被相続人から相続した土地があったとします。その土地をどのような評価方式で相続税評価額としていますか?

土地の評価の方法は4つあります。このうち、相続税評価額となるのは一つです。相続税評価額となる土地の評価のほうが、時価で評価した土地の価額よりも小さい場合は課税価格が減少し、節税効果が発生します。

1.土地の評価は1物4価

土地の評価方法は、1つの土地について4つの評価方法があります。その土地が固定資産税評価額で評価するのか、路線価方式で評価するのかは、国税局の「財産評価基準書」に市町村の土地ごとに指示があるので、個人で評価方式を決めることはできません。

1-1.相続税路線価

道路に面する土地の1ヘーホーメートルあたりの価額のことを路線価といいます。路線価に地積を乗じた額が相続税路線価と言われています。路線価を要素として、相続税の評価額を決める方法は、道路に面する土地の多い市街地の土地の評価に適している方法です。

1-2.地価公示価格

地価公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額の基準となるので、地価公示価格が変動すると相続税評価額も変動していくことになります。毎年1月1日の価額が判定されます。

1-3.固定資産税評価額

土地の固定資産税評価額は個性が反映された額となっています。市町村の固定資産税を算定するための基準となる価額です。3年毎に評価替えが行われます。農村宅地の評価をするときの土地の評価額の算定に適しています。

1-4.取引価額

当事者間で決めた価額。

2.土地の相続を受けたとき時価で評価している場合は節税できる

固定資産税評価額や相続税路線価での土地の評価額は、時価よりも低い設定がなされているので、時価で相続税の課税価格としている場合は、節税ができます。

3.一方が路線に面している宅地の場合

家のある部分だけが道路に面している土地を相続した場合、道路に対して垂直に下した長さを奥行といいます。この奥行が長いほど、使用効率がよくないということで、一定の基準を超える奥行のある土地については、正味の路線価よりも1ヘーホーメートルあたりの路線価が安くなります。このとき、割合Aを路線価に乗じることで、路線価という1ヘーホーメートルあたりの土地の値段を安くします。この割合Aを奥行価格補正率といいます。

路線価 × 奥行価格補正率 × 地積=土地の相続税評価額

路線価で評価するようになっている場合は、このように節税ができます。

4.角地を相続した場合も節税できる

角地を相続した場合で時価評価している場合も節税の対象の土地となります。角地には2種類あります。準角地は1方向だけ道路がある角地です。準角地以外の角地を角地といいます。角地は、2方向以上の道路がある場合の角地のことです。角地を相続した場合は、角地や準角地以外の土地を相続したよりも、配慮がなされます。

そのため本来の路線価よりも安く評価でき、節税ができます。さらに、角地と準角地については、準角地のほうが角地よりも使用効率が悪いので、準角地の評価額のほうが安くなり節税となります。角地(準角地含む)を相続した場合は、土地の4辺のうち、2辺を道路に面しているということになります。このとき、2方のうちのいづれかを正面、そうでない道路の側を、側面といいます。

5.正面か側面か?

角地(準角地を含む)を相続した場合、土地の2辺が道路に接しますが、どちらが正面なのでしょうか?路線価は1ヘーホーメートルあたりの価額でした。奥行も考慮した路線価、つまり路線価 × 奥行価額補正率の値の小さいほうを、正面とします。この時の路線価を正面路線価といいます。そして正面路線価よりも安かった路線価のことを、側面の路線価、つまり側方路線価といいます。

6.角地や準角地の相続税評価額は時価よりも安いので節税可能

①路線価 × 奥行価額補正率 =正面の土地の路線価(1ヘーホーメートル当たりの路線価の一部)
②路線価 × 奥行価額補正率 × 側方路線影響加算率=土地の側面部分の路線価(1ヘーホーメートル当たりの路線価の一部)

このとき、①の路線価と、②の路線価の合計を角地の路線価(1ヘーホーメートル当たり価額)と考えます。ですから、相続税評価額は(① + ②) × 地積 ということになります。この値は時価よりも安くなっています。

まとめ

角地や4方のうち1方でも道路に面している土地を相続した場合は、時価で相続税の課税価格にしている場合は、節税できるようです。

http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h27/index.htm
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/02/07.htm