法人税では留保金課税という制度があります。法人の内部留保した金額に対して特別に課税され、所得から計算した法人税に加算されるというものです。全ての法人の留保金額が課税されるのではなく、特定同族会社が留保する金額に対して、留保金課税は行われます。そこで今回は同族会社についてみていきましょう。

1.会社は株主によって支配されている

法人は会社設立のとき、株式を発行します。株主は法人の発行した株式を買うという形をとって、会社にお金を供給します。これを出資といいます。法人の株式を購入する会社にはグループがある場合があります。A社はB社の株式の50%超えを保有していました。このときB社はA社の子会社ということになります。

このときA社とB社を株主Aグループといいます。A社とB社(子会社)のそれぞれがC法人の株式を20%と5%を出資したとします。このときC法人は株主Aグループに25%の株式を出資してもらっていると考えます。そしてD社とF社においてもDはFの株式の50%超えを保有していて、親子関係にあるとします。このときD社とF社のそれぞれが、C法人の株式を10%ずつ出資したとします。このときC法人はD株主グループに20%の株式の出資を受けていると考えます。

さらにG社とH社は親子関係であり、GとHにそれぞれ10%と5%を出資したとすると、C法人は株主Gグループから15%の出資を受けていると考えます。

2.C法人が同族会社となるためには?

C法人が同族会社だとなるためには株主グループの上位3グループに、C法人が発行した株式総数の50%超えを支配されていないといけません。株主は個人から法人まで様々です。個人KさんがC法人の株式を3%保有していたとすると、株主KグループにC法人は3%出資を受け支配されていると考えます。

ですからまずC法人の株主グループを列挙します。そしてそのうち上位3グループを選定します。ここでは上位3グループがA,D,Gグループだったとします。Aグループに25%、Dグループに20%、Fグループに20%ずつ支配されており、合計で65%なので50%を超えて支配されていることになりますのでC法人は同族会社だということになります。

3.同族会社であるための条件は株式保有割合だけではない

議決権割合もその会社が同族会社であるか否かということに大きく係る要素になっています。会社は収益を得るために戦略をたてます。このとき数ある意見の中で、意見が食い違った場合に議決権を使って意思決定をします。ですから議決権割合の多い株主グループは会社を支配できると考えるからです。

保有株式数が多ければそれは議決権が多いということにならないのか?このとき議決権制限株式というのがあります。株式数を沢山もっていても議決権制限株式を保有していれば、議決権制限株式でない株式を保有しているもののその数が少ない株主よりも、議決権の数で少なくなってしまう場合があります。

ですから必ずしも株式の数が多いからといって議決権が多いとは限らないのです。例えばある法人は株式数において上位3株主グループの株式支配割合は50%以下であったとしても、議決権割合において上位3グループの株主によって50%以上支配されているということであれば、その法人は同族会社になります。

4.株主グループを構成するのは?

株主は個人と法人がいます。個人Aがいたとします。この人の株主グループとなる人はどんな人なのでしょうか?また法人Bの場合はどんな法人が法人Bのグループになるのでしょうか?

4-1.個人Aとグループとなれる個人

個人Aとグループになれる個人のことを「特殊の関係のある個人」といいます。
・株主の親族
・内縁の妻そしてこの人と生計を一緒にする人
・株主の使用人そしてこの人と生計を一緒にする人
・妾などそしてこの人と生計を一緒にする人

4-2.法人Bとグループになれる法人

・子会社(法人Bがその会社の株式の50%超を保有している場合のその会社のこと。)
・孫会社(法人Bと法人Bの子会社の両方あわせて、その会社の50%超の株式を保有している場合のその会社のこと)
・兄弟会社(法人Bが2つの会社のそれぞれの株式の50%超を保有している場合の、2つの会社は兄弟会社。)

まとめ

まずは株主グループをより分け、株主グループが対象となる法人の株式の何パーセントを保有しているかを定めます。そしてこれらを順位づけし、上位3グループが保有する対象法人の株式の保有割合が50%を超えている場合に、対象法人は同族会社であるといえます。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/070313/03.htm