最近のウエブサイトの機能はすごい!

既にホームページ(以下HP)なしでは企業活動ができないほど、大企業から中小企業、小規模事業者まで深く浸透してきたHPです。HPは企業のあらゆる場面で強力な営業ツール、宣伝ツールとなっています。

そのHPの最近の機能はすごいです。それもまだまだ進化の途中で、これから先どのように発展していくのか目が離せません。

動画の搭載は当たり前で、ネット上の受発注システム、飲食店やホテルなどの予約システム、メーカーの商品検索システムや取説などのダウンロードシステムサービスなど数え切れません。

数十人規模以上の企業では自社のウエブサイトの更新や追加、変更のために専任の担当者を置いているところも多く見受けられます。

しかし、こうした高機能のHPですから、益々HP作成費用、ソフト開発費、ソフト購入費などが高額になっています。

ではこのようなHPの作成、購入などの費用の会計処理はどのようにしたらいいでしょうか。

HPの作成、購入費は経費でおちるか?

HPの作成を依頼した費用、あるいは購入した費用は、経費として認められる部分と認められない、つまり減価償却しなければならない部分の両方がある、というのが答えです。

作成したHPの中にソフトのプログラムが搭載されているかどうかによって異なります。

ソフトが搭載されていなければ、一般的な企業のカタログやパンフレットと同じですから、これは広告宣伝費です。ネットで商売している業種であれば外注費でも可です。年度内の一括経費で計上できます。例え100万円かかっても経費でおとせます(例外もあります)。

検索システムなどのソフトが搭載されておれば、その部分が資産となり、減価償却が必要となります。このソフトの価値を無形固定資産といいます。固定資産ですから法定耐用年数が存在します。

通常、耐用年数は5年です(一部研究用などで3年もあります)。償却は定額法しかありません。残存価値は0で計算します。

従って取得費用の総額を5年で除した金額を毎年償却することになります。期の途中であれば、使用した期間だけの費用を償却することになります。

中小企業はソフトも30万円未満まで経費扱い

但し、少額減価償却の規定にあてはまる事から、さらに細かく法令が分かれています。ソフトウエアーの取得費が10万円未満の場合は、一括経費として計上できます。

取得費が10万円以上20万円までは、一括償却額として3年間、1/3ずつ経費とする。取得費が20万円以上の場合は、資産として計上し、5年で償却する。

となっています。そしてさらに、中小企業の場合は特例として取得費30万円未満までは経費として一括計上が可能となっています。これは中小企業の節税対策の対象となるうれしい法令です。

HPは節税対策の対象となるのか?

儲かれば利益の40%は税金でもっていかれますから、何とか節税して納付額を少なくしようと考えるのは普通でしょう。

その節税の対象の1つとして、HPの作成、取得費があります。これは広告宣伝費です。

利益が上がっていることが前提となりますが、次年度以降の売上増大の効果を狙って、今期中にまとまった広告を打とうとすれば、年度内経費として節税効果があり、さらに今期の費用で次年度以降の売上や利益の拡大に寄与することができます。

中小企業であれば、ハードの費用だけでなくソフトの取得費用30万円までも経費で年度内一括おとせます。

但し注意点があります。HPを作ったが1年以上更新もしないで放置しておくと、年度を跨いで広告が行われ、その効果も1回限りではなく数年度に及んでいると解釈されて減価償却の対象とされる場合もあることです。

また、ネット上での広告を出した場合は配信された日が経費として成立する日です。決算日近くで先に費用として挙げても、配信されるのが決算後の場合は経費として当該年度では認められません。ここまで税務署は見ていますから要注意です。

そしてHPを購入した時、その取得費の内訳がハードとソフトの部分がはっきり分からない場合は全額償却資産として扱われます。請求書、納品書の内訳に関して、仕入れ業者や外注業者との事前の相談が必要です。

まとめ

HPは広告宣伝費の主流となりつつありますから、節税を常に念頭において運営したいものです。また、税務署の判断によって経費なのか減価償却を要するのか、異なる場合もあるようです。

広告宣伝費を増額する場合は顧問の税理士とよく相談の上、決めることが大事です。節税項目は税務署にとっては一番の関心事であることを知っておいてください。