歯の表面にこびり付くことができなくなります。
理論上はこのような点から効果があると考えて良いイオン歯ブラシですが、ここで注意したいのが、あくまでイオンは歯垢を落としやすくしているだけ、という点。落としやすくしてもしっかり落とさなければ、歯垢は歯に付着したままです。
中には「落としやすくしているから」と普段よりも簡単に歯磨きを済ませてしまう人がいますが、それでは十分に隅々まで磨けている可能性は低いです。イオンに頼り過ぎるあまり、歯磨き自体をしっかりしなくなる弊害があることを忘れずに使わなくてはなりません。
最近は400円前後で購入できる手軽なタイプも出てきました。
電池内蔵タイプで一定期間使用できるものです。こういったアイテムを使う際も、歯磨きはしっかり一本一本の歯を擦ること、なるべく時間をかけて磨くことを忘れないようにしましょう。
電動歯ブラシとイオン発生歯ブラシの違い
イオン発生機能付きの歯ブラシは、あくまでイオンを発生させるだけのものです。毛先が振動したり薬剤や水を噴出することはありません。
電動歯ブラシは、ブラシ部分が振動したり、回転したりするものです。安いものだと雑貨店で1,000円くらいで販売されています。
歯科医さんの中では『ブラウン オーラルB』が人気商品だそうです。実際、電動歯ブラシをおすすめしている歯科医さんのブログやコラムで紹介されているのは、こういったタイプです。
ブラシが振動だけではなく回転しているため、しっかり磨いた時のような効果を効率良く得られます。ただ、こういったタイプも少し歯を撫でさせただけで「しっかり磨けた」と勘違いしやすくなる商品。使用の際は注意しなくてはなりません。
イオン機能付き歯ブラシのような、歯垢を落としやすくする効果はありませんが、正しく使うことでしっかり磨けます。
電動ではない手磨きの歯ブラシ(普通の歯ブラシのこと)でもきちんと磨けば虫歯予防はできると言う歯科医さんは多いです。そこに電動の効果を上手に上乗せできれば、もっと綺麗な状態にすることができます。
ちなみに、おすすめの手磨き歯ブラシの特徴は
- 長時間磨ける
- ムダな力が入らない
- ブラシの硬さは「ふつう」か高齢者などは「やわらかめ」
- ヘッド(ブラシ)が大きすぎないもの
- ブラシがギザギザにカットされていないもの
です。電動歯ブラシのブラシ部分も平行タイプになったものが多いです。つまり、ギザギザの山切りになっていなくてもきちんとした方法で磨けば歯は綺麗になるということ。
時間をかけて一本一本磨くことができれば、電動歯ブラシに負けない清掃力を発揮します。
私が使っているころころ歯ブラシも手磨き歯ブラシの中でおすすめです。
イオン歯ブラシと電動歯ブラシの共通点
次にイオンを発生させる歯ブラシと電動歯ブラシ、効果は違えど一つだけ共通点を見つけました。
それは歯磨き粉を使用しないで磨けるという点です。
イオン歯ブラシは、むしろ歯磨き粉などの余計なものを使わない方が効果が出やすいです。マイナスイオンの働きを邪魔する可能性がある物質を口内に知らず入れてしまう可能性があるため、何もつけずに使用しましょう。
電動歯ブラシは歯磨き粉を使用しても良いのですが、市販の研磨剤入り歯磨き粉では歯を傷つけやすいデメリットがあるため、おすすめできません。
もし歯磨き粉を使わないとスッキリしないというのであれば、研磨剤不使用と明記されたものを選ぶと安心です。
私も実際に使ったことのある歯磨き粉で研磨剤不使用のものは、『モリンガ歯磨き粉』でした。
⇒口臭予防に効くと評判のモリンガ歯磨き粉『モイスト クリーンブレス プラスアクア』に関するレビュー
ハーブなど天然由来成分がメインなので刺激も少なく、優しい磨き心地です。こういった研磨剤が不使用と公式サイトなどでも明記されているものを選びましょう。
結論 イオン発生歯ブラシではなく手磨きタイプの歯ブラシでも十分
イオン発生歯ブラシは、あくまで歯垢を落としやすくするだけということが判明しました。
電動歯ブラシのように振動で歯を磨くわけではないので、結局は使用者の磨き方次第で効果は左右されてしまいます。
電動歯ブラシもまた、その振動性にしっかり磨けたと勘違いすると、綺麗に磨ききらないままに歯磨きタイムを終える危険があります。この点を考慮して、手動の手磨きタイプ(普通の歯ブラシ)をすすめる歯科医さんも多いくらいです。
手磨きタイプでは
- 長時間磨ける
- ムダな力が入らない
- ブラシの硬さは「ふつう」か高齢者などは「やわらかめ」
- ヘッド(ブラシ)が大きすぎないもの
- ブラシがギザギザにカットされていないもの
安易に機能付きの高い歯ブラシを購入するよりも、市販で安い歯ブラシをこの5つの特徴に注意して購入する方が経済的かつ効果的です。
私がドラッグストアで見たイオン歯ブラシも『歯科大で効果を実験済』や『歯科医がすすめる』のようなそれらしい売り文句があったように思いましたが、個人的に眉唾ものだと思っています。
というのも、その商品、実験したというようなことを書いている割には、パッケージのどこにも「どこの大学で誰の強力のもと実験した」とか「どこの教授や歯科医がすすめています」といった肝心な情報が明記されていなかったのです。歯科医との共同開発ですらないようなのに、そんな学術的な効果をうたって信じられるのか?と思ったのが正直な印象です。
口コミでは「効果があった」という感想も「普通の歯ブラシとかわらなかった」という感想もあるので、やはり磨き方の問題だと感じました。
もしどうしても電動歯ブラシやイオン発生歯ブラシを使いたいというのなら、正しい使い方を知る必要があります。まずは使用したい歯ブラシを持って歯科医院へ行き、専門家からブラッシング指導を受けましょう。
手磨きタイプの歯ブラシはころころ歯ブラシがおすすめです。