国税庁のHPでは

「純損失の繰越しと繰戻し: 事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。」

とうたわれています。

ですが白色申告の方は要注意です。

事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得(うち総合長期、総合短期)の5種類のうちで損失が出た場合どのように処理されていますか?損失が出た年度、青色申告か白色申告かによって、またその損失の原因によって、翌年以後繰越控除にできるかどうかが変わっていきます。そこで今回は純損失の繰越控除というものについて青色申告、白色申告のケース別にみていきましょう

青色申告の場合

事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得(総合長期・短期)から生じた損失があるとします。この金額は、総所得金額、山林所得、退職所得の順番にこれらの所得を損失によって減らすことができます。これを損益通算といいます。まずは当期の所得税の所得の計算の際に損益通算をしてみてください。損益通算をしても、なお残る損失がある場合についてみていきましょう。このときの損失を純損失といいます。

純損失は発生年度の翌年以後3年間繰り越して他の所得を減らす要素となることができます。これを純損失の繰越控除といいます。といいます。

例)今年は事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得(総合)において発生した損失を、他の所得(総所得金額、山林所得、退職所得)を減らす要素として働き、その結果、今年の所得はマイナスになりました。

ここからスタートになります。このマイナスの金額が、翌年、翌翌年度、翌翌年度の翌年の3年間にわたり、3年間の間のそれぞれの年度において、もし所得がプラスで発生していてのなら、その所得を減らす要素としてマイナスの損失が働くということです。

ここで注意したいのは、白色申告の方です。

白色申告の方が当期において損失を発生させた場合

白色申告の方が当期において損失を発生させたとしましょう。その場合、通常どおり、当期の所得を計算するにあたって、損益通算をしてください。それでも損失というマイナスの所得だったとします。

・白色申告の場合は、総所得金額から生じた損失は、翌年度以後3年間の損失の繰越控除ができない

→白色申告の場合は、事業所得、不動産所得、山林所得から生じた損失は翌年以後3年間の繰越控除の対象にはできないのです。

・白色申告の場合でも繰越控除にできる損失はある

白色申告の場合でも、災害、盗難、横領による被害による生活に通常必要な資産の損失や、海苔や漁獲などを採取することで事業をしている事業主様の事業上の損失や、まだい、はまち、真珠の養殖という変動所得を事業によって得ている事業主様の損失については、白色申告の場合でも、翌年以後3年間繰越控除ができます。

そのように考えると、純損失の繰越控除というのは、青色申告をする方のみの特典ということになります。

純損失の繰越控除で、純損失によってその所得を減らすことができる所得

純損失の繰越控除は事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得(総合)から生じた場合については、青色申告をしている事業主様だけが、その翌年以後3年間繰越控除ができるということでした。ここでは青色申告をしている事業年度に損失が生じ、当期の所得がマイナスとなった場合において、翌年に純損失の繰越控除をしていく場合においてみていきましょう。

実際に繰越控除をするとき、どの所得を減らしていけばいいのでしょうか?事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得(総合)から生じた純損失は、どの所得から生じた損失のかということによって、損失の繰越控除のとき、その損失が減らせる所得が変わります。

①生じた純損失が事業、不動産、譲渡所得から生じた純損失であった場合

この場合は、その純損失はまず、課税標準の計算において、総所得金額をまず減らします。そして、それでもまだ純損失が残るのであれば、次は、山林所得があればそれを減らします。そしてそれでもまだ純損失がある場合でかつ、退職所得金額もあれば、退職所得を減らすということをします。その結果、まだ残る損失があれば、来年も繰越控除を今回の順番で行うということになります。

②生じた純損失が山林所得を生じる事業だった場合

この場合は、当期の山林所得がマイナスで、それを翌年度の所得を少なくする要素として働かせる場合です。この場合は、山林所得が翌年度も生じていたら、その金額を減らす要素として、前年に生じた純損失を当期の山林所得から減らします。それでもまだ純損失が残るようであれば、それを、総所得金額から減らします。そしてまだ残る純損失は、退職所得金額が発生していればその金額を減らす要素として働きます。

このとき、純損失が減らす所得には租税特別措置法の所得はありません。なぜかと申しますと、租税特別措置法の所得は、税率や課税価格の計算の時、租税特別措置法意外の所得よりも税率を低く設定され配慮されているからです。ですから、純損失の繰越控除では租税特別措置法以外の所得が、その純資産から控除されているということがうかがえます。

例えば租税特別措置法の株式等に係る譲渡所得等の金額という所得がマイナスになったとしても、そのマイナスは、損失の繰越控除の損失として他の所得を減らすことはできないということになります。

青色確定申告も会計ソフトで簡単にできる

上記の通り、青色申告の方が節税・控除の観点からも様々なメリットがあります。

会社の利益のためにできる限り青色申告で確定申告されることをおすすめします。

青色申告でも白色申告でも個人で確定申告をするのであれば、会計ソフトの利用がおすすめです。

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参考:自分で青色申告の確定申告ってできる?具体的な手順・方法・おすすめ会計ソフトについて