税務調査の対象となり易い事業所(会社)はどこなのでしょうか?

通常は追徴税額が見込まれる納税者が税務調査の対象となり易いようです。

① 前回調査から概ね5期以上経っている事業所、又は会社設立してから5期以上経過している事業所、会社

② 申告において異常値が目立つ事業所、会社、売上が増加しているのに営業利益や申告所得が異常に減少している事業所、会社、例年に比べて多額な経費計上がある事業所、会社など

③ 税務署に蓄積された企業情報が多い会社、これは情報が多くあるために追徴税額が取りやすいという傾向があるために税務調査の対象となり易いようです。

④ 脱税行為が過去にある事業所、会社

⑤ 長期未調査の事業所、会社。長きにわたって税務調査を行っていない事業所、会社で、売上高や申告所得に異常が認められない事業所、会社。つまり通常の運営がされていて、長期にわたって税務調査が行われていなかった会社でも、いつかは調査対象に選ばれることがある、ということです。

大体、税務調査に当たるところは以上のような事業所、会社が候補になるようです。どこの事業所や会社でも、長く来ないと永久に調査がないと思うかもしれませんが、それはありません。

いつか必ず来ます。それが早く来るか、遅くくるかの違いだけですから、上記の対象となり易い事業所、会社などは早く来る部類と考えておいた方が無難です。

行政指導は税務調査か?

税務調査でも実地調査を伴わない行政指導という調査もあります。

税務署が一般的に行う行政指導は、納税者が申告を済ませた後に「申告内容のお尋ね」という文書で通達され、それに納税者が回答するという形で行われます。

納税者の申告内容に税務署が疑問に感じた時、納税者に申告内容の見直し、場合によっては修正申告を促すことを目的にしています。申告書に間違いやモレがあった時、それを税務署が見つけて、指摘して連絡してくれるわけです。

「申告内容のお尋ね」という文書が届いたら、誠意をもって回答した方がいいです。つまりこの文書が届くことは、税務署で何らか申告書のミスやモレが見つかった恐れがあるということです。

この行政指導の対象は、統計的に個人事業者が最も多いですが、医療控除や住宅ローンの確定申告したサラリーマンも対象になる場合があります。

行政指導と税務調査は何が違う?

行政指導は税務調査の一環としてごく普通に税務署で行われています。では何が違うのでしょうか。2つあります。

1.加算税の有無

行政指導の場合は、行政指導の内容に従って修正申告すれば、加算税はかかりません。しかし、税務調査では調査の結果を受けて、修正申告すると、過小申告加算税、延滞税などの追徴課税がかります。(追加税額の5~20%)

2. 回答義務の有無

行政指導では、税務署のお尋ねに対しての回答は法的に拘束力がありません。自主的な回答の協力という形が取られています。とは言っても無回答や回答拒否は、逆に変に勘ぐられる可能性があり、何か隠しているのではないか、と疑われるもとになりますから、きちんと対応しましょう。

税務調査は、法的に質問に答えなければなりません。拒否はできません。この違いがあります。

まとめ

税務調査に当たる可能性の高い事業所、会社は上記のようなところですが、行政指導でも実地調査でも、税務署は事前に何らかの情報を得ている場合もあります。もちろん何も事前情報なして、いきなり来て、帳簿類を見せてくれ、という場合もあります。

実は税務調査の実態調査結果は国税庁により公表されています。

それによると、1年間の税務調査件数は約93,000件です。

日本の法人の申告件数は約270万社ありますから、単純計算で1年間に税務調査に当たる確率は約3.4%です。5年間で当たる確率は約20%です。この計算でいくとどの会社も30年に1度の割合で税務調査を受けることになります。

意外と思われた人もおられるでしょう。早々税務調査などに当たることはないと思われた人もいるでしょう。油断大敵です。

税務署のコンピューターシステムは驚くほど能力が高いのです。膨大な情報を日夜処理しています。何らかの関係で税務調査の対象候補になる可能性は十分にありますので、普段からの心構えは重要です。

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