相続人が被相続人から家屋を相続したとします。家屋の評価は固定資産評価額でされています。

相続した家屋が自用家屋なのか、貸家なのかによって、相続税評価額が違ってきます。貸家にもかかわらず、固定資産税評価額で相続税の課税価格を評価している場合は節税ができそうです。

1.自用家屋の評価

相続税では固定資産を相続で取得した場合は、その固定資産の評価額が相続税の額を決める大きな要素の一つとなります。固定資産の評価額については様々な算出方法があります。家屋を相続したとき、その家屋が生前、被相続人が自用家屋として使用していたものなら、その評価は固定資産評価額 × 1で評価することになります。

2.被相続人が生前に貸家として貸していた家屋を相続した場合

家屋だからという理由で固定資産税評価額で相続税の課税価格を設定していたとします。相続人は貸している部分の持ち分については、相続していないということになります。

つまり借家人の持ち分は相続税の課税価格には算入しないということになります。このとき借家人の持ち分のことを借家権といいます。借家権割合にかかわる貸家の固定資産評価額を、固定資産評価額から控除した残額が相続税の課税価格となります。ですから、固定資産税評価額100%で相続税の課税価格としている場合は、借家権部分の固定資産税評価額部分が減額されるので、これに伴って、相続税も減少するということになり節税となります。

3.貸屋である家屋のうち、各独立部分が発生している場合の相続税評価額

被相続人は生前、4室ある1棟のアパートを経営していたとします。その家屋を相続したとします。このとき、4部屋のうち、3部屋だけが貸付されており、残り1室は空き室だったとします。このときの借家権割合はどうなるのでしょうか?借家権割合は借家人の持ち分でした。

空室部分は借家人がいないということになり、借家権割合から控除されることになります。ですから、借家権割合が30%であった場合で、各部屋の面積が50ヘーホーメートルずつだったとします。このとき、借家権割合を、各部屋の面積で按分し、空室部分の部屋については、相続人の持ち分となります。

30% × 按分割合:分母:200(50ヘーホーメートル × 4室)、分子:150(実際にかしつけている3部屋の床面積の合計額)=0.3 × 0.75=0.225 この割合が借家人の持ち分割合となるので、割合1から控除した残りの割合0.775を、固定資産税評価額に乗じた解が、貸家でかつ空室部分がある場合の、相続人の貸家の相続税評価額となります。

4.被相続人が駐車場の貸付もしていた場合

相続人が相続した貸家のとなりに被相続人は駐車場も経営していました。その駐車場も相続したとします。このとき駐車場には管理人用の構築物もあったとします。このときの構築物の相続税評価額についてはどうなるのでしょうか?構築物は減価償却をしています。本来、減価償却資産は定率法の場合は期首簿価を基礎額としました。

ですが相続税の構築物についての基礎となる価額は再構築価額を基礎額とします。再構築価額から、減価償却累計額を控除した残額の70%が構築物の相続税評価額となります。もし構築物の再構築価額から減価償却累計額を控除しただけの場合はその額からさらに3割分が課税価格を減らせるのでその3割の課税価格分だけ節税ができるということになります。

ここで注意したいのは、減価償却方法は定率法だけとなっていることです。定額法で減価償却をしないということもポイントです。

まとめ

貸家を相続した場合は、自用家屋とちがい、相続税評価額は借地権分だけ、少なくなるので、借地権分の節税が可能になります。また構築物は再構築価額から減価償却累計額を控除した残額で相続税の評価額としている場合は、そこからさらに3割が減額でき、相続税の節税ができることになります。

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