英語を学習する際に、おそらく日本人が最も苦手とする部分が「発音」です。今回は、何とかギリギリ通じる(はず)の英語の発音ができることを目標とした学習方法をご紹介します。
目次
そもそも日本語を話していることが不利?
そもそも正しく英語を発音するにあたり、日本語の母音・子音の数と日本語の発声法が足かせになっていると言われています。
母音と子音の数の違い
日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5個、子音はありますが17個です。これに対して、英語(アメリカ発音を前提)は単母音だけで17個、その他二重母音・三重母音まで含めると37個、子音は28個あります(注:分類方法により、数は多少前後します)。
母音 | 子音 | |
日本語 | 5個 | 17 |
英語 | 37個! | 28個! |
日本語母音の数が5個というのは、英語のみならず他の言語と比較しても少ない部類に入るようです。日本語話者の日本人が英語を完璧に発音するには、自分たちの概念にない母音や子音を使い分ける必要があり、これだけでも非常に難しいことがご想像いただけると思います。
発声法の違い
また、日本語は胸式呼吸で発音しやすい言語であるため、多くの日本人の発声が胸式呼吸であると言われています。一方、英語はどうかというと、アメリカ映画を見ているときに、「ネイティブの声って太くて響くな~」と思った方はいらっしゃいませんか?これは、上記の多様な母音・子音を発音するために強く・太い息が必要となり、ネイティブは基本的に腹式呼吸で発音しているからです。
また、この呼吸法の違いにより、強く・太い息でお腹から発声する英語は、音が低くなる傾向にあるようです。相対的に胸で発声する日本語は音が高いと言われており、この音の高さも英語と異なる点だといわれています。
つまり、正しく英語を発音するためには、日常的に腹式呼吸で発声できる必要があり、ここも日本人が正しい発音をするための一つのハードルです。
リズムでカバーするために徹底的にマネて、シャドーイングにトライしてみよう!
母音・子音の数の違いと呼吸法(それに付随する声の高低の違いも含む)、大きく2つの点で日本人は不利な点を抱えています。呼吸法から修正し、地道に発音記号ごとに発音を修正していく方法もありますが、それは、以下の「それでも発音を根本から直したい方は・・・」のところで触れるとして、まずはもう少し簡単な発音の修正方法を個人的な経験から紹介します。それは、「発音はあきらめて、リズムでカバーする」方法です。
リズムでカバーするとは?
発音を根本から直すのは、相当の時間と根気が必要になります。というのも、私も以下の「それでも発音を根本から直したい方は・・・」のところで書いているような、地道なトレーニングを続けてみた結果、多少良くなったとネイティブから言われることはありましたが、飛躍的に上手になったわけではなく、よく難しいと言われる「R」と「L」の発音の使い分けなどできずじまいで、途中であきらめてしまいました・・・。
ただ個人的な経験では、発音が多少怪しくても、英語のリズムにのって発音するだけでも、かなり通じるようになります。
もちろん、音自体が正しく発声できれば、それに越したことはないのですが、発音を修正するのはかなりの時間と根気がかかりますし、そのための独特のトレーニングも必要となります。一方、このリズムを身に着ける方法は、基本は普段聞いている英文を徹底的にマネるかシャドーイングすることで身に着けられますし、普段の英語の学習にも取り入れやすいです。また、発音を修正するよりも比較的短時間でリズムは身に着けれるものだと個人的には思っています。
もちろん、リズムを身に着けただけでは、正しい発音にはなっていないので、ネイティブが聞いた時には違和感があるのかもしれません。ただ、ここではギリギリ通じる発音ができることを目標としていますので、まずはリズムを身に着けて悪い発音をカバーする、という方法がギリギリ通じる英語への近道です。
聞いた英文の音を、徹底的にマネてみる
ここでいうリズムですが、具体的には単語のアクセントや、英語の息継ぎの切れ目、単語同士の音のつながり等を意識することですが、いちいち単語を調べて確認していても時間がかかります。
そこで、おすすめの方法が、普段の英語学習で聞かれている英語を徹底的に「マネる」ことです。例えば、一文英語を聞いたらそこで停止し、聞いたままの英文をいつもより少し大きな声で、口を大げさに動かしながら発音し、英文の抑揚や速度を徹底的にマネます(英文は見てもいいです)。この少し大きな声で、口を大げさに動かすというのは、リズムを身に着けることができるだけでなく、話す訓練にもなりますので、非常にいいトレーニングになります。
とにかく、聞こえたものを「そのまま」音としてマネることを繰り返す方法です。「耳がキャッチした音をそのまま声に出す」というのを徹底的に意識してくださいね。
シャドーイング
本当にこんなんでリズムが身につくのか?と思われるかもしれませんが、もし上記の方法がイマイチしっくりこない方は、シャドーイングをしてみるのもいいと思います。これは、英語を聞きながら後から追いかけて同じように発音をマネする有名な学習方法で、聞かれた方もいらっしゃるかもしれません。すでに英語学習として確立された学習方法なので効果は間違いなく、「シャドーイング」と検索すると、勉強法はたくさん出てきます。
なら、リズムを身に着けるためにシャドーイングすればいいだけで、最初にご紹介したマネる方法は不要では、となりますが、このシャドーイング、最初はかなり難しいんです・・・。最初は聞いた英語を発音しているうちに次の英語を聞き落としてしまうので、まったくトレーニングになりません。
結局、最初は英文を確認し、英文の意味内容を理解して、発音を確認してみて、英文が頭になじんできて、やっとシャドーイングできるようになります。実は、「マネる」の部分は、シャドーイングに至る前半部分のトレーニングだけを取り出した方法なので、英文を見ながら「耳がキャッチした音をそのまま声に出す=マネる」作業を繰り返していけば、自然とシャドーイングの練習にもなります。
ですので、最初は何も考えずに気楽にマネるところからはいって、頭にある程度英語がインプットできたらシャドーイングにトライして、英語独特のリズムを身に着けていくのが、通じる英語への近道です。
それでも発音を根本から直したい方は・・・
発音を根本から直したい方は、以下の書籍を参考にしてください。
DVD&CD付 日本人のための英語発音完全教本
名前のとおり、ハッタリではなく、本当に真面目に日本人の発音と英語の発音の違いについて研究されていることが伝わる内容となっています。ちなみに、本ページの最初の部分で、なぜ日本人が正しく英語を発音することが難しいかについて少し説明しましたが、全てこの書籍の内容の一部をまとめたにすぎません。
米国英語、イギリス英語の母音・子音それぞれについて、舌の動きや唇の動きが丁寧に解説されている上に、CDとDVDで音と口の動きを確認できます。特に、口の動きがわかるDVDはかなり参考になりました。ただ、日本人が正しい発音をすることを目指した本であるがゆえに、呼吸法のトレーニングから、舌の筋肉を鍛えるトレーニング、表情筋を鍛えるトレーニングなど、割と地味で一人でやると恥ずかしいトレーニングも多く、根気よく続けるにはちょっとツラいかもしれません(前述のとおり、私は途中で挫折しました・・・)。
ただ、発音について、こんなに丁寧に研究された本も珍しいと思うので、もし気になる方は書店でちら見してみてください。
通じればいい!のであればリズムから
ご紹介した「発音はあきらめて、リズムでカバーする」方法は、ある意味中途半端に聞こえるかもしれません。ですが、多くの方が「通じる発音」であることが求められており、帰国子女のような「きれいな発音」までは求められていないのではないでしょうか。
あくまで、コミュニケーションに差し支えない程度でいい・・・というのであれば、リズムから直すのが近道ですし、その方が「通じた快感」も早めに感じれて、英語学習自体のモチベーションも上がります。
発音でお悩みの方がいれば、是非一度、リズムから直す方法を普段の学習に取り入れてみてください。
コメントを残す