中小企業にとって、事業を継続・成長させていくためにも、いかに利益を上げて事業投資に回せる資金を確保できるかが重要です。そこで、売上拡大や経費削減などとともに、計画的な節税が必要です。中小企業にはどのような節税テクニックがあるのでしょうか。

節税テクニックを使う前提

中小企業が節税テクニックを使う上で、前提があります。それは、年間予算計画を立てた上で、月次決算と決算シミュレーションを行うことです。まず、売上や仕入・経費の予測をし、設備投資や人材投資の有無を決めて、年間予算計画を立てます。あくまでも予測で予算を把握するためなので、できる範囲で構いません。

次に、月次決算により、売上や利益はどうか、資金繰りは大丈夫か、予算との相違はどうかなどの、利益・キャッシュの状況や予算との相違を毎月把握し、問題がある場合は改善策を練ります。

遅くとも決算3か月前には、決算シミュレーションを行い、残り3か月の予測をして、決算着地見込みを確認します。その結果により、節税テクニックを使うかどうかを判断したり、納税資金を確保します。もちろん、それ以降も、決算の着地見込みを微修正し、必要な対策を検討し、決算に備えます。

よく使われる節税テクニック 役員報酬、決算賞与

節税テクニックは様々ですが、よく使われるのが、役員報酬を適正金額に設定すること、事前確定届出給与、決算賞与です。役員報酬については、前の決算が終わった段階で、次期の予算計画を立て、利益や投資計画をふまえた上で、適正な金額を決定し、株主総会で改定します。

事前確定届出給与は、役員の賞与を損金にするため、金額と支給日をあらかじめ税務署に届け出た上で、その通りに支給するものです。届出期間は株主総会で支給条件等を決議してから1か月以内と、会計年度が始まってから4か月以内の、いずれか早い方です。

利益が見込まれる場合は、有効な手段です。ただし、予想より利益が少なかったため、金額を少なく支給した場合は、損金になりません。支給するか、支給しないかしかありません。

決算賞与は、一定の要件を満たせば、未払計上により、当期の損金にできます。ただし、決算賞与を支給する意味合いが上手く従業員に伝わっていない場合、利益が出たら必ず出るなどと思い、決算賞与が出ない年度があると、経営者に対して不満を抱く従業員もいるので、注意が必要です。

設備投資や人材投資で節税

設備投資や人材投資においても、適切な税法を適用し、節税することもできます。設備投資で使われるのは、中小企業投資促進税制と生産性向上設備投資促進税制です。

生産性向上設備投資促進税制の対象となる生産性向上設備等を購入した場合は、この税法を適用し、全額即時償却か投資額の7%の税額控除(特定中小企業者等は10%)を選択できます。

そして、生産性向上設備等に該当しないものの、1台160万円以上の機械などの対象資産を購入した場合は、中小企業投資促進税制を適用し、30%特別償却(特定中小企業者等は7%税額控除も選択可能)ができます。

人材投資で使われるのは、雇用促進税制と所得拡大促進税制です。一定の要件を満たす場合、雇用促進税制では、増加した雇用保険一般被保険者の数×40万円の税額控除、所得拡大促進税制では、雇用者等支給増加額×10%の税額控除ができます。

これらを含め節税テクニックの多くは、キャッシュが出ていくので、単なる無駄遣いにならないように、資金繰りや投資計画も含めて計画的に対策をとることが重要です。

参考URL
・中小企業投資促進税制 国税庁ホームページ

・生産性向上設備投資促進税制 国税庁ホームページ

・経済産業省ホームページ

・雇用促進税制 国税庁ホームページ

・所得拡大促進税制 国税庁ホームページ