被相続人は生前に3階建てのビルを保有していたとします。被相続人が死亡したとき、相続人は配偶者、兄、弟だったとします。それぞれが1階、2階、3階を相続したとします。

このとき各相続人の課税相続財産はマンションの時価のそれぞれ3分の1ずつということになっていたとします。このとき、ある条件がわかれば、ある人は節税ができます。

1.3人が1つのビルを共有で使用することになっている場合

ビルの相続税の課税価格は相続人それぞれの持ち分をもとに、課税価格が決まります。持ち分は保有面積だといえます。相続人である3人が1階から3階までのすべてを共有で使用することになったとします。

共有というのは、1階であろうと2階であろうと3階であろうと、誰の階という事を決めずに、ビル全体を共通で使用する場合に共有財産と呼びます。共有の場合は、マンション全体の3分の1ずつが、相続人それぞれの共有持ち分ということになります。その結果、マンションの時価の3分の1ずつが相続税にかかわる相続財産となります。

2.3人がそれぞれ各階を相続した場合

配偶者は1階部分、兄は2階部分、弟が3階部分を相続したとします。このような相続の仕方による保有の仕方を区分所有といいます。区分所有で相続をした場合は、使用収益率というものを勘案することになります。

使用収益率は1階部分が100%、2階部分が80%、3階部分が70%だったとします。このときこの割合は金額に直接反映させるのではなく、まずは建物の床面積に反映させます。つまり相続した床面積がを化させるのが区分所有にかかわる使用収益割合です。

その結果、使用収益率が小さい70%部分の3階を相続した弟は、面積が小さいマンションのフロアを相続したとみなされることになります

3.相続した床面積がちがえば、相続財産の額も変化する

マンションの総床面積が300ヘーホーメートルだったとします。見た目には1階も2階も3階も面積は同じです。ですからまずは、計算の基礎として、各階に100ヘーホーメートルずつ割り当てをします。そして利用効率が違うので、マンションの床面積はそれぞれ、100ヘーホーメートル、80ヘーホーメートル、70ヘーホーメートルとなります。その結果、総床面積は300ヘーホーメートルから250ヘーホーメートルに変化します。

4.使用効率が違えば、相続税の基礎となる課税価格がちがってくる

マンションの時価が5千万円だったとします。

  • 配偶者の課税価格:5千万 × 按分割合:分母:250、分子100=2千万
  • 兄の課税価格:5千万 × 按分割合:分母:250、分子80=1600万
  • 弟の課税価格:5千万 × 按分割合:分母:250、分子70=1400万

となります。共有と比較し、区分所有の場合の課税標準は変化しました。その結果弟は相続税額も少なくなるということになり、配偶者は相続税額が増加するということになります。まずは床面積を使用効率で変化させ、その床面積の保有割合で、マンションの時価を按分することになります。

まとめ

マンションなどのビルのワンフロアを相続や遺贈を受けた場合の額を単純にマンションの時価を階数で除してそれを課税価格としている場合は、高い階ほど使用効率が少ない場合が多いので、もし高層部分を相続した場合は、使用効率というものに照らし合わせて、課税価格をみなおせば、課税価格が減少することがあります。その結果、相続税額が節税されることもあるようです。そのかわり、課税価格が大きくなり、結果相続税が増加する人もでてくるということになります。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/100713/04.htm