税金には国税と言われる直接税の所得税、法人税などと間接税と言われる消費税、酒税など、そして地方譲与税など、国税だけで30種類にも及びます。

この他にも道府県税、市町村税、法定外税の普通税と目的税が合計45種類あります。

飲食店にかかる税金の種類(小規模)

上記の税金の中から飲食店に限ってかかる税金があります。

・ 所得税・・儲けた利益にかかる税金です。確定申告をして納税します。課税所得195万以下は税率5%、195万円を超えて1,800万円超まで税率は10%から40%まであります。

・ 事業税・・個人事業税は課税所得290万円を超える部分にかかる税金で、その5%です。

・ 消費税・・売上高年間1,000万円を超えると納税義務が発生します。一律10%(東京都の場合)

・ 住民税・・都道府県と市町村税を合算して払うことになりますが確定申告の所得金額を元に計算されます。

・ 固定資産税・・土地や建物の名義が店主の名前であればかかる税金です。

・ 償却資産税・・お店が使う厨房機器や構造物、各種機械、備品にかかる税金ですが、個人経営で規模が小さい飲食店の場合はあてはまりません。

・ 国民健康保険税・・自営業者の国民健康保険料のことです。

飲食業の節税テクニック

一般的に税金の徴収方法について詳しく知っている人は少ないです。

税金の種類や計算方法が毎年のように変わりますから、商売しながらこれらを熟知することは至難の業です。

規模が小さいお店であっても、地元の会計事務所か経理事務所と契約して、経理を見てもらうことは、結局節税に繋がります。誰でもいいわけではありませんから、もし未契約であれば信頼できる人に紹介してもらって契約しましょう。

ごく一般的な節税テクニックを次に挙げていきます。

節税には基本的なパターンがあります。

大きく分けて3つ。

① 課税計算の元になる利益を減らす。つまり経費として認められるものは全て経費として計上する。
② 課税対象となる利益を控除により減らす。
③ 課税額が安くなる方法を取る。これは法人組織か個人経営かなどの選択のことです。

もう少し具体的に見ていきましょう。

お店を法人組織とするか、個人で経営するか

この種類によって税額が異なります。専門家が計算すると概ね課税対象金額300万円が分岐点となり、これを超えるようなら法人組織の方が税金は安くすみます。また下回れば個人経営の方が安くなり節税対策のポイントとなります。

 減価償却は定率法を選ぶ

定率法は機械などを購入した年度の償却額を大きくして納税額を減らすことがミソです。機械を入れた年度の税負担を軽くできるメリットがあります。定額法は償却期間が一定額となります。

 経費計上対策

中小企業倒産防止共済:倒産などにより売掛金が回収できなくなった場合、国から貸付が受けられる。毎月の掛け金は全額経費として認められる。解約も可、40ヶ月加入すれば掛金の100%が戻ってくる。但し飲食業の場合は従業員100人以下、資本金5,000万以下という条件があります。

小規模共済:経営者のための退職金制度で小規模企業共済等掛金控除として課税対象所得金額から差し引かれます。但し飲食店の場合は家族、パート、アルバイトは除かれます。

 消費税の計算方式を選択する

売上高5,000万円以下の場合は簡易課税を選択します。

売上高×みなし仕入れ率(飲食業は60%)として消費税を計算する。

売上高5,000万円以上の場合は本則課税を選択します。

売上にかかる消費税―仕入れにかかる消費税(本則課税) にて計算する。但し仕入れにかかる消費税は実費で計算する。

このポイントは売上高に占める仕入れ額の割合が60%を下回りそうなら簡易課税を選択し、売上高に占める仕入れ額(改造工事や設備費、その他の経費の合計)が60%を超えそうなら本則課税を選択した方が節税となる。但し簡易課税方式を選ぶと2年間は変更できないので要注意です。

 青色申告で控除を受ける

青色申告をすると青色申告税額控除を受けることができます。控除額は65万円です。但し貸借対照表、損益計算書を確定申告の時に一緒に提出しなければなりません。

また仮に赤字決算となっても、その損失額は翌年より3年間、各年度の所得から差し引くことができます。そして青色申告者の配偶者とその家族(15歳以上)がお店の従業員として働いた場合は給料が経費として認められます。但し、配偶者控除や扶養家族とならないので注意が必要です。

この他多くの節税対策があります。

これらはごく一般的な節税対策です。この他、住宅費や食費、水道光熱費、福利厚生費、生命保険、慶弔金、旅費交通費、接待費などお店運営上の様々な経費ごとに節税を考えた管理の方法があります。

また税法について特に詳しい会計士や税理士ではさらに高度な節税テクニックを持っている人も珍しくありません。節税か脱税か、その線引きが難しい段階まで切り込んだ節税方法はとても素人では無理です。安易な節税に陥らないよう注意が必要です。

飲食業の節税に詳しい税理士に相談することが何よりおすすめです。

税理士紹介会社の税理士ドットコムであれば、そのような特定のニーズにも対応した税理士を紹介してくれますのでご利用ください。

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