初めて海外出張へ行くときの準備

初めての海外出張で英語を使わなければならない・・・でも勉強にそんなに時間もさけないし、そもそも今からがんばって勉強したってすぐにできるわけではないし、どうしよう・・・。

初めて海外出張に行くとき、ワクワクする反面、こんな不安を抱える方もいらっしゃるはずです。

こうやって英語関連のサイトを立ち上げている私も、英語学習の道は道半ばですし、ペラペラというにはまだまだなので、偉そうなことを言うことはできません。ですが、まだあまり英語が話せなかったときに突然海外に出張にしなければならなくなった時の、準備と心構えの方法を、今回はお伝えしたいと思います。

これを読んでだ皆さんの気持ちが、少しでも軽くなればうれしいです。

なお、今回は「海外出張」を前提としていますので、社会人の方向けの内容になります。その点だけご留意ください。

最低限の決まり文句はおさえる

職種によっても異なりますが、突然海外出張に行くのは珍しくありません。

2週間後に突然行ってくれ、と言われることもあると思います。また、1~2か月後というのであれば、ある程度準備できますが、働きながらまとまった時間を取ることもなかなか難しいものです。

たとえば半年前から決まっている場合は、じっくり学習に取り組み、英語力そのものを上げることで対応できるかもしれません。

しかし、日々の仕事もこなしながら、2か月以内で英語力を急激に伸ばすのは大変。そこで、あまり時間がないのであれば、付け焼刃にはなるかもしれませんが、最初の挨拶や自己紹介、仕事上で使いそうな決まり文句だけは、完璧にしていきましょう。

特に欧米では、最初の挨拶と自己紹介を自信もってできることが重要だと言われています。自信なさげに挨拶すると、最初から不信感を持たれかねません。

そもそも英語もそんなにできないのに、性格面でマイナスの印象を持たれては、辛すぎます。フレンドリーな気持ちを持ちつつ、しっかりと最初のコミュニケーションをとるために、挨拶と自己紹介は完璧にできるようにしていきましょう。

文化や時事ネタを表現できるようにする

挨拶や自己紹介、仕事上で使いそうな決まり文句はおさえたあと、何をするべきかですが、おすすめするのは、現地の文化や時事ネタをおさえておくことです。

これは、向こうに親近感を持ってもらうために、意外に重要なことです。

2年ほど前、官公庁のお偉い方にヒアリングするためにアメリカの首都、ワシントンに行きました。

向こうはアメリカの政府機関のお役人の方で、当然、日本語は話せません。英語だけでのヒアリングです。ヒアリングのために通された部屋も、円卓のテーブルにアメリカの国旗が飾られた、それはそれは豪華な部屋でしたが、逆に重々しい雰囲気であり、私は完全にその雰囲気に飲まれて、ものすごく緊張しました。

最初の挨拶や自己紹介はできても、緊張のせいでその後何を話せばいいのかわからなくなってしまいました。

その時、私の隣にいた上司が、アメフトのスーパーボールの話題を出しました。我々が訪問した時期がスーパーボール直前だったので、彼は思いつきでその話題を出しただけです。

さらに彼は、当時の私以上に英語が話せませんでしたので、「スーパーボールって面白そうですよね、○○○って選手が有名なんですよね。」という最近仕入れたばかりの時事ネタをぽつりぽつりと英語で言うだけでした。

「この人は、こんな時に何を言っているんだろう?」と少し冷やかに隣で彼の言葉を聞き、どうフォローしようか悩んでいたところ、

「そう!スーパーボール!あれは最高だよ!日本人の君も知ってるのかい?」と、今まで真剣な顔つきだったお役人の方が急に饒舌に話し始め、一気に雰囲気が和みました。

もちろん、興奮してスーパーボールを語る彼の早口な英語は、ほとんど聞き取れませんでしたが、その後、こちらが事前に準備してきた質問表を見ながら、丁寧に回答してもらい、無事にヒアリングは終了しました。

「もっと英語を話せる人と行けよ」と思われる方、ごもっともです(笑)。

ただ、その時、「文化や時事ネタを話すだけで、こんなに雰囲気が良くなるものか」と思いました。彼のスーパーボールの話題は、間違いなくアイスブレイク(会議前に雰囲気を盛り上げる雑談)になりましたし、その日を無事に終えることができたのは、この話題のおかげでした。

この例はあまりにも極端かもしれませんが、日本だったら初めての人と会ったら、雑談しますし、それが重要なこともわかっています。

ですが、いざ英語となると、うまく話すことができないことへのコンプレックスから、当たり前なくだらない会話をすることの重要性を忘れがちになります。

それに私たちも、外国人が日本のことに詳しいと、いろいろと話したくなりますよね?これは万国共通で、やはり自分の国のことに興味を持っている外国人と話すのは、楽しいものなのです。

こういった、文化や時事ネタから当日の場の雰囲気を作り、向こうにフレンドリーに話してもらうことは、海外出張の成果につながることですので、是非いくつか「小ネタ」を仕込んでいかれることをおすすめします。状況によっては、新しい単語を10個、20個覚えるより、効果的です。

日本のビジネスの中にいる自信をもつ

最後は、心構えです。日本のビジネスで奮闘している自分に自信をもって海外出張に行きましょう、ということです。

今や日本は、GDPは中国に抜かれ3位、生産性も世界的に低い国・・・と悪いことだけが日本国内では報道されがちですが、世界的に見れば、優秀で民度の高い国民が多い国であることは、間違いありません。

スパコンへの予算をめぐって「2位じゃダメなんですか?」というある政治家の言葉が、一時期物議をかもしました。GDPをとっても1位ではないですが、それでも世界第3位のGDPの経済を、我々は日々支えているのです。

我々の日々取り組んでいる業務自体は単調なものかもしれませんが、それだって他の国と比較すれば、素早く精密で、なかなか他の国の人が真似できるような業務ではないかもしれません。

日本人の平均的な学力にしても、世界的に実施される学力テストの結果を見ると、他の先進国と見劣りするわけではありませんし、むしろ非常に高いレベルを維持しています。

なんだか、愛国的な発言が増えてきましたが(笑)、愛国心を持て、と言っているのではなく、みなさんがこれまで学校や職場で学習してきたことや、今携わっている仕事のレベルは、世界的に見ても、何ら恥じることないレベルだ、ということをお伝えしたかったのです。

英語がうまく話せず、意思疎通できないと、自分の能力それ自体に自信がなくなってきます。ですが、それはあくまでコミュニケーションツールとして英語が話せないだけで、皆さんの思考やアイデアは、現地の人と比較しても同レベルか、むしろそれ以上のことが多いはずです。

英語学習についてみなさんのお役に立ちたい、という当サイトの趣旨とは逆ですが、コミュニケーションは「何を伝えるか」が最も重要です。もちろん「どうやって英語で伝えるか」ということも重要ですが、英語は、単に意思疎通のツールでしかありません。

この点、毎日、日本のビジネスで鍛えられているみなさんだったら、「何を伝えるか」ということ自体は、現地でもいろいろと思いつくはずですし、素晴らしい方法や、考え方、アイデアを持っているはずです。

つまり、コミュニケーションにおいて最も重要な「何を伝えるか」という点は、すでにクリアできているのです。ただ、英語がうまくできないので、伝えるツールがない、それだけのことです。

「こっちは毎日、日本のビジネスで闘っとるんじゃい!」というぐらいの心持ちで、アイデアやアドバイスがあれば、自信を持ってどんどん伝えましょう。下手な英語で構いません。時間がなく、英語を上達させる時間がなければ、コミュニケーションツールとしての英語の上達は、いったんあきらめましょう。

ですが、皆さんが持っている考えやアイデアは、現地の人とひけはとらないはずです。臆せずに、どんどん伝えようとすることだけは、あきらめないでください。

少し辛いですが、こっちが頑張って何かを伝えようとすると、向こうも(普通の人なら)聴こうとしてくれますし、こちらのアイデアが伝わると「こいつは英語が下手だけど、重要なこと言うヤツだな」と思われれば、しめたものです。英語がそんなにできなくとも、向こうもこちらの発言の意味内容を想像してくれるようになり、コミュニケーションが成立します。

伝えるべきことを、自信を持って伝える。英語が下手だとしても、その熱い態度が聞き手の心に案外響いたりするものです。

決して英語が話せないだけで、自分の考えやアイデアに対する自信を失わないようにしてください。

日頃からちゃんと勉強してればいいんだけど、そうは言ってられないので・・・。

以上、なんだか最後は書いてて恥ずかしい精神論になってしまいました(笑)。日頃からちゃんと勉強してれば、こんなに熱く自分を鼓舞する必要もなく、冷静に英語でコミュニケーションできるかもしれませんが、迫りくる日々の業務の中で、そうは言ってられません。

とりあえず、決まり文句を完璧にし、余裕があれば時事ネタを収集してください。

そして、出張前日のベッドの上で、「そういえば、こんなこと書いてた人もいたな~」ぐらいで当サイトの文章を思い出し、翌日元気に飛行機に乗ってもらえれば、うれしい限りです。

初めての海外出張、がんばってください!










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