所得税の不動産所得の計算では未収家賃がでてきたときに、当期の所得税の総収入金額にするのかしないのか迷うところです。そこで経理別に未収家賃はどうなるのかということについて、ケース別にみていきましょう。
まず、支払日基準と期間対応基準についてのちがいをみていきましょう。
目次
期間対応基準の場合
前受金経理、未払金経理をしている場合は、 期間対応基準の考え方になります。 前受金経理、未払金経理をしているというのは、当期という期間外の取引について、前払費用、未収収益は当期の費用収益としない、未払費用、前受収益は当期の費用収益とするというものです。 家賃については当期よりも後の期間の前払いされた家賃も、当期の収益になります。
支払日基準の場合
支払日基準というのは、前受金経理、未払金経理をしていない場合に適用される基準のことです。ですから、支払日基準は前受金経理、未払金経理をしていない場合ということですから、家賃についての当期よりも後の期間の前払いされた家賃は、当期の不動産所得の総収入金額とならないことを表しています。これらをふまえて、家賃の額について注意したいことをみていきましょう。
翌年1月分の家賃が未収のとき注意すべきこととは?
1.会社が未払金経理、未収金経理をしている場合~期間対応基準の場合
期間対応基準の場合は前受経理、未払金経理をしている場合でした。この場合は12月末に受け取れていない1月分の家賃は未収収益となります。ですから当期の総収入金額になります。
2.会社が前受金経理、未払金経理をしていない場合~支払日基準の場合
支払日基準では、当期に受け取れていない家賃は当期の総収入金額となりません。
では以下の場合はどうなるでしょうか?
会社は当期末に翌年度の家賃を受け取る契約をしている。会社は未払金、未収金経理をしていません。翌年1月分の家賃が未収のとき注意すべきこととは?
会社が前受金経理、未払金経理をしていない場合は支払日基準となります。支払日基準では、当期に受け取れていない家賃は当期の総収入金額となりません。ですが、会社は「当期末に翌年度の家賃を受け取る契約をしている」のです。この場合は、会社が未払金、未収金経理をしていなくとも、翌年1月の家賃が当期末12月に未収の場合は、所得税では当期の総収入金額になります。
ですが、もし会社が未払金経理、未収金経理をしている場合はどうなるでしょうか?
期間対応基準でもあるこの場合は12月末に受け取れていない1月分の家賃は未収収益となります。ですから当期の総収入金額になります。つまり、未収金経理をしていない場合でも、契約があれば、未収家賃も当期の所得税の不動産所得の総収入金額にすることになります。
いかがでしょうか?同じ総収入金額となる当期において未収である家賃も、未収金経理の場合とそうでないばあい、契約によって総収入金額と成らない場合もあるということになります。