税務調査とは基本的に国税(所得税、法人税、相続税など)は、納税者自身が自ら税務署に申告することによって税額が確定し、納付することになっています。
しかし、納税者自身が申告するという制度のため、どうしても税額に誤りがあったり、場合によっては、虚偽の申告をして不当に納税を免れようとする人がいます。
税務調査の目的は、上記のように誤った申告が横行して、納税者間に課税の不公平感が生じないように、国税庁及びその管轄の税務署により納税義務が適正に果たされていないと認められる納税者に対して、その誤りを正すために行う。
とされています。(国税庁HPより引用)
従って、税務調査に対していたずらに身構える必要はなく、税務に関する一連のイベントと考えておけばいいことです。
税務署は申告された書類を調査して、誤りがあると認められた場合には、それを正す指導を行うことも仕事の1つです。見解の相違で税務署から見れば間違いと判断される場合もあります。
しかし大きな間違いや脱税を意図した申告の場合は、厳しく調査され、刑事告発される場合もあります。
税務調査の種類
1、 国税庁及び税務署が調査の下準備を行って、納税者に文書提出や電話または来署を求めて修正申告を求めるレベルの税務調査。
2、 実地調査:調査対象となる納税者の事業所に署員が直接出向いて、取引が記帳された帳簿書類を調査する。
3、 反面調査:納税者の取引状況を確認すべく、納税者の取引先を調査する。
4、 銀行調査:納税者の資産状況や取引状況を知るために取引銀行を調査する。
実地調査は、原則として、納税者本人の立会の下で行われ、必要に応じて、税理士が立ち会うことも可能としていますが、実際には納税者に代わって税理士が税務署員の応対を行っているのがほとんどでしょう。
税務調査で誤りが指摘された時
1、 誤りが認められた時、不足している申告所得税、法人税の追徴本税の納付
2、 過小申告加算税
3、 無申告加算税
4、 不納付加算税
5、 重加算税
6、 延滞税
などの加算税の納付が義務付けられます。
強制調査って何?
テレビなどで見られる国税庁の査察(国税庁査察部 別名マルサ)のことです。
概ね1億円以上の脱税が予測される場合、悪意のある隠ぺい工作が行われている場合は、査察部が裁判所の令状を持って、強制的に行う調査のことです。
資料を押収することができる権限を有し、納税者はこの調査を拒否できないほど強力な権限を持っています。脱税行為が認められた場合は、検察庁に告発され、刑事事件となります。毎年全国で150件から200件あり、そのほとんどが刑事事件となっています。
任意調査とは
これが一般的に言われている税務調査のことです。上記した実地調査を伴います。
国税庁調査部、管轄税務署の調査官により、納税者の同意の下で行います。税務調査官の税金に関する質問に対して、納税者は黙秘する権利は認められていません。虚偽の陳述や質問に答えない場合は罰則規定があります。
大体1週間前に、調査の日程が通知されます。しかし、納税者の方が、都合が悪ければ変更は可能です。
但し、現金商売の事業所の場合は、事業経営のあるがままの状態を調べることを目的として、事前通知なしで調査に入る場合があるようです。
調査はどんなことをするのか?
主なポイントは、売上除外があるかどうか、棚卸除外があるかどうか、経費のごまかしがあるかどうか、などで、隠ぺいや仮装があるかどうかを判断することです。これらの事実が判明すると重加算税の対象となります。
他にも調査項目は多岐にわたり、かなり細かく帳簿類などが調べられます。
- 金銭出納帳と実際の現金残高が合っているかどうか
- 帳簿類の整合性があるかどうか
- 売上にモレはないか、故意に隠ぺいしていないか
- 代表者の私的流用はないか
- 人件費に架空のものはないか
- 消費税が適正に計算されているか 他
これらを通常は1人か2人で、実地調査を行い、2日から1週間くらいかかります。
税務署の調査官は、正しく申告されているかどうかの調査指導が目的で実地調査を行っていますが、調査官は税金を徴収するのが本来の目的ですから、どこかに新たな税金が徴収できないかを一生懸命探そうとします。このことを十分念頭においておくべきです。
まとめ
税務調査は税務署内で、あらかじめ十分調査して、ターゲットを定めて調査に出向く場合と、全く事前の調査もなく、調査対象会社の下調べもなく実地調査にくる場合とあります。
通常は何も事前情報なしで訪問する場合が多いようです。税務署の調査があっても、ほとんどの会社は税理士にまかせていますから、別段の構えは必要ありませんが、基本的には適正な申告と日頃から正しい帳簿類の整理が必要です。
その時になってあわてることのないようにしておくことが大事です。それでも間違いは誰でもあります。それを探しに調査員が来るわけですから、何か申告漏れになっているものが出てくる可能性は十分にあります。
それが故意でなければ何も問題はありません。
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