法人は個人と違い、事業年度に生じたマイナスの所得を翌年度以後7年間繰り越して各事業年度の所得を減らす要素とすることができます。これを法人税の青色欠損金といいます。欠損金の種類と控除についてみていきましょう。

1.青色欠損金

納税義務者は個人事業主の場合は青色申告と白色申告を選択しました。ここから法人になった場合、青色申告の法人と、白色申告の法人がいるということになります。青色欠損金とは名前のとおり、青色申告法人であることが条件です。

3年前に欠損金が出たとします。今は白色申告法人だったとします。3年前に青色申告法人であったのなら、その年度にでた欠損金という所得のマイナスは今年の所得からも控除できます。つまり、欠損事業年度に青色申告をしていることが条件になります。さらに欠損事業年度から所得から控除したい年度までの間、毎年確定申告書を提出していることが条件になります。

2.欠損金とは何か?

会社は損益計算書で毎年の利益を計算します。これとは別に法人税法では、法人税を計算するために決まりがあります。会社が支出したこの現金支出額は、会社は費用としているけれどこれは費用と認めるか?認める。そういう風1つの仕訳ごとに、法人税法上の費用と収益というのが決まっています。

法人税法上の費用のことを損金、収益のことを益金といいます。損金と益金は、かならずしも会社の費用と収益と一致するとは限らないのです。会社が費用としていた現金支出は、法人税法上では損金とできないということがあります。その時は、会社の費用は費用として認められないので、課税されてしまうということになります。

100円の収益があったとします。40円の費用があったとします。会社は利益を60円としています。ですが法人税法上では40円の現金支出のうち、30円だけが損金となることができるとします。企業は差額の10円を増やして所得を70円としないといけません。つまり費用の10円は、所得の10円となり、税金がかかってしまうということになります。損金が益金よりも多い年度は所得はマイナスとなります。損金が益金よりも多い場合の差額の損金のことを欠損金といいます。

3.欠損金が記入されている場所

欠損金の金額を計算した後は、別表4の最下段の「欠損金等の当期控除額」の欄に金額を記入します。当期純利益の額ではなく、別表4で当期純利益を損金と益金で調整した後の額でもないことに注意が必要です。損金と益金があり、損金が益金よりも多い場合のその差額が欠損金になります。

4.欠損金が当期の所得よりも多い場合

マイナスの所得として還付されればいいのですが、そうはなりません。当期の所得を超えない範囲で欠損金は所得を控除します。所得は0になることはあっても、マイナスとなることはないということになります。

5.欠損金を沢山持つ会社と合併したら会社の所得は減らせる?

欠損金を沢山もつ会社があったとします。この会社と合併したのなら、会社の所得を減らせるのでしょうか?被合併法人が支配日以前に事業をしている場合は欠損金の繰越控除とできます。ですが、支配日の3年前に事業を営んでいない法人の場合は、合併した後5年を経過する日の前日までに事業を開始した場合は要注意です。

合併後5年を経過した後になら、すべての欠損金を合併法人の所得から控除できます。5年以内に事業を開始したなら、事業を開始した年度以前の年度に生じた欠損金(合併前から持っていた欠損金)は事業開始後の合併法人の所得から控除できないということになっています。合併法人の所得を意図的に節税するために合併をする法人がいるので、意図的な節税を防止するためにそうなっているようです。

いかがでしょうか?欠損金が所得から7年間の間控除できるのは、欠損金が生じた時に青色申告をしていた法人のみとなります。ですから所得が増えだした時は、白色申告から青色申告へと切り替える時期かも知れません。繁盛していてもいつ欠損金が出るかは予測不可能ですから。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5762.htm